連載 [第23回] :
  Gen AI Times

【さよなら会議の無駄時間】「Zoom AI Companion」が実現する生産性革命

2024年12月19日(木)
大川 美里
本記事は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」に所属するメンバーが、生成AIに関するニュースを紹介&深掘りしながら、AIがもたらす「半歩先」の未来に皆さんをご案内します。

はじめに

本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」で活動している8名で運営しています。この記事を通して、ぜひ皆さまも各々の半歩先の未来を想像しながら、色々な価値観を楽しんでいただけると嬉しいです。

出社復活でも健在:
過半数を占めるオンラインMTGの現在地

米アマゾンをはじめとする大手テック企業が出社を本格化させ、日本企業でも出社回数を増やす動きが広がっています。では、コロナ禍で一気に普及したオンラインでの会議は、いま、どのような状況なのでしょうか。

⚫︎米アマゾン週5日出社義務の衝撃、問われる「オフィス回帰」国内IT大手はどうする?(2024/10/4 日経クロステック) https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00989/092900160/
⚫︎アフターコロナは週3日以上の出社が定着し、郊外・地方への転居意向は減少傾向(2024/12/4 野村総合研究所)
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2024/cc/1204_1

興味深いことに、最近の調査データ*によると、BtoB企業の打ち合わせの52.5%がオンラインで実施されており、従来の対面式(27.0%)を大きく上回る結果となっています。

【注】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000100813.html

【出典】BtoB企業における商談方法に関するアンケート(株式会社ワンズマインド 2024年6月)

【出典】BtoB企業における商談方法に関するアンケート(株式会社ワンズマインド 2024年6月)

同調査によるオンラインミーティングツール利用率では、全200社中Zoomが最多となる99社で採用され、次点のGoogle Meet(55社)、Microsoft Teams(27社)を大きく引き離す結果となりました。

【出典】BtoB企業における商談方法に関するアンケート(株式会社ワンズマインド 2024年6月)

というわけで、今回は私たちの働き方に欠かせないツールとなったZoomの最新アップデート情報を紹介します!

「AIファースト」という言葉を聞かない日はないほど、企業のAI戦略が加速している2024年。その中で、Zoomも静かに、しかし確実な進化を遂げています。

「あのとき議事録を取るの忘れてた…」
「この資料、前回の会議の内容と違うような…」
「チャットで話した内容、どこいったっけ?」

こんな経験、一度はありませんか?

実は、最近のZoomには、こうした日々の業務の悩みを解決してくれる新機能が密かに搭載されていました。その名も「Zoom AI Companion 2.0」。2024年10月9日の「Zoomtopia」で発表された新機能です。

このZoom AI Companion 2.0が秘める可能性と、あなたの業務を劇的に改善する方法について解説していきます。

⚫︎Zoom、AI Companion 2.0とZoom AI Companionをカスタマイズする新たなアドオン機能を発表(2024/10/18 ZVC JAPAN)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000046792.html

会議からタスクまで
ー Zoom AI Companion 2.0がもたらす3つの業務革新

Zoom AI Companion 2.0の概要は以下の通りです。日々のビジネスシーンで直面する会議運営、コミュニケーション、タスク管理の課題に対して、Zoomの次世代AIアシスタントがどのようなソリューションを提供するのか、その具体的な機能を見ていきましょう。

  1. 会議支援機能
    • リアルタイムでの情報検索と確認
    • 議論内容の要約とキャッチアップ
    • 会議後の質問・振り返り機能
    • 会議内容の文書化支援
  2. コミュニケーション効率化
    • チャット・メールスレッドの要約
    • 未読メッセージの効率的な把握
    • チーム会話の簡単な追跡
    • 情報源の引用機能による信頼性確保
  3. タスク管理
    • 会議内容からの自動タスク生成
    • プロジェクト進捗の追跡
    • Zoom Tasks連携(2024年12月提供予定)
    • サードパーティツールとの連携

これらの機能は2024年10月末より、Zoomの有料アカウントユーザーであれば追加費用なしで利用可能です(2024年10月9日発表のプレスリリースより)。

筆者が体験!
Zoom AI Companion 2.0の驚きの瞬間

ここからは、Zoom AI Companion 2.0の可能性について、実際の使用体験をもとにピックアップして紹介します。技術的な説明だけでは分からない、実務での「これは便利!」というポイントをお伝えします。

ここが変わった①:会議のキャッチアップ&確認ができる

まずは「AI Companion」のボタンを押しましょう!

