UCアプリ後編(ビデオ会議、運用ツールなど)

2010年2月19日(金)
荒牧 大樹

ビジネス用ビデオ会議は選択肢が豊富

前回は、ユニファイド・コミュニケーション(UC)で使われるアプリケーションのいくつかを解説しました。今回は、前回に引き続き、残りのUCツールについて解説します。

まずはビジネス用途のビデオ会議システムです。今までは会議室型のビデオ会議システムが主流でしたが、現在ではさまざまな形態があります。利用用途に応じて、大きく以下の4つのカテゴリに分かれます。

1. 会議室型

従来通りの、会議室を利用したタイプです。今後はテレビのHD(高解像度)化に合わせて、HD品質の端末が増えると考えられます。SD(標準解像度)からHDへの変更は、机上では大きな変化がないように感じられますが、体験してみると違いは明らかです。

2. 空間共有型

テレプレゼンスに代表される、あたかも同じ場所にいるような感覚を抱かせるものです。空間を共有しているかのような感覚を得られます。

3. フリー・ロケーション型

PCを使って、場所を問わずにどこでも個人で手軽にビデオ会議に参加します。一般的にはPCにカメラを接続して利用します。

4. 電話一体型

電話機と一体型の製品です。携帯電話や固定電話にカメラが接続されています。相手の電話番号を指定すればすぐにビデオ会議を始められるなど、電話と同じ操作でビデオ会議を利用できます。また、携帯電話なら外出先からもビデオ会議に参加できます。

このように、ビデオ会議は4つの利用用途に分かれていますが、これらはそれぞれ相互接続可能です。つまり、PCやビデオ会議端末や携帯電話からも、テレプレゼンス会議に参加できます。つまり、ユーザーごとにツールを使い分けられます。役員はテレプレゼンス、会議室は会議端末、社員は自席からPC、移動中は携帯電話から参加など、利用シーンごとに導入できます。

テレプレゼンスは臨場感を演出

UCを構成するツールの内で一番大掛かりなのが、テレプレゼンスです。ビデオ会議システムと同じコンポーネントを使用しながら、臨場感を大切にしたシステムです。音質や、照明、等身大の表示に、かなり気を使っています。

テレプレゼンスにより、ユーザーはストレスなく遠隔会議が可能です。特にグローバル企業など、頻繁に人が各拠点を行き来している企業では有益です。比較的価格が高い製品ですが、移動にかかる人件費や生産性の向上効果と比較すると、比較的短い期間で元が取れる場合もあります。

従来、テレプレゼンスの設置時は、専用の部屋の確保や専用線の敷設が必要でした。今では、テレプレゼンス専用の部屋を用意することなく、通常の会議室を使ってテレプレゼンスを実現する製品も登場しています。

さらに、NTTのNGNやBフレッツを利用することで、通信費も極力少なくできます。NGNを利用する場合は、たとえ別会社同士であっても互いに電話番号を知っていさえすればビデオ会議を始められるという利点もあります。

例えば、シスコシステムズとネットワンシステムズは、NGNにテレプレゼンスを接続しています。互いに電話をかけることでテレプレゼンス会議ができるので、人の往来を減らすことができました。強い関係にある会社間を結ぶ仕組みとして、NGNでの接続は最適です。

テレプレゼンスは、どちらかと言えば会社の役員クラスが使うツールとして登場しましたが、今後は個人や家で、さらには医療への応用を考えた形で拡張/発展していくと予想されます。

次ページからは、電話機を活用したアプリケーションを紹介します。

ネットワンシステムズ株式会社
2001年よりIP電話機構築に関わる。国内の大手金融や製造系の大規模なUCネットワーク構築に於いて、先端UC技術をいち早く取り入れてきた。メーカー以外の企業のエンジニアとして、UC技術の最高資格である「CCIE Voice」を国内で初めて取得。現在はネットワンシステムズ株式会社にて、UC製品の先端技術サポートを行っている。

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