ChefConf 2017、GE Digitalにみるインフラ自動化の効果とは?
Chefが開催した年次カンファレンスであるChefConf 2017で行われたGE Digitalのブレークアウトセッションでは、Chefによるインフラストラクチャーの自動化とChefが開発する新しいアプリケーション自動化のツール、Habitatを使った自動化における効果について、解説が行われた。今回はそのセッションの概略と、ChefConf 2017に併設されたパートナーブースの様子を紹介する。
すべての企業は「テクノロジーカンパニー」へ
GE Digitalのセッションでは最初に、「すべての企業が『テクノロジーカンパニーになる』」というGEのCEOのコメントが紹介された。GEが持つ様々なビジネスのうち、航空機のエンジン事業や列車製造、ヘルスケアなどを挙げて、すべてがテクノロジー、特にソフトウェアによって変革しつつあると語り、ソフトウェアとクラウドによってGE自身が競争力のあるテクノロジーカンパニーになっていると解説した。
そしてアプリケーションの開発に話を移して、「ステートレスなアプリケーションはDockerやKubernetes、MESOSなど様々なテクノロジーによって、より簡単に素早く開発ができるようになった。しかしステートフルなアプリケーションも企業にはたくさん存在する。そのようなアプリケーションを稼働させる際に、構成管理や運用、さらにリカバリーなどについて自動化を行うためにChefを使っていたが、構成が巨大になってくると管理のための仕組みが複雑になっていった。そこにChefのCTOであるAdamから新しいアプリケーション管理ツールの話を聞いて試してみることになった」と説明した。GE Digital、より具体的にはGEが展開するPredixというクラウドサービスの中で利用されるアプリケーションについて、検証を行っているという。そして新しいアプリケーションランタイムのフレームワークをBuffe(バッフェ)と名付けたと説明し、「なぜならBuffeの中にはChefがいて、レシピやナイフを使っているから(Chef、Knife、RecipeというChefが開発しているツールをすべて採用しているので)」というジョークで会場が爆笑するという一面もあった。
HabitatをChefと併用するメリットを紹介
またこのプレゼンテーションでは、Chefだけで構成管理を行った場合と、Chefに加えてHabitatを利用した場合の比較も行われた。
ここではChefとHabitatを組み合わせてELK Stack(Elasticsearch+Logstash+Kibana)というオープンソースソフトウェアを組み合わせたクラスターを実装するシステムを例にとって、ポイントを分けて解説を行った。
最初に挙げたポイントは、ELKを実装する際に必要となるコード量の違いだ。Chefのみの環境では、ELK Stackを導入するためにJavaなどのダウンロードやインストールなどを、依存関係に従って順番を間違えることなく行わなければならないのに対して、Habitatでは非常にシンプルに記述できるという例だ。
さらにELKを導入した後に、それぞれのソフトウェアの設定(IPアドレスなど)を行う必要があるが、Habitatの場合はスーパーバイザーがサービスディスカバリーを通じて行うことで構成管理が容易になると説明。Habitatがサービスディスカバリーを行うことで、稼働までの時間が短縮できたという。
またシステムに障害が発生した場合のシステムの切り替えも、Chefだけで行う場合はモジュールのダウンロードやインストールなどをゼロから繰り返すことになるが、Habitatであれば、すでに保存されているパッケージから素早く行うことができるという大規模クラウドを運営している企業ならではのポイントが紹介された。
そして3つ目のポイントとして、サービスを定義する際のコードの複雑さが解消されたという点を説明した。
また新しいアプリケーションのバージョンができた場合にも、一度にすべてを止めて更新を行うのではなく、Rolling Updateができる仕組みをHabitatが備えていることを高く評価しているという。
このように、アプリケーションが必要とするライブラリなどの依存関係をシンプルにできること、複数のスーパーバイザーがマスタースレーブの関係ではなく、シンプルなリーダー選出アルゴリズムを使って分散処理できることの利点を充分に活用したユースケースの解説となった。
パートナーのブースを紹介
最後に今回のカンファレンスに参加していたパートナーのブースや会場の雰囲気を紹介しよう。
2008年創業のベンチャーであるChefのカンファレンスは、盛り上がりのあるキーノートとホスピタリティにあふれたムード、そしてハンズオントレーニングや深い内容のブレークアウトセッションと、歴史の浅いベンチャーが主催したとは思えないような有意義なイベントであった。来年には、日本からの多くの事例発表が行われることを期待したい。
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