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AIに命が吹き込まれる日

2017年9月4日(月)
ReadWrite Japan

「我々が現実と呼んでいる全ては現実とは思われていないことから成り立っている」ーNiels Bohr

AIの「仮想世界」と我々が住まう「現実世界」は、絶えず競合している。AIが過去60年間、学術や理論の世界のものであったことから、そんなものが我々の「現実世界」で何の役に立つのかと疑問を抱くのも分かる話だ。しかし現実において、この異なる2つの世界は完全に別個のものではない。AIの仮想世界が現実世界に及ぼす影響がある。

この隔たった2つの世界という前提に対し、ある実験をしてみよう。まず目を閉じて自分の好きな人のことを思い浮かべてほしい。その人があなたに語りかけ、顔を触ってくる。あなたの精神は、脳内においてその人を見、その人に耳を傾け、その人のことを感じさせることだろう。また目を閉じて131 + 17の計算を想像してほしい。

あなたの精神はその数字を視覚的に提示し、自分の声を持ってその問題を解いているのではないだろうか? これらのことは物理的な世界で起こっていることではない。精神という非物理的世界で起こっていることは、AIの仮想世界で起こることと類似している。

この実験を終えて目を開ければ、伝統的なNewtonianの物理的な物質により定義された世界を把握するのは簡単なことである。これは我々の五感(見る・臭う・触れる・聞く・味わう)が意識、意識下、無意識の精神と物理世界をつなぐのに十分機能しているからであり、物理世界と非物理世界は1つに繋がる。

五感がなければ精神が物理世界に繋がることはできないという人もいる。これはAIが物理世界に意味ある形で繋がることができないという論拠とされることもある。しかしながら人間の意識のように、AIも人と同じような感覚を持って物理世界に繋がることはできる。

IoTがAIに命を吹き込む

IoTは物理世界の感覚を与えるものであり、AIはこれにより「命」を得ることができる。カメラはAIにとって世界を見る「視覚」であり、マイクロフォンは「聴覚」だ。加速度計とジャイロスコープは「触覚」となり、微粒子・化学物質センサーは「嗅覚」となり複数のところから同時に感じることができる。これらセンサーはAIに、次のような超人的能力を与えるものである。

― 「視覚」赤外線による視覚により、AIが温度変化を「見る」だけでなく、普通の意味でも物を判別することができる。
― 「聴覚」超音波による聴覚により人の可聴領域を超えた周波数も聞き取ることができる。
― 「触覚」加速度計により人の指先よりも繊細に触れたもののことを感じることができる。

IoTによりAIはセンサー入力に知覚とその意味を与えられる。つまりIoTセンサーは物理世界のデータを正確にはかることができ、AIはそれらから物理的データが意味することを把握する知性である。

これらの要素に加え、低コストな分散処理能力(クラウド)や、オープンソースソフトの動き、機械学習の進歩、モバイルに後押しされるマイクロエレクトロニクス(ARM)など、さまざまなものにより、AIはついに現実世界のものになる。

これまで長らく学術の世界に閉じこもっていたが、AIの革命が起こる時がそろそろきたようである。

著者はLitBitの創業者でありCEOである。我々が開催したAIとIoTの理論的リーダーを集めたパネルディスカッションに参加してくれた。我々がサンフランシスコで7/11に開催するIoTレボリューションシンポジウムでは、更にこういった考察が披露されることになるだろう。

SCOTT NOTEBOOM
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
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