KubeCon Europe 2024にて、New RelicのEMEA担当CTOにインタビュー

2024年6月7日(金)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
KubeCon Europe 2024の会場にて、オブザーバビリティソリューションを手掛けるNew RelicのEMEA担当CTOにインタビューを実施した。

KubeCon+CloudNativeCon Europe 2024から、オブザーバービリティのリーディング企業であるNew RelicのEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)担当CTOにインタビューを実施した。インタビューに応えてくれたのはGreg Ouillon氏だ。

New RelicのGreg Ouillon氏

New RelicのGreg Ouillon氏

自己紹介をお願いします。

New RelicでEMEA担当のCTOをやっています。New Relicに入社する前はユーザーとしてNew Relicを使っていました。実際は旅客機用のITシステム、特にモバイルネットワークと機内Wi-Fiのシステムを提供する企業でCTOをやっていました。その前はテレコム企業のエンジニアリング担当のVPでした。アビエーションの会社ではさまざまな航空会社の機内Wi-Fiのシステムを販売していました。もしもシンガポール航空かエミレーツ航空に乗る機会があれば、その時に使うWi-Fiは私が導入したものですよ(笑)その企業では監視システムとして15種類くらいのツールを使っていましたが、どれも満足の行くものではありませんでした。そこにNew Relicが登場したので「15種類から1つぐらい増えても変わらないだろう」と思って使ってみたんです。

違いはありましたか?

かなり違いましたね。それまでの監視ツールというのはだいたいインフラストラクチャーを監視するものでした。そのデータに加えてアプリケーションから出るログを見てシステムに何が起きているのかを推測するというものでした。実際にそれがアプリケーション、つまりビジネスを直接支える部分にどう影響するのかはすぐにはわからないというのが実態だったのです。つまりボトムアップでエンジニアがインフラストラクチャーの状況からアプリケーションに何が起こるのかを推測する必要がありました。

でもNew Relicを使うと、すぐにアプリケーションに何が起こっているのかを可視化できたんです。そしてそのデータはダッシュボードで可視化されるので、アプリケーションのデベロッパーでもインフラストラクチャーのエンジニアでも、さらにはビジネスオーナーでも同じデータを見て議論することができるというのは驚きでしたね。New Relicによってボトムアップの監視からトップダウンの監視に変化できたことは大きな違いです。

レガシーなシステムであればオブザーバービリティのツールはオンプレミスにインストールして使うというのが常識だったと思います。それをSaaSのサービスで使うということには抵抗はありませんでしたか?

特にはなかったと思います。何よりも、システムに何が起こっているのかを即座に理解できることがユーザーとしては嬉しかったですね。それまではデータベースは専門の管理者、サーバーは別のエンジニアというようにサイロの中でバラバラになっていました。それを同じダッシュボードから見られることは価値が高かったと思います。

EMEA担当ということですが、CTOとしてビジネスの概況を教えてください。

北米とは違ってヨーロッパは、まだ保守的と言えるかもしれません。日本も同じ状況だと思いますが、新しいテクノロジーにはすぐには飛びつきませんね。ヨーロッパでは単にブランドがあるだけでは使って貰えないんです。クラウドを使うという点でもまだ保守的かもしれません。ただしアフリカではスタートアップが出始めているので、彼らにはNew Relicのようなテクノロジーに対して抵抗がないような気がします。

SaaSの場合、顧客にとって安定して高速なインターネット接続が必要だと思いますが、アフリカではその部分がまだ足らないのではありませんか?

その部分についてはかなりCDN(Content Delivery Network)のベンダーが良い仕事をしていると思います。アフリカでもCDNを複数使って安定したネットワークを提供できるようになっていますし、New RelicもCDNベンダーと協力して安定したインターネット接続を通じてオブザーバービリティが可能になっています。

New Relicにとってのチャレンジは何ですか? またEMEAリージョンにとっての課題は?

EMEAについて言えば課題は拠点を作ることだったのですが、それも実現していますし、今やパブリッククラウドベンダーがデータセンターをEMEAに作ることも実現していますので環境は整っていると思います。ただ一方で、文化的な違いは大きなチャレンジと言えるかもしれませんね。北米やアジアと比べて保守的でしたが、新しいスタートアップも多く創立されていますし、デジタルネイティブな企業も増えています。なので環境もトレンドもクラウドネイティブな方向に向かっていると思います。

New Relicブースで撮影。狭いながらも盛況なブースだった

New Relicブースで撮影。狭いながらも盛況なブースだった

New RelicはSaaSベースのオブザーバービリティを提供しているが、アフリカのような電力やインターネット接続が不安定な拠点でも利用が拡がっていることは驚きだった。オブザーバービリティの領域では大手や新規参入も含めて数多くのベンダーが込み合った市場を競い合っている状態だが、スタートアップが数多く出現しているアフリカでNew Relicが静かに市場を獲得しようとしているようだ。引き続きNew Relicに注目していきたい。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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