デスクトップPCからサーバー、ユーザーまで包括管理 レイクサイドソフトウェアが日本法人を設立
デスクトップ管理ソリューションを開発販売する米国Lakeside Softwareが、日本法人を立ち上げた。1997年にミシガン州で創立されたLakeside Softwareは「ワークスペースアナリティクスソリューション」と銘打ったデスクトップ管理ソリューションを過去20年に渡って提供してきた企業だ。今回、日本市場への本格参入のために「レイクサイド・ソフトウェア株式会社」を設立し、カントリーマネージャー、パートナーセールス、マーケティング、セールスエンジニアの紹介及び主な施策、当面のゴールなどを紹介するメディア向けの説明会を実施した。
冒頭のプレゼンテーションを行った創業者兼CEOのマイケル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏は、20年前に一人で創業したころからの歴史を振り返り、かなり早い時点でCitrixのMetaFrame及びリモートデスクトップに対応した製品を開発したことで、エンタープライズ企業が抱えるデスクトップ管理製品の一つとして注目されたことを紹介した。
大手顧客のGeneral Motorsに採用されたことを振り返り、その上で「ワークスペースアナリティクス」が必要となる背景を解説した。シューマッハ氏によれば「ビジネスの生産性を上げるために、エンドユーザーエクスペリエンスを監視、分析、最適化しなければならない。そのためのソリューションが(自社の)SysTrack Workspace Analyticsである」ということらしい。
続いてLakeside Softwareのメインの製品であるSysTrackを紹介した。これは、エンドポイントに軽量のエージェントをインストールすることで、「そのPCに何がインストールされているのか?」「誰が使っているのか?」の情報にに加えて、ディスク、メモリー、ネットワークなどのリソース使用量とパターンなどを収集し、クラウド上で分析を行うことでPC及びユーザーのリソースの利用を最適化するというソリューションだ。
SysTrackのベースには、特許を取得済みである「DataMine」というデータ分析基盤が存在し、その中で企業が持っているPC、MacitoshなどのデスクトップPC、ノートブックPCさらにWindows Server、Linuxなどから収集されたデータを包括的に管理分析できるという。
実際にデモの中では、ハードウェアとしてのPCとそれを使う利用者の2つのレイヤーでデータが収集されているということが見て取れた。質疑応答の中で、企業の認証基盤の代表例であるActiveDirectoryとの連携を行うことでユーザー単位で管理が可能になる点も紹介されてた。またアメリカでのユースケースとして金融大手、生命保険大手、General Motorsなどでの大規模な例が紹介され、特にライセンス管理の面では大きな効果が出ている点をシューマッハ氏は強調した。
SysTrackは、大きく分けて(1)「ユーザーエクスペリエンスの管理」、(2)「ライセンス管理」、(3)「ユーザーの行動監視」、(4)「アプリケーションの性能管理」という4つの機能を備えている。(1)はユーザーが快適に働けるよう、動作の遅延などを検知するための常時監視、(2)ライセンス違反の監視や無駄なライセンス費用を削減するための情報収集、(3)はゲームサイトやアダルトサイトへのアクセスなど、ルール外の行為の監視、(4)はバックエンドのサーバーも含んだアプリケーションの性能管理だ。
良く言えば全ての機能を一つで満足させるツールであるが、悪く言えばどの機能も中途半端という印象が免れない。というのも、すでにセキュリティやライセンス管理、パフォーマンス管理に特化したエンタープライズ向け製品があるからだ。また「競合製品がない」というのも、上述の多くの領域を一つの製品で包括的に管理する製品がないという意味ではその通りだが、そのことと領域に特化した製品と比較検討を行った際に、採用を得られるかどうかは別問題だろう。
また企業で使用するデバイスが、PCからスマートフォンへと変化している現状があり、iOSやAndroidなどのスマートフォンのOSへの対応も必須であろう。その点について質疑応答訊いてみたところ、「必要性は認識しているし、予定はしている」ということであった。
分析のバックエンドの部分に関しては、エンドポイントから収集されたデータはSysTrack Masterというサーバーに集約されるということが紹介された。「多くの対象エンドポイントから多種のデータをCPU、メモリー、ストレージ、ネットワークに負担をかけずに収集する」という説明がされたスライドを見ると、収集されたデータはSQL DBに収納されることが明記されていた。データ収集の頻度は、1000種類以上のデータを15秒ごとに集めて1日1回マスターDBに集約するそうだ。最大400,000エンドポイントでの実績があるという。
単純に計算を行うと、1分間に4回データを収集し、稼働時間を1日8時間とすると、1台につき1920回分のデータが毎日収集されることになる。ネットワーク上に流れるデータ量は、1回につき140KBという数値が例示されていたので、この値を元に計算すると1日分のデータ量1台あたり270MB程度となる。昨今のハードウェアスペックを考慮すれば、それほど大きな量でもないだろう。
問題は単に物理及び仮想サーバーの監視ではなく、コンテナなどのよりマイクロサービス化されたワークロードの監視を、このエージェントの方法で行うことの将来性だろう。例えばセキュリティベンダーのマカフィーは、AWS上の仮想マシンのトラフィック監視のため、仮想ルーターを仮想マシンにインストールする軽量のエージェントと別の仮想マシン上で動作する管理コンソールのセットを実装した。一方SysTrackの方法だと、仮想マシンの枠からさらに小さな単位となるコンテナごとにトラフィックを監視することが難しい。
今回のLakesideのSysTrackも、あくまでもワークロードは仮想と物理双方のサーバー及びデスクトップ単位で処理されるべきという発想のようだ。これまでのエンタープライズのITリソースの使い方、つまりネットワーク上に固定されたPCと物理サーバーという組み合わせの場合には大きな効果が見込めるだろうが、パブリッククラウドとの併用、スマートフォンからのアクセス、ピーク時のワークロードのオフロードなどのダイナミックなITの運用方法に最適な解が提案できるのか、今後機会があれば、より詳細な解説を元に紹介を行いたいと思う。
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