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これからは「ドローン保険」が必要だ

2016年10月31日(月)
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ドローンの役割は、軍事攻撃から生活や商業を助けたり娯楽のためになったり、とその役割を世界で変えてきている。

たとえば、デンマークで火事や化学事故、大規模な交通事故の際に真っ先に駆けつけるのは、ドローンだ。また、オーストラリアではサメ狩りに使われたりしている。ルワンダでは医療品の配送、ドイツではテスト段階ではあるものの海難事故のレスキューに活用しようとしているケースがある。

また、Amazonなどのオンライン小売業者によるドローンを使ったデリバリーなども計画されている。スタートアップ企業のテクニカル・カンファレンスで低空飛行するドローンが見られるようになったのは言うまでもない。

ドローン活用の限界は、我々の想像力の限界にかかっていると言ってもいいだろう。だが、ドローン活躍の場はほぼ毎日増えている一方で、法整備がそれに追いついていないように見受けられる。

ホビー用・商用ドローンのための法整備

連邦航空局は、8月にドローン活用のための新たな規制を発表した。これまで商用ドローンの操縦者は、スポーツパイロットライセンス以上が必要だったが、それが新たな航空学試験に受かるだけでよくなったという。

この新規制では、ドローンの4000フィート以上および夜間の飛行は許可されない。また、ドローンの重量は55ポンド以下である必要があり、操縦者が視認できる範囲までの使用に限られ、基本的な宅配ドローンを含んだ長距離の使用を禁止する内容となっている。そして、商用ドローンの飛行は日中もしくは夕方に限られ、人口がまばらな地域を除いて車などの移動体からの使用も禁じられている。

趣味でドローンを楽しんでいる人々は、連邦航空局への登録(3年で5ドルかかる)する必要があり、ドローンを飛ばしている現場にいることや、飛行機・スタジアム・緊急現場などに近寄らない、アルコールや麻薬を摂取した状態で使わないといった、いたって常識的なルールを守ることが求められる。

テクノロジーの成熟に伴う保険の必要性

そして、ドローンの利用が増えるにつれ、保険のニーズも高まってくるだろう。データアナリティクス企業 InfoGixの戦略マネージャー センティル・ラジャマニカム氏と話した際、ドローン保険業務を請け負うことについてこう説明してくれた。

「現在あるドローン保険は、ドローンの飛行が安全に行われる可能性が高い地理空間かどうか、で請負が決まる。しかし、このマッピングによる事故のリスク分析は誤ったものが多い。たとえば突然の天候の変化や、マッピングをおこなった時にはなかった建物ができた場合などが考慮さえれていないのだ。

ドローン保険のような、歴史のない保険商品特有の問題は、これまでのデータに偏りがちなところである。過去のデータは必ずしも未来を正しく予見するとは限らず、予想もつかないことが起これば大きなロスを出す可能性が高い。」

こういった予測できない要素を考慮した複雑なリスク請負のために、特定の国や地域の統計データに基づき、リスクイベントが常に価格に反映されるようなリスクモデルを用いるのは1つの方法であろう。保険業者の課題として、彼らはスケーラブルな情報管理システムや複雑なデータ要件をサポートできるコアシステムを持たないため、こういった「複雑なリスク分析をおこなうためのデータの利用に制限がある」ことが挙げられる。

なんとも矛盾した話だが、ドローン保険の基準は、ドローンの飛行台数が増えれば増えるだけ、その際に記録される航路や高度、速度などによって改良され、保険料金も魅力的なものになり、将来の判例の基準を作っていくこともできるのだろう。

ホビイストたちは告訴されるのを待っているだけか

ラジャマニカム氏は、「ホビイストたちは登録制度や重量/高度制限と言った規制を気にかけておらず、またそういった人々が増加していることから彼らを教育するニーズが高まっている」と警告する。

Retailer Best Buyは、そういったホビイストたちに向け「安全しおり」を1000以上の店舗に展開し、Amazonは購入ページに行く前に必ず注意書きを表示するサイトを経由するようにした。だが、誕生プレゼントにドローンをもらった子どもがそれを飛ばし、隣の庭やペットや窓ガラス、もしくは他の子どもに大損害を与えるのは想像に難くない。今年のハロウィンやクリスマスでこのようなことが起これば、訴訟沙汰になってもおかしくないだろう。

言うまでもないことだが、撮影機能を持ったドローンが出てくれば、プライバシー侵害の可能性も出てくる。国レベルでは、電気通信情報局による無料のガイドラインが発行されている。

収集したデータを安全の機密を保ち、規則を遵守させるため、ドローン操縦者たちはドローンを飛ばす前から釘を刺されてるわけだ。ちなみに、いまのところ無料のガイドラインが発行されただけ、の段階である。しかし、これがとりわけ空中撮影などを請け負っているドローン会社たちに対する訴訟を引き起こす大きなキッカケになるかもしれない。

ドローン操縦者たちが必要とするこういった保険は、ドローン活用の幅を狭めるのではなく広げることだろう。誰かにドローンをプレゼントしようと考えているのであれば、その際に保険もセットにしておくと後々喜ばれるかもしれない。

CATE LAWRENCE
[原文4]

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