「freeeアプリアワード2020」開催中! スモールビジネスの「困りごと」を解決する意欲的なアプリ作品を募集
「freeeアプリアワード2020」
応募締切迫る(2020年11月18日まで)
「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、中小企業や個人事業者向けのSaaS型クラウド会計サービスを提供しているfreee株式会社。同社では現在、freeeのAPIを使ったアプリケーションを募集する「freeeアプリアワード2020」を大々的に開催中だ。
単なる会計業務の効率化にとどまらない、スモールビジネスの成長を支える統合ERPソフトを目指すfreeeが、「求む! みんなの『困った』を解決するアプリ」をテーマに今年から立ち上げたアワードの背景やねらいを、担当者のお2人に伺った。
freeeの思想は「APIを使ったアプリを増やして
ユーザーの利便性を高める」
創業以来の看板サービスともいうべき「会計freee」を筆頭に、給与計算、労務管理の負荷を大幅に軽減する「人事労務freee」、そして税務申告書作成などの機能を網羅した「申告freee」など、スモールビジネスのための「バックオフィス業務の効率化ソフト」を幅広く提供しているfreee 株式会社(以下、freee)。現在、同社で開催中の「freeeアプリアワード2020」では、freeeが提供しているサービスのAPIを活用したアプリケーションを一般から公募している。
優秀な作品には賞金100万円の大賞をはじめ、協賛各社からの賞品・副賞が授与される。今年が第1回となるこのアワードを起ち上げた背景には、同社が掲げてきた「オープンプラットフォーム戦略」があったと、プラットフォーム部・ディベロッパーリレーション担当の長内 毅志氏は明かす。
「APIを一般の方々に開放することで、freeeを中核にしたさまざまな周辺のサービスやアプリ事業を新規に立ち上げ、共にユーザーの利便性を拡げていっていただこうという発想です。フィンテックにおけるAPIというと『自社のサービスと銀行を接続する』といった限られた使い道をイメージしがちですが、freeeではもっと先を見て、一般の開発者でも当社の提供するAPIを利用したアプリを自由に開発して、自社のビジネスに活用してもらおうと考えています」。
一般にフィンテック系というと、セキュリティの観点から、できるだけ外部から接続させない、さわらせないように守りを固めてしまいがちだ。しかしfreeeでは、あえて自社のAPIを積極的に公開することで、社外のさまざまなデベロッパーとの協業を活性化させ、顧客であるスモールビジネスのユーザーに、より便利な業務環境を拡げてゆく方針を選択している。もちろん、だからといってセキュリティを軽視しているわけではない。
「公開するからには、厳密な権限管理を徹底しています。APIに接続できる人にどのエンドポイントを許可して、どこは許可しないといった権限設定を、一つひとつの機能ごとに行えるようになっています」(長内氏)。
こうしたセキュリティ面を最重要視するポリシーは、同社のアプリストアへの登録ソフトウェアの審査にも活かされている。プラットフォーム部 部長 前村 菜緒氏は、「たとえばお客様のデータを大量かつ頻繁に取得するような怪しい動きをしないかとか、会計処理としておかしな振る舞いをしないかというのを、審査の時点で担保していく取り組みを現在も進めています」と明かす。
ユーザーの「あったらいいな」に応える
アイディアをみんなで出し合う
今回の「freeeアプリアワード2020」のスローガンは「スモールビジネスの困りごとを、ハックせよ」。すなわちfreeeのユーザーである中小企業や個人事業者の、日頃の仕事の悩みや課題を解決するアプリケーションを皆で創り出そうというわけだ。事実、同社にはさまざまな分野や業態のユーザーから「こんなことができないか」「こんな機能が欲しい」といった声が毎日のように寄せられているという。
ちなみにツイッターには「#freeeに願いを」というハッシュタグがあり、これで検索すると実に膨大なユーザーからの「あったらいいな」「こうしたら便利」を見ることができる。とはいえ、一方ではSaaS事業者として優先して解決すべき課題や機能の充実などのテーマもある。そういう機能の根幹の部分の課題と個々のユーザーの細かな要望が必ずしも合致しないことも多く、このバランスをどう取っていくかというジレンマが常にあったと長内氏は語る。
「しかし、そう考えていくうちに、むしろいろいろな細かいユーザーの要望や私たちが気づかない現場ならではの悩みは、ユーザー自身が一番知っているのではないか。それならば私たちだけで解決するのでなく、まさにfreeeを使って自分たちのビジネスをより良くしようと考えている皆さんにぜひアイディアを提供していただこうと考えたのが、今回のアワードのきっかけになりました」(長内氏)。
この発想の転換を後押ししたのは、freeeのアプリストアに登録されてくる外部のアプリケーションだった。中でもAPI領域に関した製品は、freeeの機能にプラスアルファで「こんな機能や操作ができたらいいな」を実現しているものが多いという。たとえば多言語対応のアプリは、オフショア開発で海外現地の企業と取引のある開発会社が、経費精算などの際に現地の言語で操作できるアプリを開発したいというニーズがもとになっている。
「たとえば、外貨に関するニーズにも同じようなことが言えます。ひと口に外貨と言ってもものすごい数があるので、それらすべてに私たちがfreee本体の機能だけで対応するのは厳しいものがあります。そこでその機能が必要な方が自らソリューションを開発・提供してくれると、ご本人はもちろん、多通貨対応機能がなくて悩んでいるfreeeのユーザーすべてが助かることになります。まさにスモールビジネスの困りごとも、APIを活用すれば解決できる好例ではないでしょうか」(前村氏)。
「ふつうの人」の目線から「実現できる機能と