サイドパネルが開き、Zoom AI Companionが使えるようになります。体感がチャットと似ていて不安になりますが、ここでのAIとのやり取りは本人しか見えないので、問題ありません(ホストが禁止している場合は使えません)。

「どんな話をしていますか?」「タスクはありますか?」「ここまでの話をまとめて」など入力すると、これまでのMTG内容を即時にまとめて回答してくれます。

回答の横の数字をオンマウスすると、回答に引用された書き起こしのテキストが表示されるため、間違いがないかテキストでも確認できるので安心です。

会議に遅れて参加したとき、離席したとき、何の話をしているのか分からなくなってきたときなどに、すぐに整理してくれます。

従来の会議では、これらの「分からない」を解消するために、

  • チャットで個別に確認する
  • とりあえずその場をやり過ごす
  • 後から確認する
といった対応を取らざるを得ませんでした。Zoom AI Companionはこうした状況をスマートに解決し、議論を中断させることなく、必要な情報を得ることができます。

ここが変わった②:議事録が自動的に届く

MTGが終わると、今度は自動的にMTGの議事録がメールで送られてきます。

様々な書き起こしツールや議事録作成ツールが存在しますが、Zoom AI Companionを複数の会議で実際に試用してみて、その議事録の精度はかなり高く、驚かされました。

自動生成される議事録は、

  • 会議の要点
  • 議論のステップ
  • 全体の要約
という明確な構造で整理され、後から参照する際の使いやすさが格段に向上します。例えば、結論だけを確認したい場合は要約を、詳細な議論の流れを追いたい場合はステップを参照する、という具合に目的に応じた柔軟な活用が可能です。

議事録の配信方法もホストが選択できます。

  • 会議終了後の即時自動配信
  • ホストによる確認・編集後の配信

カジュアルなMTGの場合は自動配信、フォーマルなMTGではホストが確認&編集後に配信、というような使い分けもできるかもしれませんね。

ここが変わった③:アーカイブ動画での振り返りが簡単に

アーカイブ動画の確認も、Zoom AI Companionが的確にサポートしてくれます。自動的にチャプターに分割され、重要な議論がハイライトとして抽出されるのですが、単なる時間軸での区切りではなく、会議の文脈を理解して意味のある単位で内容が整理されます。

  • チャプター毎の見出し
  • チャプター毎の要約
がタイムライン形式でまとめられており、動画もチャプター毎に確認できます。後からもう一度詳細を確認したいとき、動画から該当箇所を探し出すのはかなり大変。このように整理されていれば、動画の見直しや振り返りの苦労がかなり軽減されますよね。

会議に参加できなかったメンバーも、AIが整理した構造化された録画があれば、キャッチアップがスムーズになるのではないでしょうか。

2025年にはこの機能がさらにブラッシュアップされ、AIが生成したカスタムアバターを使ってトランスクリプト付きのクリップが作れるようになる予定だとか。イベント等でZoomを使う方であれば、イベントのハイライト動画の作成等に役立てられそうですね。

まだまだ続く! 今後リリース予定の機能

Zoomのサイトを覗いてみると、プレスリリースには記載されていなかった機能の提供も予定されているようです。

アジェンダの作成、リアルタイム要約、対面対応など、これらの機能リリースで今後のユーザー体験がどのように変わっていくのか、ますます楽しみです!

おわりに

私たちの業務時間の多くを占める「会議」とそれに伴う様々な非効率。2024年現在、様々なAIツールが会議の非効率を削減する機能を提供していますが、その中でもZoom AI Companion 2.0のソリューションは革新的なものではないでしょうか。

Zoom AI Companionの特筆すべき点は単なる機能の追加ではなく、会議という「体験」全体を再設計している点です。会議中のリアルタイムサポート、自動議事録作成、そしてスマートな録画管理など、これらの機能が互いに連携し、シームレスな体験を生み出します。

2025年に向けて、さらなる進化を予定していているZoom AI Companion。Zoomはコミュニケーションプラットフォームとしての強みを活かし、AIとの自然な協働の形を示してくれているのかも知れません。

・生成AI関連 スタートアップ企業勤務
・生成AIで書いた脚本で舞台をやりたいと思っている兼業女優。本業はディレクター
「生成AI-EXPO in 犬山」「生成AI-EXPO in 東海」登壇

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