UIの重要性
ISOのユーザビリティと黒須教授のユーザー工学
ISO 9241-11の定義は、ニールセン博士の定義より、もっと広義です。以下のように定義されています。
- ユーザビリティとは「ある製品が、指定された利用者によって、指定された利用の状況下で、指定された目標を達成するために用いられる際の有効さ、効率および満足度の度合い」
そして、以下の項目として定義されています。
- 有効さ(effectiveness)
- 効率(efficiency)
- 満足度(satisfaction)
それぞれ、「ユーザーが、指定された目標を達成する上での正確さと完全さ」、「ユーザーが、目標を達成する際に正確さと完全さに費やした資源」、「不快さのないこと、および製品使用に対しての肯定的な態度」、とされています。
しかし、英語を和訳しているため、「効率および満足度の度合い」は「利用できる度合い」と訳すべきではないか、との説もあります。これは違いとして重要なのですが、今回は「満足度の度合い」として進めます。
満足度は、有効さや効率の尺度で測れると考えられます。有効であり効率的であれば、それが満足度を高めるからです。ただ、もっと感覚的で情緒的な面においては、固有の満足感があるでしょう。この点では独立しています。
日本のユーザビリティ界のリーダである黒須正明教授の書籍『ユーザ工学入門』では、ユーザビリティを以下のように定義しています。
- 「ユーザー工学」は実用的な受容可能性の中の有用性(usefulness)を目標としており、これは、日本語の「使い勝手」という言葉に対応するとされている。この有用性(usefulness)の中に含まれている特性の内のひとつがユーザビリティである。
- ユーザビリティは利用品質であり、品質特性の一つ
こうして見ると、以下の3つを定義していることが分かります。
- 操作性
- 認知性
- 快適性
人間中心設計
また、人間中心の設計をプロセスとして定めた国際規格に、ISO13407があります。「インタラクティブ・システムに対する人間中心設計」が正式名称です。
インタラクティブ・システムとは、人間(ユーザー)が行った信号、入力により、機械が結果を送信、出力するものです。先に挙げた券売機も自動販売機もインタラクティブ・システムです。
ISO13407は、インタラクティブ・システムを設計するためにどういったプロセスを踏むのかを定義した規格です。インタラクション(対話型操作)を行う機械やシステムの開発にあたり、ユーザビリティの高いものを作ることが目的です。これは、ユニバーサル・デザインにつながります。
この規格のプロセスの2番目に、“ユーザー・インタビュー”があります。「ユーザビリティに王道なし、ユーザーの生の声が近道」ということですね。
ここまで、UIとユーザビリティについて解説してきました。次ページでは、WebシステムのUIについて解説します。