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データベースの災害対策を考える

2009年10月22日(木)
山本 祐介

待機データベースを計画停止やリソース活用に応用する

■3.3.計画停止を最小化するために活用(ローリング・アップグレードを使用)

 待機データベースの活用方法として次に紹介するのは、前回(http://thinkit.jp/article/1050/1/)で解説した計画停止のうち、データベースのアップグレードにかかる時間を最小化する例です。Oracleではこの方法をローリング・アップグレードと呼びます。

 ローリング・アップグレードでは、まずは待機データベースに処理を切り替えておき、その間に本番データベースをアップグレードし、完了後に同期させます。これにより、通常であればかなりの時間を要するアップグレード作業の間中でも、システムを停止させずに運用できます(図3-1)。

 このローリング・アップグレードを使いたいためにOracle Data Guardを選んだというケースも多いです。例えば、NECビッグローブの場合、従来30~40分のシステム停止が必要だったものが5分程度で済むようになりました。また、米UPSの場合、「Oracle Database 10g」から「Oracle Database 11g」にアップグレードした際のダウンタイム時間を、わずか4分に抑えることができました(ローリング・アップグレードを利用しない場合の1/15の時間)。

■3.4.スタンバイ環境を仮想化して遊休リソースを活用(Oracle VMを使用)

 Oracle Data GuardとOracle VMを組み合わせると、より柔軟に遊休リソースを活用できます(図3-2)。スタンバイ環境のリソースを他の仮想マシンに割り当てるのです。いざ災害が発生した際には検証環境を停止して業務を継続します。特に、Oracle VMは仮想マシン・イメージのコピーが簡単なので、検証環境として利用するのに適しています。

 ローリング・アップグレードや遊休リソースの活用などのように、通常であれば業務用途には使われない災害対策環境を有効に活用することで、単なる災害対策以上の費用対効果を得ることができます。

 Oracle Data Guardによる災害対策環境の活用については、以下の資料(http://www.oracle.co.jp/iSeminars/090625_1100/DataGuard_OW09_for_OrD.pdf)をご覧ください。

文書ファイルの格納やAmazon EC2/S3にも対応

■4.Oracle Databaseは画像や文書も災害から守る

 直近のトピックとして、「Oracle Database 11g」では、非構造化データ(画像ファイル、映像ファイル、文書ファイル、CADファイルなど)をファイル・システム並みに高速に取り扱う機能としてSecure Filesが登場しました。

 さらに、最新版の「Oracle Database 11g Release 2」では、Secure Files領域をLinuxファイル・システムとしてマウントできるようにするDatabase File System(以下、DBFS)が登場しました。

 当然ながら、遠隔地レプリケーションのOracle Data Guardでも、これらの非構造化データを保護できます。通常、こうした非構造化データの災害対策はストレージ側の機能で実現するケースが多いですが、Oracle Data Guardを使うことで、コストを低く抑えられます。

■5.クラウドストレージでデータを保護する

 クラウドをデータ保護の目的で利用することも可能です。Oracleでは、具体的なクラウド・サービスとして、Amazon Web Servicesへの対応を2つの方面で進めています。

 1つは、Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)の上でOracle製品をすぐに利用できるように、仮想イメージ(AMI)を提供しています。もう1つは、クラウド・ストレージであるAmazon Simple Storage Service(S3)に対してOracle Databaseのバックアップ・データを格納するためのモジュールを提供しています(図3-3)。

 Amazon S3用のモジュール(Oracle Secure Backup Cloud Module)を利用すると、通常のバックアップと同様に、Amazon S3上のバックアップ・ファイルを利用できます。具体的な使い方をFlash動画で説明するデモンストレーション(http://www.oracle.com/technology/tech/cloud/demos/osb_cloud_backup_viewlet_swf.htm)を用意しています。モジュールの準備からバックアップの計画、バックアップ・ファイルの管理までの実際をご覧になれます。

 Amazon S3へのバックアップには、現状3つの注意点があります。1つはセキュリティです。これは、バックアップ・ファイルの暗号化で対応できます。さらにコストと時間も注意点です。S3を利用する際もっともコストがかかるのはデータ転送コストです。また、クラウド上への転送ですので、時間も掛かります。これらデータ圧縮や増分バックアップなどで対応が可能です。いずれにせよ、検証を行った上で、利用を検討してください。

■今回のまとめ

 災害対策が進まない理由である、遊休リソースという課題に対して、その活用方法を中心に紹介しました。Oracle Directでは災害対策に関する相談をよく受けるのですが、災害対策用に用意するシステム資源を“活用する方法が分からない”という声をよく聞きます。こうした際に、今回紹介した活用例をお話しすると、それがヒントとなって、新たな活用方法が生まれることがあります。読者の皆さまも、新たな活用方法を考案されましたら、ぜひフィードバックを頂けると幸いです。

 以上で第4回「データベースの災害対策」は終わりです。今回は、データベースの災害対策環境を生かす方法について、事例を交えながら紹介しました。今後のシステム構想・構築に、少しでもお役立ていただければ幸いです。

 最終回となる次回(第5回)では、最新バージョン「Oracle Database 11g Release 2」のポイントをユーザーの声を交えて紹介します。

日本オラクル株式会社
Oracle Direct / Technical Service Group 所属。Oracle Database, In-Memory Solution, 仮想化などの製品を担当し、プリセールス活動やオンラインセミナー(Oracle Direct Seminar: http://www.oracle.co.jp/direct/seminar/)等による情報発信を行う。現在はWindows Server上でのOracle製品活用を推進している(http://www.oracle.co.jp/campaign/mb_tech/

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