Flashはなぜ嫌われるのか
今や「当たり前」に使われているFlash
本連載では、ユーザビリティに配慮したFlashの正しい使い方や導入法について紹介します。
エンドユーザーのインターネット接続環境が加速度的に高速化している現在、ムービーやサウンドの要素を含んだリッチなウェブコンテンツは「当たり前」に見られるようになってきています。特に、閲覧に必要なプレーヤーアプリケーションの普及率が高く、プラットフォーム(OSやブラウザなど)の違いに依存せず使えるFlashは、スタンダードな手段として幅広く使われています。
Adobe社の発表(http://www.adobe.com/products/player_census/flashplayer/version_penetration.html)によると、日本国内のFlash Playerの普及率は、どのバージョンもおおよそ99パーセント近くとされています(2008年6月現在)。
このように、すでに広く普及し「当たり前」のように使われているFlashですが、あらためて「ユーザビリティ」という観点で見つめ直すと、いろいろな課題が見えてくるのも事実です。本連載では、この「ユーザビリティ」という切り口を軸に、エンドユーザーにとって役立つFlashアプリケーションのあり方を考えていきたいと思います。
ユーザビリティの誤解
「Flashにおけるユーザビリティ」について紹介する前に、まずは、「そもそもユーザビリティって何?」ということをあえて紹介したいと思います。というのも、「ユーザビリティ」の意味を、「(多くのユーザーにとっての)使いやすさ」であると誤解している方が多いように見受けられるからです。
「ユーザビリティ(usability)」とは、「use」+「able(の名詞形)」であり、すなわち、「アクセスしたWebサイト」が実際のところ「使えるのか?」を意味します。
ISO9241-11という国際規格では、ユーザビリティは、より具体的に「Extent to which a product can be used by specified users to achieve specified goals with effectiveness, efficiency and satisfaction in a specified context of use.(特定の利用状況の中で、ある製品を、特定のユーザーが特定のゴールを達成するために用いる際の、有効性、効率性、満足度の度合い。)」と定義されています。
つまり、ユーザビリティを評価する際には、「特定の」ユーザー、「特定の」ゴール(目的)が基準になるはずであって、「(多くのユーザーにとっての)使いやすさ」を表層的に改善していればOK、というものではないことを、まずは理解しておく必要があります。
もちろん、「使いやすいこと(easy to use)」はとても大切ですが、それがユーザビリティという概念のすべてを包含するものではないことに留意しておきましょう。ユーザビリティの向上や達成度合いについて議論する際には、「(そのWebサイトでターゲットとして想定されている)ユーザーが、スムーズに使えて目的を達成することができたか、その結果ユーザーが、満足することができたか」までもが評価軸として含まれるのです。