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“渋滞のない世界” 20年後の高速道路をつくる3つの技術とは

2016年8月12日(金)
ReadWrite Japan

そう遠くない未来だが、想像してほしい。

あなたは自動運転車で高速を走っているとする。すると、突然車が速度を落とし始めた。あなたは何かと思い手元のスマートフォンをいじるのをやめ、窓の外に視線をやると、道路のLED表示に「1000フィート(304.8m)先 落石注意」という案内が表示されている。なるほどと納得したあなたは再び手元に視線を戻し、車はLEDの車線表示変更にあわせて即座に車線変更をおこなった。

将来の高速道路はこんな感じになるのだろう。この「スマートハイウェイ」構想は、太陽光発電技術やその他技術を道路に取り入れることで自動運転車の機能向上を狙ったものである。スマートハイウェイの主要な技術は、太陽電池道路、ワイヤレス充電、そして高度道路交通システムの3つだ。

それら技術を1つずつ見ていこう。

太陽電池道路

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米国全土は、太陽にさらされたアスファルトで31,000平方マイル以上を覆われている。太陽光パネルがこのすべてをカバーすることを想像してみてほしい。高速道路1マイルあたり80世帯分のエネルギーをまかなえるとして、31,000平方マイルあれば米国全土の電力消費の3倍をまかなえる計算となる。

Solar Roadways社は六角形に組まれた太陽光パネルからなる道路を開発した。車線を塗装することで太陽電池を破損しないよう、車線などの表示には内蔵のLEDを使うとのことだ。LEDを使うことの利点はこれだけではない。特定の場所にいるドライバーに直接メッセージを送ったり、事故の際にもすぐに車線を変更することができる。また、太陽電池道路の低消費電力は、路面の表面温度を常に0℃以上に保つため、スリップなどによる事故の防止にも有効だ。

ミズーリ州運輸省は、ルート66沿いに太陽発電を使った最初のスマートハイウェイを作る計画を発表している。

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ワイヤレス充電

KAIST(韓国科学技術院)の研究者が運転中に電気自動車を充電するための技術を開発した。路面に電磁場を発生させる回路を埋め込み、車内に取り付けられたコイルを使って電気に変換する仕組みである。この誘電技術がワイヤレス充電を可能にし、車に取り付けるバッテリーを80%ほど削減できるという。

Solar Roadways(太陽光発電道路)はワイヤレス充電技術を開発している企業たちと継続的に協議しており、そのパートナー企業の少なくとも1社は75Km/hで走る車での試験に成功していると発表している。

高度道路交通システム

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2050年までに先進国の人口の約86%が都市部に移り住み、それに伴い車の数も倍になると予測されている。高度道路交通システムは、今後の輸送・交通問題に対処するため設計されるものだ。このシステムは、張り巡らされたセンサーや、自動運転車同士の無線通信を使って、道路の利用効率を高める。

高度道路交通システムは、自動運転車同士が多くのやりとりをし、交通の最適化のため、同時に車線や速度制限の自動的な変更を並行して行う。事故を防ぐための衝突防止システムや、事故の際の緊急対応システムなども重要な機能の1つである。

渋滞というものは本当に厄介なものだ。その問題を少しでも緩和しようと、今年は新たに増えた祝日「山の日」を利用した人が多かったようだが、その努力は果たしてどこまで成果に結びついているのだろうか。

日本中の高速道路で今現在も長時間のノロノロ運転を強いられている人々が、この時ほど「自動運転車とスマートハイウェイの早急な実現」を夢見ることはないだろう。

ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]

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