一歩先行くクリエイターに学び、3年後の未来をその手で掴め!「クリエイター200人祭り」レポート
2018年10月21日(日)、大阪・梅田のブリーゼブリーゼで開催された「爆誕!3年後には最強のワイ!悩み狙い撃ち!クリエイター200人祭り」に参加してきました!
申し遅れました、僕は橋本ナオキ(@Abhachi_Graphic)と申します。普段はイラストや漫画を描いています。今回はライター枠での参加でしたが、普段は記事を書くことが専門ではないため悩みを解決したいクリエイターの皆さんと同じ立場です。
今回は、トークセッションの内容を中心にレポートしたいと思います。振り返りの最後に、僕が学んだ「クリエイターとして成長していくために大切なこと」をまとめます。
おまけで、漫画「毎日でぶどり」で更新している『あるあるシリーズ』の「クリエイター200人祭り編」もお楽しみください!
「クリエイター200人祭り」とは!?
昨年来、クリエイター(特に関西)の間では知名度が上がってきていますが、知らない方のために「クリエイター200人祭り」(以下、クリエイター祭り)がどんなものなのか簡単に説明します。
クリエイター(もしくはクリエイター志望者)は一人・もしくは少人数で仕事をすることが多く、悩みを共有したり、相談したりする相手に恵まれているとは言えません。「もっとスキルアップしたい」「収入を上げたい」「独立したい」……そんな悩みを、現役で活躍する先輩クリエイターのトークセッションやジャンル別の相談会、交流会で解決していこうというのがこのクリエイター祭りです。
一般的なクリエイター向けイベントと大きく異なる点は、フリーランス・クリエイターギルド「TheCreative」を運営する株式会社クリエイティブユニバースが主催していること。つまり、クリエイターによるクリエイターのための大規模イベントなのです。
それでは、今年のクリエイター祭りで行われた内容を振り返りつつ、「参加するとどんなことが学べるのか」を紹介していきます。
あなたはどっち!?「クリエイター多数決」
「クリエイター多数決」は、会場に集まった参加者が他人には聞きづらい二択の質問に回答し、どちらが多数かを見ることができるコーナーです。参加者は自分のスマホからリアルタイムで投票します。
実際の質問とその回答を見ていきましょう。
●Windows or Mac?
→Windows:37% Mac:63%
やっぱりクリエイターはMac派が多いようです。Windowsでもできることは大きく変わりませんが、やはりディスプレイやフォントなどデザイン業務に最適化されたMacを選択する人が多いのでしょうか。「Macを買う」ことに憧れを持っていた人も多いかもしれません。僕は単純に持ち運びしやすいMacbookが好きです。
●個人で仕事を受けたことがある?
→YES:66% NO:34%
現在クリエイターとして活動している人をメインにサポートするイベントですが、これから独立して仕事を受けていきたいというクリエイター志望の方も3割以上いました。独立に向けて相談したり、学びを得たいと思っていたりする人はかなり多いようですね。
●なりたいのはどっち?
→マルチクリエイター:57% 職人肌クリエイター:43%
守備範囲の広いマルチクリエイターか、ひとつのことを極めた職人肌クリエイターのどちらになりたいかという質問。マルチクリエイターになりたいという人が多いのは、「色んなことをしていきたいけど、ひとつのことを極めないとどうしようもない……」という会場の思いが結果に繋がったのかもしれません。
●残業が60時間を超えたことが
→ある:44% ない:56%
参加者のうち、フリーランスと会社員の比率や、明確に8時間労働と決めている人がどのくらいいるか分かりませんが、かなりの長時間労働を経験した人が多いようです。とは言え、一度でも60時間を超えたことがあれば「ある」と答えられるということは、思ったよりも時間管理して仕事をしている人も多い印象でした。
●年収360万円
→以上:27% 以下:73%
これはなかなか他人に聞けないので興味深い質問でした。360万円というと20台後半の平均年収といったところで、そこをクリアしている人が3割に満たないのはクリエイターとして稼ぐ難しさが浮き彫りになりました。しかし、360万円を突破している27%の人たちがいくら稼いでいるかは不明なので、夢も残されているかも……?