使いやすさのバランス」を考える
さて、ここまで読んで「自分でもスモールビジネスの困りごと解決にチャレンジしてみよう」と思った人もいるだろう。だが、「freeeアプリアワード2020」に応募するアプリケーションを考える際、どんな点に着目すると良いのだろうか。長内氏は「ほんの小さな困り事でも、ユーザー=ふつうの人の目線で見てみること」というヒントを示す。
その好例として長内氏が挙げたのが、いま非常に伸びているアプリで、家族の間でお互いのスケジュールをシェアする某ベンダーの製品だ。機能はとてもシンプルで、お父さんが金曜日は飲み会だから遅くなるとか、お母さんが土日はPTAの会合で出かけるなど、家族の予定がわかるというもの。
「この製品のすごさは、そうしたスケジュール機能を誰でもきわめてシンプルに使えるように作った点です。私たち技術者はスケジュール管理と聞くと『それならGoogleカレンダーがあるよね』で済ませがちです。でも実際にはそういうツールだと、ふつうの人には多機能すぎて使えない。それをスケジュール管理という機能自体は同じでも、切り口を変えてシンプルで使いやすくするだけで、より多くの人にとっての価値が生まれるのです。応募作品を考える際も、いろんな人の視点に立ってみると見つかるものがあるかもしれません」(長内氏)。
一方、前村氏は「今年ならではというべきアプリが、最近続々登場してきている」と示唆する。たとえばコロナ禍で助成金の申請に頭を悩ませている中小企業や個人事業主は多いが、それを見たある社会保険労務士が、雇用調整助成金の申請をfreeeのデータを使って簡単に行えるアプリを開発した。
「freeeに日頃からデータを登録しているユーザーさんなら、そういう手続きもかなり簡単にできるはずなのです。このアプリはそういうfreeeに蓄積されているデータの使い勝手に着目した点が秀逸です。またAPIを活用してfreee本体では提供できていない価値を提供し、スモールビジネスの困りごとを解決するというコンセプトにも非常にマッチしていると思います」(前村氏)。
コロナ禍対応にせよ、先立って国が発表した行政のデジタル対応など、これからかなり流動的に状況が変わっていくことは必至だ。そこに着目してニーズを発見し、アプリの機能に落とし込んでいくことは、非常に大きな可能性があるのではないかと、前村氏はアドバイスする。
自分の考えたアプリが
誰かの「困りごと」解決に役立つかも
「freeeアプリアワード2020」の応募対象者は、もちろんAPIを使ったアプリケーションを開発できる技術者だが、決して高度なプログラミングスキルを持った人だけに限っているのではない。アプリ開発の経験は少なくても、光るアイディアを持った人を発掘するために、近年急速に拡がりつつある開発プラットフォームを活用するのもOKだ。
「今回はGoogleスプレッドシートに連携したアプリとか、Microsoftのローコード開発プラットフォームであるMicrosoft Power Platform、またはGoogle Apps Scriptを利用したアプリもウェルカムです。いわゆるスマホ用アプリのような高度な開発は、必ずしも必要ではないということです」(長内氏)。
こうした技術仕様を始め、詳しい参加要項などはアワードの公式Web サイトのFAQにまとめられているので、興味のある人はぜひ参照してほしいと長内氏は語る。すでに応募作品もかなりの数が来ており、応募目標を100件としているが、順調に集まっているとのこと。応募者の裾野が広いコンシューマ向けとは異なり、BtoBのアプリでこの応募ペースと件数はかなりの勢いだ。また応募者は学生から技術専門学校生、はたまた驚くような有名企業から個人で参加しているエンジニアまで「本当にバラバラ」(長内氏)だという。やはり誰でも気軽に挑戦できるアワードなのだ。
また「freeeアプリアワード2020」には、協賛会社によるいろいろな特典サポートが提供されているのも大きな特色だ。今回はIBM、サイボウズ株式会社、日本マイクロソフト株式会社、LINE株式会社(五十音順)の4社が参加しており、たとえばIBMからは参加者向けにIBMクラウドの開発環境の提供。LINEからは、最近リリースされたばかりのCLOVA OCRという文字認識機能をアワード参加者に限定して無償提供する。最新の開発環境を使ってみたいという開発者には、格好のチャンスといえるだろう。
長内氏は「インターネットの時代は、個人が力を発揮できる時代だと考えています。一人の人間が考えたアプリがネットを介して世界中の人に伝わり、その価値が認められれば多くの人が助かり、喜んでくれる。私自身、オープンソースプロジェクトでの参加経験から、そうした素晴らしさを実感してきました。ぜひ皆さんにも、今回のアワードを自分の世界を拡げるきっかけにしていただきたいと願っています」と語る。
前村氏も「ちょうど今コロナ禍や市場の大きな変化の中で、課題を抱えている中小企業のために何かできたらと思っている開発技術者は多いと思います。その点freeeは中小企業や個人事業主のユーザーが多いので、今回のアワードはそうした想いから生まれたアプリをより多くの方々に届けるチャンスとしてご利用いただけると確信しています」と強調する。
ぜひ気軽に、自由な発想で応募してみて欲しいと呼びかける長内氏と前村氏。日本のスモールビジネスの「困りごと」解決に一肌脱ごうという心意気の技術者は、ぜひチャレンジしてみてはいかがだろう。
freeeアプリアワード2020 応募要項
作品応募期間:現在募集中(締切:2020年11月18日(水)
結果発表:2020年12月16日(水)
表彰式:2021年2月開催イベント「Biz Tech Frontier 2021」内にて表彰(予定)
公式Webサイト:https://www.freee.co.jp/event/app-award-2020/
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