ついにロボットが「互いに情報交換」し自ら「意思決定」をする時代がきた
IoTのサブカテゴリーとして最近出てきているのが、「ロボティックIoT」だ。これは、ロボットが互いに自律的にオペレーションをおこなうものである。
ZDNetのレポートによれば、ロボティックIoTの出現をABI Research社は確信している。
ロボットによるモノのインターネット(IoRT:The Internet of Robotic Things)をかいつまんで言えば、デバイスがさまざまなソースからのデータを結合し、世の中の動きを監視するなかで、自ら最適なアクションを選択し実際にオブジェクトを扱うというものだ。
IoRTのコンセプトが出てきたのはここ数年のことだが、ABIのディレクターであるダン・カーラ氏は、このテクノロジーはまだ初期の段階にあるという。だが、AWSを使って、コンシューマロボティックデバイスをクラウドに接続する『iRobot』など、「イノベーションはすでに形になりつつある」ともいう。
彼によれば、IoT構想とクラウドベースの技術への投資の加速により、ロボティクス分野のイノベーションも加速するとのことだ。
「これらの技術が進歩することは、ロボットシステムにおいて利益になる。携帯やタブレットに搭載されている、低コストなマイクロカメラと加速度計などはその一例である。ほか2000年初頭に行われたロボティクス分野への莫大な投資、および研究活動による追い風の影響も受けている」と、彼は言う。
クラウド上にロボットが存在する?
IoTのアーキテクチャや規格、テクノロジーは、将来ロボットにクラウドベースコンピューティングの能力を与えることに寄与し、他のロボットシステムやセンサーとのコミュニケーションを可能にする。
「今後は、スマートなエッジデバイスがローカルデータをロボットシステムと共有することで、自身を定義し、情報提供が可能となる。さらに、ロボットに装着されているセンサーからの情報を足すことで、ロボットシステムはその場での決断および行動を決定するようになる。また、その情報はクラウドによって、より高度な情報処理をされるようにもなるだろう」と、彼は言う。
まるでクラウド上にロボットが存在しているかのようだ。これこそが、ロボティックIoT(IoRT)である。
彼のいう話は、以前取り上げた人よりも安いだけでなく、はるかに効率的かつ正確にタスクをこなせる農業ロボットが登場するという話とも符合する。このようなロボットが登場すれば、休憩を必要とせず、より生産性の高い労働力が得られるようになるのは間違いない。
関連記事:「農業IoT」は農業だけのためにあらず
ロボットの話になると、たいてい「ロボットは人の仕事を奪うかいなか」という話題になるが、そのような議論をしている間にもロボットが代替可能な仕事は増えているのだ。AIの話になるが、いまとなっては人の特権だと思われていたクリエイティブ分野ですら危うい状態である。
早々に、話題を「奪われたとしても問題ない、もしくは、結局のところ“奪われたことにはならない”ようにするにはどうするか」に切り替えた方がいいだろう。
20160919 一部修正
ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]
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