●貯金額は100万円
→以上:44% 以下:56%
過半数が100万円も貯金できていないという結果でした。これは平均貯蓄額(29歳以下が154万円・30代は404万円)と比べてもかなり低い数字です。自己投資や機材などにお金がかかるため、貯蓄にまで手が回らないのが現状なのでしょうか。
【平均貯蓄額の参考】国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)
●理想のワークスタイルは
→週7日働いて1000万:39% 週3日働いて200万:61%
これも興味深い質問です。稼ぐよりも自由に働くライフスタイルを重視する人の方が圧倒的に多いという結果になりました。週3で200万円稼げれば、残り4日は副業したり自己投資したり旅行したり……と自由に使える分、週3日の数字が伸びたのかもしれません。
リアルな体験から学べ!「トークセッション」
クリエイター多数決の興奮も冷めやらぬ中、続いて「トークセッション」が開催されました。トークセッションは、様々な立場のクリエイターが、自身の悩みや課題などを解決した体験をシェアするコーナーです。ネット上では知り得ないリアルな体験が語られるので、濃い学びを得ることができます。
トークセッション(1)
Webデザイナー 山本まゆさん
営業職で胃腸炎になるほど人との交流が苦手だった山本まゆさんが、Webデザイナーとして独立するまでにやったことを語りました。
営業職を辞め、Webデザイナーのアシスタントを始めたものの悩みが尽きなかった山本さんは、クリエイター祭りを主催するTheCreativeに所属します。そして前回のクリエイター祭りの運営に携わったことで「喜びスパイラルを創る」という自分の軸に気づき、勇気を出して行動を起こしていきます。定期的に行われるイベントのバナー画像を新調する「バナーチャレンジ」や、初心者向けセミナーを積極的に開催することで小さな実績を積み重ねていきました。
トークセッション(2)
アニメ・マンガ系イラストレーター 谷町クダリさん
谷町さんはアニメーション制作会社で培った「様々なアニメ・漫画のタッチでイラストを描き分けられる」という自らの強みを活かして、「アニメ風似顔絵」というサービスを立ち上げました。
プレゼンでは、そのサービスを立ち上げる際にぶつかった「三つの壁」と、その乗り越え方を語りました。
第一の壁「著作権」
様々な漫画やアニメのタッチを描き分けるにあたって、著作権的に「アウト」と「セーフ」の基準を明確にしたそうです。自分で調べるには限界があるため、弁護士や行政書士に相談して、サービスとして提供できる範囲を明確にしました。
第二の壁「ビジネス戦略」
似顔絵といえば様々な類似サービスが溢れており、やみくもに戦っても勝ち残るのは難しい。そう考えた谷町さんは、自分のサービスが提供できるベネフィット、競合はどこか、競合より優っている点はどこか・営業方法はどうするか、などを冷静に分析したと言います。自分が提供したいものがどんなサービスであれ、冷静に競合やベネフィットなどを分析すれば、自分の戦う相手や営業方法が明確になっていくはずです。
第三の壁「サイトのコンテンツ」
どれだけ良いサービスでも、知ってもらわなければ意味がありません。そこで、ビジネス戦略で分析した内容が顧客に伝わるサイトを構築するため、イラストレーターのさらえみさんやフリーランスカレッジNightのLPなど、集客ができているサイトを参考にしました。さらにモニターからフィードバックをもらい、SNSでの露出を高めることでサイトを見てもらうための導線を確立しました。その後もブログの更新や発信を継続し、「アニメ 似顔絵」の検索で1ページ目に表示されるまでにサイトが成長したそうです。ちなみに本記事の執筆時にも検索してみると、一番目に表示されていました。
「自分の提供したいことに対して、何が課題なのかを冷静に分析し、対処していくことの大切さ」です。強みや提供したいサービスがあっても、課題や競合を明確に認識し、届ける導線作りまでをできている人は少ないのではないでしょうか(僕です)。
トークセッション(3)
ビデオグラファー ミナミシゲユキさん
ミナミさんは会社員時代、ブラックな労働環境にいたと言います。家族と過ごす時間も持てず、自分のスキルでは他でやっていくことは難しいと自信も失っていました。そんな中で「子供に誇れる仕事ができているか」「動くリスクより動かないリスクの方が大きい」と独立を決断します。
ITツールの活用や人脈作り・経営やマーケティングの勉強を始めて見える景色が変わってゆく中、ミナミさんは「自分のいる環境がいかに大事か」を痛感します。もちろんフリーランスとして働くにあたって収入の不安定さややることの多さといった大変さはありますが、健康面や家族との時間を持てるようになったことは人生の幸福度が激変したそうです。
トークセッション(4)
グラフィックデザイナー・講師・キュレーター 高田久紀さん
