UCアプリ前編(プレゼンス、Web会議など)
コンタクト・センター連携で応答効率を高める
コンタクト・センターの歴史は長く、古くからCTIが使われてきましたが、UCを導入することで多くのメリットを得られます。
まず、コンタクト・センターをIP化した場合、IPで通信できる範囲であればどこにでもエージェント(応答担当者)を配置できます。これにより、地方拠点の余剰人員などをエージェントとして活用できます。地方拠点の代表番号をコンタクト・センター側で一元的に受け、必要に応じて拠点に電話を戻すことで、拠点の社員の負荷を減らすこともできます。
バック・オフィスをUC化することで、バック・オフィスとコンタクト・センターの連携も可能です。典型例は、プレゼンス/チャットとの連携です。コンタクト・センターではしばしば、エージェントで完結できない質問がくる場合があります。この場合、バック・オフィスにいるエキスパートに質問を投げる必要がありますが、プレゼンス/チャットと連携していれば、エキスパートの在席を確認してチャット/電話で質問でき、一次応答率や応答時間の向上が見込めます。さらに、Web会議システムが導入されていれば、エージェントとエキスパート間で画面を共有しながら問題解決を図ることも可能です。
コンタクト・センターでは、業務アプリケーションとの連携が必要な場合もあります。さまざまな種類の業務アプリケーションが連携対象です。販売管理システムやCRM(顧客関係管理)、SaaSベースのCRMなどさまさまです。連携の深さも、着信ポップだけの簡易的な連携から業務アプリケーションに電話応対ボタンを埋め込む深い連携までさまざまです。もっとも簡単で小規模から導入できる方法が、SaaS型CRMの「Salesforce.com」との連携です。
徐々に一般化が進むWeb会議
Web会議は、PCの画面/資料共有と音声/ビデオ通話を同時に行う製品です。Web会議と名前が付いていますが、製品によってはWebブラウザ・ベースではなく、アプリケーションのインストールが必要な場合があります。契約形態は、SaaSとして提供される場合と、社内にサーバーを設置する場合に分かれます。最近のWeb会議システムは、SaaS型が増えているようです。
Web会議システムの機能としては、画面やアプリケーションの共有、音声/ビデオによる3者会議機能などがあります。このほか、注釈機能やチャット機能などが標準機能とされています。このうえで、遠隔授業に適した機能や、営業支援ノウハウのテンプレートをナレッジ管理する機能などによって差別化を図っているものがあります。
SaaS型を採用した場合は、当然ながら、PC画面や音声/ビデオのトラフィックがインターネットへと出て行きます。この場合、参加者の各PCに対して個別にトラフィックが流れ込むため、参加者が増えれば増えるほど消費する帯域が増えてしまいます。このことでインターネット回線の帯域を圧迫する場合があります。これを解決するため、社内でプロキシ的に動作してWeb会議トラフィックを集約し、トラフィックを最小化する製品があります。
Web会議システムは、PC上のさまざまなアプリケーションと連携可能です。例えば、WebブラウザやMicrosoft Office製品群、メール・ソフトなどから、ワン・クリックでWeb会議を開始できます。ほかのUCツール、例えばプレゼンス/チャット・ツールからもワン・クリックでWeb会議が起動します。スマートフォンからWeb会議に参加できるものもあります。
今回は、UCツールのいくつかの例を解説してきました。次回は、残りのUCツールについて解説します。
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