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データベーススペシャリスト試験の試験概要と全体傾向

2017年2月1日(水)
玉木 学

はじめに

今回から6回にわたって、情報処理技術者試験 データベーススペシャリスト試験の対策講座を連載します。ITに関する知識レベルやスキルを認定するための国家試験である情報処理技術者試験のうち、高度試験の1つである「データベーススペシャリスト試験」合格のための学習法を紹介します。なお、本連載のねらいは、

これからデータベーススペシャリスト試験(以下、DB試験)を受験する方が最小限の努力で合格するためのノウハウを伝授すること

です。データベース技術をじっくり、しっかりと身につけたい方は他の記事や書籍等で学習してください。

連載のテーマ

各回の解説内容は、以下の通りです。

第1回:データベーススペシャリスト試験の概要と傾向
第2回:午後Ⅰ試験対策(その1)
第3回:午後Ⅰ試験対策(その2)
第4回:午後Ⅱ試験対策
第5回:午前Ⅱ試験対策
第6回:午前Ⅰ試験対策

なお、午前Ⅱ試験対策は午後Ⅰ試験と午後Ⅱ試験の内容を除いたものを紹介する予定です。

DB試験の概要

DB試験は、春季試験として4月の第3日曜日に実施されます。DB試験に合格するための第一歩は現状を把握し、何を補う必要があるかを理解することです。そこで、まずはDB試験の概要を把握しておきましょう。

1. 対象者像

高度IT人材として確立した専門分野をもち、データベースに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者。

2. 期待する技術水準

高品質なデータベースを企画、要件定義、開発、運用、保守するため、次の知識・実践能力が要求される。

(1)データベース技術の動向を広く見通し、目的に応じて適用可能な技術を選択できる。
(2)データ資源管理の目的と技法を理解し、データ部品の標準化、リポジトリシステムの企画・要件定義・開発・運用・保守ができる。
(3)データモデリング技法を理解し、利用者の要求に基づいてデータ分析を行い、正確な概念データモデルを作成できる。
(4)データベース管理システムの特性を理解し、高品質なデータベースの企画・要件定義・開発・運用・保守ができる。

(出典:独立行政法人 情報処理推進機構 ホームページより)

筆者自身が過去に勘違いしていたことを紹介しましょう。筆者は以前、Oracle製品を扱っており、その扱いには自信を持っていました。そして、力試しでDB試験を受験したのですが、午後Ⅰ試験で不合格でした。あとで振り返ってみると、DB試験の対象者像や求められるスキルと私の経験がマッチしていないことに気づきました。まずは、対象者像と求められるスキルを確認することが重要となります。

3. 試験時間・出題形式・出題数(解答数)

DB試験は4つの試験から構成されており、すべての試験に合格する必要があります(一部の方は午前Ⅰ試験の免除を申請可能)。

(出典:独立行政法人 情報処理推進機構 ホームページより)

DB試験の受験者数と合格率、スコア分布

平成28年度の受験者数は9,238名でした。ここ数年は受験者数が1万人前後となっています。一方、平成28年度の合格率は17.5%でした。ここ数年は16~18%、つまり6人に1人程度となっています。この合格率を具体化した、平成28年度の各試験のスコア分布は以下の通りです。

(出典:独立行政法人 情報処理推進機構 ホームページより)

DB試験を受験される方は既に他の情報処理技術者試験も受験されていると思いますので、その経験を活かして午前試験の合格率が高くなっていると考えられます。その一方で午後試験の合格率はそれぞれ50%前後となっています。特に、午後試験では50~59点の方が非常に多く、あと少し試験対策に取り組んでおけば合格だった方が多いことがわかります。

午前Ⅰ試験の出題内容と出題傾向

【過去3年分の午前Ⅰ試験出題傾向】(筆者の独自分析)

【特徴】

  • 試験時間は50分
  • 30問中18問以上正解で合格
  • 他の高度試験と同一問題
  • テクニカル系・マネジメント系・ストラテジ系の各分野から幅広く出題されている
  • セキュリティ分野の出題数が多い
  • 同一問題や類似問題が出題される場合がある
    【同一問題の例】平成28年度秋期高度試験共通 午前Ⅰ試験 問2と平成26年度春期高度試験共通 午前Ⅰ試験 問2
  • 問2 表は,入力記号の集合が{0,1},状態集合が{a,b,c,d}である有限オートマトンの状態遷移表である。長さ3以上の任意のビット列を左(上位ビット)から順に読み込んで最後が110で終わっているものを受理するには,どの状態を受理状態とすればよいか。

    ア a     イ b     c ウ     エ d

  • ある回における不正解の選択肢が後の回の正解の選択肢として出題されることがある
    【例】平成26年度秋期高度試験共通 午前Ⅰ試験 問15と平成27年度秋期高度試験共通 午前Ⅰ試験 問12

    問15 無線LANを利用するとき,セキュリティ方式としてWPA2を選択することで利用される暗号化アルゴリズムはどれか。

    ア AES    イ ECC    ウ RC4    エ RSA

    正解:

