運用プロセス標準化へ導く統合管理ツール
業務にマッチしたITIL運用管理ツールを活用
これまで3回にわたり、仮想化統合インフラの運用課題と解決策について解説してきました。第1回で触れた通り、インフラを統合すると、アプリケーション管理とインフラ管理を分離できます。
ただし、運用体制が変わり、複数のアプリケーション・チームに対して1つのインフラ・チームで対応することになるため、コミュニケーションは複雑化します。
第4回では、複雑化によるミス・コミュニケーションを防いでシステムを円滑に管理するために役立つ製品として、CTCテクノロジーの「ITLifeGear(アイティライフギア)」を紹介します。同製品は、第3回で紹介した「RePlavailサービス」を支えるツールの一部としても利用しています。
ITLifeGearは、複数プロジェクトの仮想環境を含む構成機器情報の集約をはじめ、障害発生や問い合わせ対応、さらに根本的な対策の実施に至るまでのプロセスを統合的に管理するサービス・サポートWebツールです。
まずは、製品の説明をする前に、ツールの導入方法を見直すきっかけとして、以下の問題を提起します。
【問題提起-1】: ツール導入のコスト対効果は適切か
ITインフラの複雑化に伴い、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)のフレームワークに準拠した運用管理ツールが多数発表されています。中には、ITILの基本要項を網羅し、なおかつ監視機能を備えているオール・イン・ワン型の製品もあり、全面的な改善を検討している企業にとっては最適な選択だと思います。
しかし、例えばプロジェクトの特徴などにより見直し可能な個所が限定される企業の場合、投入したコスト分の機能を活用できない可能性があるのではないでしょうか。最近では携帯電話なども便利になり高機能を極めていますが、使わない機能やそもそも知らない機能がたくさん、ということはありませんか。
【問題提起-2】: 運用現場は“十社十色”
ITILを当てはめることでより効率的な運用が可能となるかも知れません。しかし、だからといって一般的に販売されているITIL運用管理ツールを採用することが、そのまま自社の効率的運用につながるとは限りません。運用現場には現場特有の色があり、塗り替えるのが難しいということはありませんか。ツール本来の使用意図とは異なると理解しつつも、仕方なくツールの型に運用ルールを合わせている、ということはありませんか。
ツールを導入する事が本末転倒とならないよう、現状の運用プロセスを見直しつつ業務にマッチさせることが、何よりも重要です。
運用現場の声で進化するツール
ITILを参考にしている点ではITLifeGearも同じですが、上記に述べた問題を踏まえ、ITILからのトップ・ダウンではなく現場の声からのボトム・アップでITLifeGearを開発しています。さらに、ユーザーの要件に合わせ、低価格/短納期でのカスタマイズを実現しました。
ITLifeGearの開発は、自社の業務効率化と品質向上につながるツールを自分たちで作れないか、というところから始まりました。開発にあたり、まず部門内の各プロジェクトで別々に管理されていた障害管理帳票やナレッジWebを精査し、項目や機能を洗い出しました。
こうして、各プロジェクトで必要とする機能をある程度統一化してリリースしたのですが、やはり始めは戸惑いの声が絶えませんでした。
これを受け、社内リリース後も各部署の代表者たちから成るワーキング・グループを発足。定期ミーティングにて要望や意見を出し合い、それらを元に機能拡張を図るようにしました。定期ミーティングは現在も続いており、アップデート・リリースは月に1~2回のペースで実施しています。
このように、モニター意見ではなく毎日利用する現場ユーザーからの意見を欠かさないことで、開発者の自己満足ではなく細部に亘って使いやすいツールが生まれたのです。
それでは、次ページからITLifeGearの特徴を紹介します。