連載 :
  ReadWrite Japan

Google、Azure、AWS 三つ巴のクラウド競争の勝者は?

2017年5月22日(月)
ReadWrite Japan

クラウドプラットフォームを選ぶ際に、慣れていない人はコストのみを見て判断するかもしれない。
しかし、最終決定をくだすまえに様々なビジネスでのニーズを考慮すべきである。
これを読んだあなたにとって、三大クラウドプラットフォームの違いが明らかになれば幸いである。

現在のクラウド市場におけるメインプレイヤーはGoogle Cloud Platform(GCP)、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azureの3つだ。
きびしい競争の結果、低価格で素晴らしい機能のサービスが提供されるようになった。
中小企業に限らず、大企業のさらなる成長の助けにもなっている。

関連記事:クラウドホスティング移行でやりがちな4つの大きなミス

クラウドコンピューティングは独力でテクノロジーのあり方を変えてきた。
今ではクラウド上で誰でもウェブサイトを開き、ファイルを管理し、これまでできなかったことができるようになった。
大企業もまたクラウドの利点をあますことなく活用している。

中小企業、大企業にとってクラウドが重要な理由とは

詳しい比較に入る前に、なぜクラウドがいまの市場で重要なのかを知る事が重要だ。

クラウドコンピューティングによって、企業はインフラのメンテナンスを気にする必要がなくなる。
LiveEduNetflixSpotifyなどの大企業はそのメリットを大いに活用しており、そうすることでメンテナンス上の技術的なことを気にかけずに済んでいる。
気にかけずに済むのはインフラについても同様であり、視聴者にサービスを届けるという彼らの本業に注力できている。

中小企業もまたクラウドのメリットを活用し、運用の必要なインフラではなく、製品開発に専念している。

クラウドプラットフォームの紹介

・Google Cloud Platform (GCP):
GCPの開始は2011年10月6日のことだ。開始後わずか5年で、市場で大きな存在感を示すようになった。
まずYouTubeやGoogleといった自社のサービスを稼働させることから始まり、後にはエンタープライズサービスを作り上げ、誰もがクラウドを使えるようになった。運営するのはGoogleだ。

・Amazon Web Services (AWS):
11年もの稼働年数を持つAWSは市場で最も歴史あるサービスの1つだ。彼らのサービスは幅広く、配置やモバイルネットワーキングなどクラウドでの重要な分野をカバーしている。
運営するのはAmazonだ。

・Microsoft Azure:
Azureの歴史も6年ほどで、市場における有望株だ。市場をリードしているAWSとも楽に組み合わせることができる。Azureもまた一通りのクラウドサービスを提供している。運営はMicrosoftだ。
注:クラウドサービスは予め設定された製品の組み合わせによって構成されている。

プロバイダーの識見に言及するため、それを「ソリューション」と呼びたいと思う。これら「ソリューション」は問題を高い効率と信頼性をもって解決するために用いられるものである。

三つ巴の戦い

これら三者の違いを理解するために、さまざまなパラメーターを用いて評価する事が必要だ。
そして締めくくりにそれぞれの一般的な見解、それぞれのクラウドサービスが使われる使用事例について述べたいと思う。

先に断っておくが、ここでは価格について触れない。理由はシンプルで、価格はあまりに変動が大きいからであり、価格について知りたいのであれば該当するそれぞれのページを見るのがベストだからだ。
以下はそれぞれの価格についての説明ページになる。

GCP : https://cloud.google.com/pricing/
Microsoft Azure :https://azure.microsoft.com/en-us/pricing/
AWS :https://aws.amazon.com/jp/ec2/pricing/

演算能力

演算能力はクラウドサービスが提供するものだ。一般的に演算能力は高いことが望まれる。
また価格に直接的に比例するため、価格は3大クラウドが提供する演算能力を理解する上で重要な役割がある。

したがって、多くの演算能力が必要であれば、より多くのリソースを割り当てればよい。
リソースの割り当てはいつでもおこなうことができ、導入やメンテナンス、ハードウェアのコストを心配せずに済むため、スタートアップ企業はこの方法の恩恵に最もあずかっている。

AWSからふれていこう。AWSが提供するEC2 (Elastic Compute Cloud)は、あらゆる演算サービスを担っている。所有者の設定、もしくは初期設定により機能する仮想マシンで動いている。
GCPが提供するGCE(Google Compute Engine)も基本的に同じ機能を有する。Azureでは仮想マシンスケールセットが提供されている。

