ユーザーへの配慮を意識しよう
ユーザーへの配慮が欠けてしまいがちなFlashデザイン
前回(http://www.thinkit.co.jp/article/132/2/)は、Flashとユーザビリティの関係について、特にFlashならではの利点を活かした導入法について紹介しました。今回は、Flashアプリケーションをつくる上で必要な、ユーザーインターフェース設計時のユーザーへの配慮について考えてみたいと思います。
Flashクリエーターの方は往々にして、Flashアプリケーションを「かっこよく」「クールに」「作品として」仕上げようという気持ちが強いように思います。それ自体は悪いことではありませんが、その結果として、ユーザーへの配慮が欠けたFlashアプリケーションが多く存在しているような気がします。これは、「手段」としてのWebサイトという観点で見ると、明らかに間違っていると言えますし、こうした過ちが、第1回(http://www.thinkit.co.jp/article/132/1/)で述べたようなユーザー行動(Flashに対するネガティブな反応)に結びついていると思います。
ここでは具体的に、ユーザーに配慮したユーザーインターフェース設計について、いくつかヒントを挙げてみたいと思います。
ユーザーインターフェース設計上の留意事項
ユーザーインターフェース設計上の留意事項は次の4つになります。
1つ目は、「文字や操作要素(クリックまたはドラッグできる要素)の大きさ」です。
Flashアプリケーションのデザイン(見た目)をクールにしようとするほど、文字サイズや操作要素は小さくなりがちです。その方が全体のバランスとしてかっこよく収まるという事情もわからないではありませんが、こうしたデザインは、ユーザビリティを阻害する可能性を高めます。
特にFlashアプリケーション上の文字は、基本的にはブラウザの文字拡大機能が効かないので(Operaや最新版のFirefox 3では、ページ全体のズームが可能になりましたが)、なおのこと可読性には気を遣いたいところです。また、小さすぎる操作要素は(高齢者やけがなどでマウスがうまく扱えない人はもちろんのこと、若い健常者ユーザーにとっても)クリックやドラッグが難しい/面倒くさいことも、留意しておきたいところです。
2つ目は、「英語を使った表現」です。
Flashアプリケーションをかっこよく見せようとするあまり、操作要素やメニュー表示を英語で表記するケースがよく見られます。このような場合、英語が得意でないユーザーは自身の目的を達成するためのアクションをどう取ったら良いか判断しづらく、ユーザビリティの阻害につながります。
また、Webというメディアでは、ユーザーはテキストを素早く斜め読みし、自分が求めている「キーワード」にひっかかるかを瞬時に見極めようとする傾向があるので、英語で表記している時点で、ユーザーの意識にひっかかる確率がぐんと減ります。ファッションとしての英語表記の使用は、Webサイトのビジネスゴールと照らし合わせて、その妥当性を十分吟味することをおすすめします。
3つ目は、「配色」です。
Flashアプリケーションのデザイン(見た目)をクールにまとめようとするあまり、文字色と背景色のコントラストが低くなって可読性が確保されないケースが見受けられます。文字サイズと同様、可読性が低いデザインは、ユーザビリティを阻害する可能性を高めます。
4つ目は、「必然性のない視覚効果」です。
必然性のない視覚効果を用いると、ユーザーは(好むと好まざるとにかかわらず)そこに目を奪われてしまい、自身の目的達成が阻害される要因となり得ます。視覚効果を採り入れる際は、Webサイトのビジネスゴールに照らし合わせて、適切なコンバージョンへの誘導につながる場合以外は、慎重に考えるべきでしょう。
また視覚効果は、やりかたによってはユーザーの信用を失う可能性があります。筆者が体験したユーザーテストで見られたケースですが、コンテンツ誘導のために目立たそうと視覚的に凝ったFlashバナーがあったのですが、逆に「広告っぽい」とユーザーに認識されてしまい、意図的に無視されたという例もあります。