相互互換性基準の欠如がどのようにIoTをダメにするのか
我々はこれまでにないIoTイノベーションの時を迎えており、Gartnerの試算によると1日あたり550万もの新たなデバイスがネットに繋がっていくという。
その存在感はずいぶんと大きなものになったが、対応すべき重大な課題はいまだに存在する。それが「相互互換性」についてだ。エコシステム全体、特に消費者IoTにおける長期的成長には重要な鍵である。また、業界が抱える最大のハードルであり、その成長の加速の妨げとなっている。
マッキンゼー社は相互互換性はIoTがもたらすであろう価値の40%を引き出すために必要とされると見込んでいる。
今日のIoTの複雑性はまだそれほど高くない。基本的には多くのデバイスがネットにつながり、リモートでコントロールされ、それらから通知を受け取るという仕組みで説明ができる。これが次の段階に移行するにあたり、我々はアクションを取らなければならなくなるだろう。課題として挙げた相互互換性には多くの層が存在する。たとえば、無線規格などデバイス同士がシステム内できちんと通信するために対応すべき物理レベルの課題については、おおかた解決済みである。
我々がいま取り組まなければならない分野は、データ、ヒューマンマシンインターフェース(HMIs)、サービスやナレッジの相互互換性についてだ。
メーカー同士がうまくやれるとは限らない
現在は異なるメーカーの製品同士、あるいは同じメーカーでさえもモデルや世代が異なる場合、データ層での互換性はない。古いバージョンや、Apple WatchからMicrosoft Bandへといった他のメーカーのIoTデバイスとデータをやりとりすることはできない。
その結果、データの継承性は失われる。HMIの場合は、あらゆるデバイスでサービスが動くためにどういった操作機能が必要になるだろうか? ここでいう操作機能とは、たとえば音声やジェスチャーの認識機能などのことだ。
サービスに関していえば、異なるメーカーのデバイス同士がハイレベルなサービスを提供するために情報共有できるのだろうか? 証明、ホームセキュリティ、冷蔵庫、洗濯機、娯楽システムなどが異なるメーカーのものやシステムと連動しより高いエネルギー効率と便利さ、快適さを提供するスマートホームを想像してみてほしい。
加えてナレッジレベルの話をすると、ユーザの好みなど、どういった情報をエコシステム内で共有すればユーザが何度もプロファイルを作らずに済ませられるだろう? そして、そのデータは誰が保持することになるのだろうか?
これらの問いは答えが要される必要があり、その責任は企業や組合、政府や社会などすべてのステークホルダーにある。
国によってはこれを進めているところもある。たとえば中国では新たな工業提携がなされ、データやHMI、カレッジにサービスの相互互換性のための規格やプロトコルの策定が進められている。だが、市場における相互互換性の問題はどこでも同じであることを考えると、これは世界的に取り組まれるべきものだろう。標準的な工業・消費者組合らはプロトコルの策定に一役買うことができるはずだ。
コンシューマの意識の高まりも必要だ
IoTについての消費者たちの意識の高まりも必要であり、特にデータやプライバシーについての対話の参画がもっと求められている。政府はこの点についての指示やガイダンスを提供しなければならない。まずスタートアップから世界的な企業に至るまで、情報や技術の共有ポリシーについて足並みを揃える必要がある。
個人的に求めるものの一例を挙げるならば、異なるシステムやデバイスをサポートしていて、互いのサービスやナレッジ、データ通信を楽にサポートでき、エンドツーエンドなデータ保護もされるオープンなプラットフォームだ。個人的にもっとも関心の高いところだが、「そのデータを誰が保存し利用するのか」を選べたらさらにいい。
たとえば、この状況を電力の場合に例えてみたい。現在、誰も電気を使うのに周波数や電圧を気にする人はいないだろう。とりあえずプラグに差し込めば電力を得ることができる。これがIoTで現実となり、サービスが花開くことを想像してみるといい。そのためにも、まず第一に取り組むべきことは「規格の標準化」だと改めてここに述べたい。
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Dr. Shipeng Li
[原文4]
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