仮想環境特化のストレージベンダー、米国Tintriがオールフラッシュストレージを発表

2015年8月21日(金)

2015年8月20日、仮想環境に特化したストレージアプライアンスを開発販売するTintriがこれまでのSSDとHDDをハイブリッドにしたアプライアンスに加えてSSDだけで構成されたオールフラッシュのストレージを発表した。

今回発表されたのは「Tintri VMstore T5000 All Flash Array Series」と称される製品で今回はVMstore T5080(フラッシュメモリ容量23TB、有効容量72TB、仮想マシン数5,000)、T5060(フラッシュメモリ容量11.5TB、有効容量36TB、仮想マシン数2,500)という製品だ。

これを従来のSSD&HDDの上位機種としてSSDだけの製品を作ったとみると若干誤解が生じるだろう。なぜならTintriはもともとフラッシュメモリを前提にしてコストと性能のバランスを取ることを優先的に考えたうえで、フラッシュメモリとHDDのハイブリッドストレージを作っていたという背景があるからだ。

キャッシュとしてのSSDではなく99%のアクセスを受け持つSSD

巨大なHDDに対するReadキャッシュとしてのみフラッシュメモリを使うのではなく、全てのIOをフラッシュメモリにアクセスをさせることを最優先して全体のアーキテクチャーが構成されている点が従来型のストレージアレイとは決定的に違うところだ。より細かくみれば、コントローラーに付属するNVRAM、SSDで構成されたRAIDグループ、その下位にHDDで構成されたRAIDグループがある。速度的にはNVRAM>SSD>HDDであることは自明だが、仮想マシン単位での書き込み及び読み込みをなるべく速いデバイスから行うための予測分析を行った上でSDD領域の優先的な予約、空いている領域の仮想マシンへの割り当て、HDDへの書き込みや圧縮がリアルタイムで行われる。更にそれをストレージのLUNやプール単位で行うのではなく、もともとのアクセスを発生させている仮想マシン単位に行えることが現代の仮想化が進んだデータセンターで利用が進む大きな理由だろう。

こうしたアーキテクチャーであるが故にHDDがメインでSSDをReadキャッシュとして使う従来のハイブリッドストレージとは明確に異なり、SSDからのヒット率99%を実現出来ているということになる。

そのTintriがオールフラッシュストレージを発表したということには仮想化ストレージの利用がいよいよミッションクリティカルなビジネスアプリケーションに拡がってきたということを意味している。つまりVDI(デスクトップ仮想化)のようにOSイメージをフラッシュにおいてアクセスを高速化し、エンドユーザーの効率を上げるような利用方法だけではなく、ECサイトやFX取引のようにミリセカンドのレスポンスが求められるアプリケーションにとって99%のフラッシュヒット率では満足できない顧客、つまり全てのアクセスをフラッシュメモリで実現し更に高速化したいと言う一部の顧客にとってフラッシュメモリで高速化を行い、同時に仮想マシン単位でのQoS管理が可能であるということは福音であるに違いない。

写真:アーキテクチャーを説明するテクノロジー担当VPのレックス・ウォルターズ氏(写真は2014年11月来日時のもの)
図:資料より抜粋した説明図

より詳しい話は今月末にサンフランシスコで開催されるVMworldでも明らかにされるであろう。詳細なレポートをお待ちいただければと思う。

Tintri: https://www.tintri.com VMworld: http://www.vmworld.com

by 松下 康之, on 2015年8月21日(金)

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