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進歩した技術は4つの方法で地球を救う - IoTがもたらす持続可能性とそのポテンシャル

2016年6月24日(金)
ReadWrite Japan

#1. 電子廃棄物の削減

昔のデバイスを知る人にとって、電子廃棄物の問題は馴染みのあるものだろう。時代遅れになったり修理できないようになったデバイスは、仕方なく地中に埋められるようなことがこれまでに幾度となくあった。

携帯やコンピュータを再生するスキームはあるのだが、それでも電子廃棄物の量は莫大であり、問題は複雑だ。持続可能社会に関する専門家たちは、テクノロジー業界が問題を引き起こした側として何らかの責任を負うべきだとほのめかし、その中で循環型エコノミーという概念が培われた。

循環型エコノミーは、「その製品や部品、材質が再生可能かつ、あらゆる時でもその利便性や価値が高く保たれるようデザインする」という一言に特徴づけられる。

Project Mainstreamは、循環型エコノミーモデルを適応することで電子廃棄物などの複雑な問題によって持続可能性を阻まれているケースを無くす世界的なプロジェクトだ。
IoTの一つ、コネクテッドデバイスにはチップやセンサーが取り付けられているため、そのライフサイクルは常に追跡可能である。このことは将来、消費者が古くなった製品をいつ修理・刷新するかの通知を受けられるということを意味する。

もし、デバイスが廃棄される代わりに製造者に送り返されれば、センサーによってどの部品が再利用可能かを判断できるようになる。IBMの取り組みを例に挙げると、工業製品の残存価値の最大化とリース切れの明確化のため産業材を循環させていたり、クライアント所有のIT設備を再生/再販売、あるいはパーツ単位にバラして販売したり修理に充てている。

#2. 絶滅危機品種の追跡

IoTにより、科学者や保護主義者、民間の科学者がより多くのデータを集積・シェアできるようになったことから、絶滅危惧品種の追跡および測量の幅が広がった。

フィリピンでは、ジュゴンが地元の漁師に撮影され、それが中央のデータベースにアップロードされている。彼ら漁師の多くは読み書きができない代わりに、スマートフォンを充電機器とセットで提供され、その使い方を学んだ。この追跡により、保護主義者達がジュゴンのいる海の保護を訴えるロビー活動を行うことができている。

また、オーストラリアでは、CSIROによってミツバチにマイクロセンサーが取り付けられ、その移動がモニターされている。このリサーチは、CSIROが主導しており、ミツバチの受粉や農場での生産性の向上を目指しているだけでなく、世界中でミツバチの大量減少を引き起こしている蜂群崩壊症候群の原因を探るのにも役立つ。

センサーは、車のe-tagのような原理で動く周波数によって個々を識別するものであり、ハチがチェックポイントの傍を通りすぎた際に記録される。その情報はセンターに送信され、科学者達はハチの移住についてより多くを知ることができるわけだ。この仕組みはブラジルでテストされており、虫の動きから発電し、それをバッテリーに蓄電できるようになれば遠隔地でも上手く機能すると考えられている。

#3. 森林伐採を食い止める

ドローンを使って森林伐採をモニタリングすることは新しいことではない。だが、英国に拠点を置く企業 BioCarbon Engineeringは、森林伐採を食い止めるためにドローンを活用しようとしている。年間10億本の植樹を行うために、ドローンを使った3D画像から土壌の質や生物の多様性、トポロジーを測定しているのだ。

その情報を元に正確な植樹パターンを割り出し、また、ドローンを使って生物分解性の植樹ポッドを投入する。これはまだ計画段階の話だが、より早く正確な森林回復を行える可能性を秘めている。

南国では、違法に伐採された木材のブラックマーケットが栄えている。森林・海洋モニタリングソリューションを提供しているEarth Observationは、赤外線とGPSを利用して、正式に伐採が認められている木一本一本にそれぞれ固有の生体認証レコードを発行し、スマートフォンアプリを使ってその追跡情報を送るシステムを開発した。

このシステムは、違法に伐採されたというデータの改竄を見破るよう設計されている。商用アルゴリズムをつかい、その木の潜在的な生産高、種別、植樹された日時と厳密な時間からワンタイムコードが付与される。木が政府の許可無く伐採された場合、システムはコードを発行しない。

#4. 海洋モニタリング

海中でのインターネットの活用を考えてみれば、技術的な可能性は非常に大きなものだとわかるはずだ。Catalina Sea Ranchは米国初のオフショア養殖場である。養殖の他に、海洋データの無線キャプチャーシステムについても取り組んでいる。

CEOの Phil Cruver は次のように説明する:

「米国海洋大気庁(NOAA)の統合海洋観測システム( IOOS )では、様々な海洋センサーが備わったブイが海中の重要な地点に取り付けられています。無線によるセンサーネットワークにより、連続的なリアルタイムデータの生成が行われ、それらはクラウドに送られて研究機関の目にかかり、オフショアでの養殖がどうなっているかを知ることができます」

イタリアではSUNRISE社の研究者達が、海や湖、川などをセンサーやロボット、あるいは人に代わって危険な水中オペレーションを行う機械にとってのデジタルハイウェイにしようと取り組んでいる。この取り組みには、水中の環境モニタリング、オフショアインフラ管理、機雷除去、沈没した遺跡の調査保護などの活動も含まれる。水中では、数十キロ先まで到達する音波による水中通信にも取り組んでいる。複雑かつ長期的な試みだが、これが結果を挙げれば我々の海洋に対する理解は大きく広がることだろう。

(ReadWrite Japan編集部)

ReadWrite Japan編集部
[原文]

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