「誰もが自分らしく輝く社会」を理念に活動する高田さんは、自身のデザイン事業の傍ら、クリエイター支援も積極的に行なっています。
高田さんはもともと塾の講師や中学校の美術教師などをしてきましたが、28歳のときに「やりたいことをやる最後のチャンス」とグラフィックデザイナーへの転職を決意します。やっていけるだけのスキルを身につけてから挑戦したのではなく、広告・ゲーム・映像など幅広い現場で働きながら修行したことが大きな成長へと繋がったと言います。講義を受けて知識を増やすばかりではなく、自ら体験するという定着率の高い学びを獲得し続けてきました。
仕事が安定し「やっていけるクリエイター」になってから感じたのが、さらにステップアップするための伸び悩みでした。デザイン事業以外に行っていた活動はスキルアップと営業のみだったため、今後は経営やお金のことをもっと考えなければと気づいたと言います。
フリーランスクリエイターが売上アップのためにすべきことは、自身の底上げによる単価のアップとクライアントをファン化してリピート率を上げることです。そして、自分の持っているカード(強み)は何かを冷静に分析し、伸ばしていくことが必要不可欠です。持っている強みが「デザインができる」「イラストが描ける」だけでは確実にレッドオーシャンなので、自分ができるいくつかのことを掛け合わせたところに個性が生まれ、仕事を創れるクリエイターへと繋がっていきます。
「やりたいことは自ら飛び込んで定着率の高い学びを得る。そしてステップアップするために必要なことをどんどん吸収し、スキルの掛け合わせで唯一無二の個性を打ち出すことが大切」ということです。
同じ悩みのある人集まれ!「ジャンル別相談会」
トークセッションが終了した後には、ジャンル別相談会が行われました。「フリーランス初級」「キャリアアップ」「スキルアップ」などのテーマごとにグループに分かれ、同じ悩みを持った人たちと話し合います。
僕は「副業・収入アップ」のグループに参加しましたが、話が聞こえないぐらい会場が盛り上がっていました(笑)。クリエイターにとって同じ悩みを持つ人たちと悩みを共有することは心の支えになりますし、同じ境遇の人たちで人脈を作ることでその後の情報共有にも役立ちます。
このあと、より多くの人たちと交流できるカフェ交流会があるので、自分の悩みを口に出して整理する時間は大事だなと思いました。
この一瞬に命を賭けろ!「カフェ交流会」
トークセッションの後は、参加者同士で自由に交流できるカフェ交流会です。実は、このカフェ交流会が目的で参加するクリエイターも多いとか……。参加は有料ですが、クリエイター祭りのもうひとつのメインと言っても良いほど盛り上がる時間です。トークセッション等が“学ぶ場”だとしたら、交流会は“行動する場”。積極的に話しかけるほど様々な人と交流できます。
話しかけるのが苦手な人僕でもスタッフの方や知り合いの方が間を取り持ってくれたので、多くのクリエイターたちと交流できました。話しかけてみるとすでにSNSで繋がっている人だったり、思いもよらないほど有名な方だったりして驚きの連続でした。
ココが腕の見せどころ!「名刺置き場」
もう1つ、クリエイター祭りで毎年見所となっているのがこの名刺置き場です。この日のために名刺を新調したという方も多いとか。やはりクリエイターの名刺だけあってデザイン性が高く、面白いアイディアのものばかりでした。たくさんのクリエイターの名刺を集められるだけでなく、どんな名刺が目を引くかを観察するだけでも勉強になります。
名刺置き場の写真を撮るのも一苦労なほど大混雑で、名刺を持って帰ってもらいたい人には最適です。ちなみに僕は名刺の増刷が間に合わなかったので、以前に作成したミニトートとステッカーを置いていました。
おわりに
クリエイター祭りは今回で2度目の参加でしたが、今回も新しい出会いと学びに溢れ大満足でした。クリエイター志望の方も多いので、経験や年齢に関わらず気軽に参加できるのも嬉しい点ですね。
最後に、僕がクリエイター祭りに参加して気付いた「クリエイターとして成長するために必要なこと」をまとめておきます。
- 自分の得意や苦手なことを知り、今の自分にできることで実績と信頼を積み上げる
- 自分の強みが確立したら、ビジネス戦略を勉強してどうすればビジネスとして成り立つかを徹底的に考え抜く
- 今置かれている環境を当たり前と思わず、積極的に環境を変えていく
- 強みを増やして掛け合わせる
「クリエイター祭り」からのお知らせ
トークセッション後、東京でイラストレーター交流会「いらばこ」を運営しているイラストレーターのbibicoさんからクリエイター祭りの東京開催が発表されました!
開催日は2019年4月21日(予定)。大阪開催で参加できなかった方も、このチャンスにぜひ乗っかってみてください!
写真撮影・写真提供
新レイヤ
https://leiya.goat.me/
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