これらすべてがコンテナをサポートしている。コンテナは管理が簡単で実にポータブルだ。
AmazonのEC2 Container Service(ECS)、GoogleのContainer Engine、Azureのコンテナサービスを使えばインスタンスをより迅速に取り扱うことが可能になる。
インスタンスの状態を表す計測値を簡単に追加できるし、異なる環境にも気軽に持っている。

概念的にはこれらは全て似通っている。
しかし、価格や顧客体験といった観点を加えると、どれを選ぶかというのは簡単な話ではなくなってくる。演算能力でクラウドプラットフォームを選ぶのであれば、Right Scaleのクラウドコスト分析に目を通して、どれが予算的にベストかを考えてみるといい。

ストレージ

ストレージもまたクラウドサービスを理解するうえで重要なパラメーターである。
クラウドストレージはパソコンに搭載されている通常のHDDやSSDとは全く異なる仕組みをもつ。
パソコンは様々な問題を解決しなければならないし、転送中のデータが失われないようにしなければならない。その複雑さがクラウドサービスプロバイダーの素晴らしいソリューションを生みだしたのだ。

クラウドプロバイダーの一角を占めるAmazonが提供するS3(Simple Storage Service)は中でも最も優れているといわれている。S3は豊富な情報処理、適切なサポート、長年の実績に裏付けられた信頼性を誇る。したがって、十分なリソースを備えた適切なストレージを探しているのであれば、Amazon S3が最善の選択肢といえる。

他の二社も素晴らしいストレージソリューションを提供している。
Microsoft Azure StorageGoogle Cloud Storageも信頼のおけるサービスである。

演算能力同様、ストレージも値段と連動する。優れたストレージソリューションを提供するAmazonはその分高くつくので、十分な予算がある場合にしか選ばれない。

バックアップソリューションも提供されているが、価格との関係性はまた異なってくる。

ロケーション

アプリケーションの配置の話でいうと、ロケーションは重要である。まず、アプリケーションの稼働を最大限に高めるためには、ターゲットとなる顧客ベースへ最短のルートでサービスを提供できないとならない。つぎに、クラウドサービスを利用するのであれば、そのためのコストはおさえたい。
というのも、サービスをどの地域から利用するかによってその値段が変わってくるからだ。
たとえば、アメリカでクラウドサーバーを利用するのは高くつく、といった具合に。

3大クラウドプラットフォームはどれも世界中で素晴らしいカバー範囲を実現している。
Amazonは42の利用可能地域を誇る。
Azureも32の利用可能地域を誇り、負けていない。
GCPは33の国で展開している。
ちなみに、日々新しいエリアが利用可能地域として追加されている。

データベース

データベースは扱いが複雑だが、クラウドプラットフォームに投資する前に、ソフトウェア利用規約とクラウド上のデータ管理について目を通しておいたほうがいい。

様々なベンダーが提供するデータベースイメージを使えば簡単に始めることができる。
Googleがエンドユーザに提供するオプションが物足りない一方で、AzureとAWSが提供するオプションは豊富だ。AmazonのRDS(Relational Database Service)はOracleやPostgreSQLなどのメジャーなデータベースにサポートを提供している。サービスにはアップデートからパッチ適用、よくあるデータベースの問題に対するソリューションまで含まれている。

AzureとGCPではそれぞれAzure SQLCloud SQLが提供されている。AzureではDocument DB、AWSではAuroraという高性能データベースも提供されている。もちろん、主要なサービスプロバイダーによる様々なツールやサービスも提供されている。

ドキュメント

最後はドキュメントについてだ。自分のためであれ会社のためであれ、クラウドプラットフォームを選ぶうえでドキュメントの整備は大きな意味をもつ。簡便性は重要で、決して見逃されてはならない。

もっともドキュメントが充実しているのはAWSで、続いてAzure、GCPの順番になる。AWSのドキュメントは運用歴と多くの人の貢献の賜物だ。

最後に

クラウドサービスの比較は簡単ではないが、今回紹介したのはほんのさわりの部分であり、クラウドをはじめようとする人に向けての内容でしかない。もし決定に行き詰ることがあれば、いつでも専門家に相談すればよい。彼らはクラウドプラットフォームの内から外まで理解しており、あなたのニーズにそったクラウドサービスをすすめてくれるだろう。

もっとも安全なオプションを使用したい場合は、AWSが良いだろう。もしMicrosoftの製品や開発言語を利用するものであれば、Azureを使ってMicrosoftのエコシステムが活用できる。GCPはちょうど真ん中の立ち位置にあり、たいていの場合上手くやることができるだろう。個人であれ会社であれ、クラウドに移行するまえに十分な互換性の確保とテストが必要だ。これをもって今回の記事の終わりとする。

Damien Wolf
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
転載元はこちらをご覧ください。

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています