クラウドと組み込みの遠くて近い関係
携帯電話に見る、身近なクラウドの例
みなさんも仕事の中で「クラウド」というキーワードに触れる、あるいは扱う機会が増えているのではないかと思います。最近ではテレビCMの中でも出てくるくらい一般的なものになりつつあります。クラウドがどんなものかについてはこの記事の中では解説しませんが、このようにインターネット上のサーバーサービスは実は組み込み機器と密接な関係にあるということをご紹介したいと思います。
そして、今回扱うもうひとつのテーマは「仮想化」です。「仮想化」技術はITシステムだけでなく、組み込み機器へも導入が開始されています、こちらも具体的な例を含めて解説したいと思います。
さて、ではまず「雲」の話からはじめましょう。
おそらく組み込み機器の中でも、特にみなさんに身近なものは携帯電話などのコンシューマ機器になるのではないかと思いますが、これらの機器もネットワーク越しにサービスと接続されています。携帯電話であれば、電子メールやSNS、ウェブサイトやオンラインゲームなどパソコンの世界とそれほど変わりません。
日本ではiモードが端末上でなく、ネットワーク上(広義でのクラウド)でサービスやアプリケーションの提供を本格的に行った、最初のサービスだといえるでしょう。現在ではauやソフトバンクなど、より多くの携帯電話でこのようなサービスにアクセスすることが可能になりました。例えばTwitterはパソコンやiPhoneでなくともつぶやくことができます。
このようなオンラインサービスやクラウド上のビジネスサービスを利用するためのAPIが公開されていて、アプリケーションの開発環境があれば独自のサービスを実装することも可能なのです。
広がるコネクテッドデバイス
私が以前かかわったことのあるiモードを使った業務システムは、非常にシンプルなものでした。会社のサーバーとiモードアプリで接続し、作業員がいつどこでどのような作業を行うのかを確認し、作業が完了したら完了した旨の入力を行うだけのものです。
それ以前の業務システムと言えば、紙で作業指示が出され、作業が完了すると、シートをチェックして次の作業場所に移動し、ということを繰り返し、レポートが工程管理している会社のシステムに登録されるのは早くてもその日の夜か、翌日でした。携帯電話を使うことで、ほぼリアルタイムで工程管理ができるようになったのです。
同様に、居酒屋などで使われている携帯型のオーダー端末も現在では無線LANを使ってリアルタイムでオーダー内容を調理場のプリンターに飛ばし、同時に売り上げ明細として記録されます。
ATMやKIOSKのような業務直結型の端末はもともとオンラインで使うことが前提だったりしましたが、現在では、いままでオンラインで使われてこなかったような業務用の端末の多くが、仕事の効率や、ビジネスデータのリアルタイムな可視化のためにネットワーク接続され、使われています。マイクロソフトではこれらを「コネクテッドデバイス」と呼んでいます。