    問12 公開鍵暗号方式の暗号化アルゴリズムはどれか。

    ア AES    イ KCipher-2    ウ RSA    エ SHA-256

    正解:

    この例は、過去に不正解の選択肢だったRSAが後の問題で正解の選択肢として主題されたものです。

午前Ⅱ試験の概要

【過去3年分の午前Ⅰ試験出題傾向】(筆者の独自分析)

過去3年分の午前Ⅱ試験出題傾向(筆者の独自分析)

【特徴】

  • 試験時間は40分
  • 25問中15問以上正解で合格
  • データベースからの出題が19問を占めている
  • データベースに関する問題は幅広く出題されている
  • 類似問題が多数出題される
  • 同一問題が出題される場合もある
    【同一問題の例】平成28年度春期DB試験 午前Ⅱ試験 問18と平成26年度春期DB試験 午前Ⅱ試験 問16

午前試験の学習方法

筆者が考える午前試験の学習方法は以下の通りです。

1. 午前試験の過去問題を解いてみる過去問題はこちら
午前試験は四肢択一問題となっています。学習時点に勘で正解しても何の意味もありません。そのため、解ける問題は解いて正解か確認し、少しでも正解に自信のない問題を学習対象としましょう。このとき類似問題に対応するため、正解だった選択肢だけでなく不正解の選択肢についても学習しましょう。
2. 解答する自信のない内容を学習する
自身の得意分野を勉強したくなりがちですが、試験で60点を取るためにどの分野を強化すべきか考え、効率的に学習しましょう。
3. 自信を持って解ける問題の割合を50%以上にする
筆者の経験則ですが、四肢択一問題で少しでも自信を持って解くことができない問題の正解率は50%です。この確率は人によって異なると思いますが、合格基準が100点満点の60%であることから、自信を持って正解できる問題を50%にしておけば、残りの問題の正解率が25%でも全体の正解率は62.5%となり合格となります。
4. 解答しやすい問題から1問平均1分で解く
全問解答したあとで見直しする時間を考えると、1問の解答にかけられる時間は1分間です。解答のスピードを速めるとともに、すぐに解答できる問題から解くようにしましょう。

午後Ⅰ試験の概要

【過去3年分の出題テーマ】

【特徴】

  • 試験時間は90分
  • 3問中2問を選択し、複数の設問について解答する
  • 1問ごとのページ数は5~8ページ
  • 各問題中の設問は2~3(ほとんどが設問3つ)
  • 各設問中にさらに小問題が2~3問ある
  • データベースを設計する上で反映すべき要件や制約事項を把握し、設計上の不備を指摘するとともに、データベースに関する設計が適切にできることを根拠を持って説明することが求められる
  • 毎年必ず出題されるのは、関数従属性、正規化、主キー/外部キーの定義、SQL
    ※SQLの出題は平成26年度のみに見えるが、平成28年度問3、平成27年度問2と問3、平成26年度の問2にも含まれている。
  • 基本的に3問すべてを解く時間はない

午後Ⅱ試験の概要

【過去3年分の出題テーマ】

【特徴】

  • 試験時間は120分
  • 2問中1問を選択し、複数の設問について解答する
  • 1問ごとのページ数は9~14ページ
  • 各問題中の設問は1~3(ほとんどが設問3つ)
  • 各設問中にさらに小問題が2~4問ある
  • データベースシステムの開発・運用に関する事例を理解し、その中にある課題を理解し解答する実践能力を持つことを求められている
  • 毎年必ず出題されるのは、データベースの物理設計と概念データモデリング
  • 基本的に2問とも解く時間はない

午後試験の学習方法

筆者が考える午後試験の学習方法は以下の通りです。

1. まずは過去問題を1問解いてみる過去問題はこちら
まずは時間を測って1回分解いてみましょう。試験時間の90分を過ぎても構いません。解答時間を把握しましょう。そして答え合わせをして、問題文中から解答の根拠が把握できているかを確認します。
2. 解けなかった問題を学習する
関数従属性・正規化・SQL・容量見積など、解答できなかった設問に関連する技術を確認します。
3. 過去3年分の問題を解く
1.で解けなかった問題は解けるようになるまで何度でも挑戦してください。そのうえで過去3年分の問題を解きます。少なくともデータベースの物理設計か概念データモデリングの一方が解けるようになることと、時間内に解答できることを確認しましょう。

おわりに

今回はDB試験の概要と出題傾向、および学習方法を紹介しました。最小限の努力で60%以上の正解を導き出し、合格を勝ち取りましょう!

次回は、午後Ⅰ試験の頻出内容から、関数従属性と正規化、主キー/外部キーの定義に関する問題の解法を紹介します。

NECマネジメントパートナー株式会社 人材開発サービス事業部
1993年日本電気株式会社入社。教育部門に所属し、データベース領域の教育(特にOracleデータベース)を担当。現在は情報システムの開発技術教育を担当し、要件定義や設計担当者を育成している。受講者が主体的に考え、楽しく学べる研修の提供により、高い評価をいただいている。

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