運用プロセス標準化へ導く統合管理ツール
ユーザーの業務に合わせて柔軟にカスタマイズ
1ページ目で“運用現場は十社十色”である点について解説しました。この考えを基に、ITLifeGearではユーザーの業務に合わせてカスタマイズを実施します。たとえ具体的な機能要求が固まっていなくても、現状の問題点や目指す運用プロセスの相談を受ければ、より良い方法を提案しています。
下記は、カスタマイズの実例の一部です。
【JP1/Integrated Management(JP1/IM)からメッセージを取得】
日立製作所の統合運用管理ツール「JP1」を構成する1製品であるJP1/IMの自動アクションから発行されたメッセージを、ITLifeGearの外部インタフェース経由で取り込みます。
ユーザーの社内システムのデータベース上に保管されている、拠点やホストごとの作業情報を基に、変更作業中のホストから発生したエラーを除外。さらに、一定時間内に連続発生した複数の同件エラーを1つに集約します。これらの独自フィルタリングを通して必要なメッセージのみをインシデントとして自動登録することで、運用担当者の負担を軽減します。
【個々の構成機器の作業スケジュール表示】
作業予定を構成機器ごとに週間カレンダーで一覧表示します。
【ユーザー独自の社内システムへデータ登録】
インシデントのデータを引用し、ユーザーの社内システムへ転送、データベースに保存します。ITLifeGearを介してデータの登録、更新、削除の操作ができ、データの共有によって操作の重複を防ぎます。
【ネットワーク接続型パトランプの制御】
対応中のインシデントのステータスや、最終対応からの経過時間など、あらかじめ設定しておいた条件に合わせてパトランプ(警告灯)を鳴動させます。複数プロジェクト間で対応が重なった場合でも、対応忘れを防止できます。また、鳴動パターンなども管理可能です。
【日報の配信】
1日に発生した障害や作業情報をまとめてメール配信します。シフト勤務体制において、次シフトへ引き継ぐ際の資料として活用できます。
【各入力項目の改修】
入力項目をユーザーの管理方針に合わせて追加、除去します。インシデント管理ではプロジェクトごとにカスタム項目を追加できますが、あらかじめ必要な項目が確定しているユーザーには有効です。
【過去データの取り込み】
ITLifeGearの導入時に、既存システムで管理していたデータを取り込みます。CSVもしくは特定のデータベースから移行します。
これらのように、運用管理ツールとしての基本機能を搭載したITLifeGearをベースにカスタマイズすることで、新規開発よりも短納期に、かつコストを抑えて導入できます。開発手法にアジャイル型を採用していることも、短期開発が可能な根拠となっています。
機能要求は変化する
ここで、アジャイル型開発のメリットの一部について紹介します。
プロジェクトの進め方としては、ドキュメントの作成を一部にとどめ、最終リリースまでの間に要件整理とリリースを繰り返し行います。こうすることで、ユーザーへのフィードバックを頻ぱんに行うこととなり、要望のずれが無くなります。動くものを利用して逐次確認できれば、要件整理中には盲点となっていた個所にいち早く気付きます。これらの結果、開発期間を抑えることにもつながるのです。
さらにテスト駆動型(テスト・コードを書いてからプロダクト・コードを実装すること)で行うため、コードの修正に対するリスクが低く、開発途中での機能要求の変更にも柔軟な対応が可能です。通常、機能要求は初めに決めるものですが、多くの場合で“要望は変化していくもの”だということは、図3の調査結果からも分かります。ここから“変化に強い開発”の重要性が伺えます。
今回は最終回ですが、これまで伊藤忠テクノソリューションズとCTCテクノロジーは、4回に亘って仮想化環境の運用管理について解説してきました。ここで見えてきたのは、仮想化技術による運用体制の変化に伴い、運用管理ツールも日々変化を求められるものであるということです。
しかし、今回紹介したITLifeGearの特徴である“変化に強い開発”は、まだ広く一般的とは言えません。また、この方法を成功させるためには、開発側とユーザーが互いの状況をよく話し合い、信頼関係を築く必要があります。今後も、運用管理プロセスの見直しを検討されるユーザーの助けになれるよう、サービス展開に努めます。
【参考文献】
『初めてのアジャイル開発』(Craig Larman著、日経BP社発行、発売)(発行年:2004)