初めてでも安心! OCIチュートリアルを活用して、MySQLのマネージド・データベース・サービスを体験してみよう

2021年4月21日(水)
高橋 正和

はじめに

新人エンジニアの鈴木君は、オラクルが提供するチュートリアル形式のウェビナーを受講することになりました。

オラクルのクラウドサービスOracle Cloudで、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上のMySQLのマネージドサービス「MySQL Database Service(MDS)」と、MDSでMySQLの分析処理を高速化する「HeatWave」について学びます。今回はMDSを開始するところまで試してみましょう。

画面ショットについてはOCIの現在のコンソール画面と異なっている場合があります。

最初に作業手順の説明を受ける

MDSは、Oracle Cloudで使えるMySQLのマネージドサービスです。MySQL開発チームが開発していて、MySQLと100%の互換性があるほか、Oracle公式のサポートも受けられます。

今回は、OCIでMDSのインスタンスを作成し、Linux仮想マシンインスタンス上のMySQLクライアントから接続して試します。OCIでMySQLクライアントを動かすのは、MDSではセキュリティの観点からパブリックIPアドレスを持てないため、手元のPCのクライアントから直接MDSに接続できないからです。

作業手順は、以下のとおりです。

  1. サービス制限の確認
  2. コンパートメントの作成
  3. 仮想クラウドネットワーク(VCN)の作成
  4. セキュリティ・リストの修正
  5. 仮想マシンインスタンスの作成
  6. MDSの作成
  7. MySQLクライアントから接続
  8. サンプルデータベースで試す

1. ログインしてサービス制限を確認する

鈴木君が受講の準備を終えて待っていると、画面上に今回の講師を務めるオラクル先生が登場しました。簡単に挨拶を交わし、さっそくウェビナーの開始です!

  • 【オラクル先生】
    鈴木君、Oracle Cloudのアカウントは作ってきてくれましたか?
  • 【鈴木君】
    はい、30日間無料トライアルで登録してきました。
  • 【オラクル先生】
    では、Oracle Cloudのコンソールにアクセスしてログインしましょう。最初の「Cloud Account Name」は登録したときのクラウドアカウント名で、ユーザー名とは違うので注意してください。

ここで、シングルサインオン(SSO)でのログインがデフォルトで選ばれているので、特に気にせず進みます。あとはユーザー名とパスワードでログインすると、コンソールが表示されます。

図1:Oracleクラウドのコンソール

  • 【鈴木君】
    ログインできました!
  • 【オラクル先生】
    では、最初にサービス制限を確認しておきましょう。Oracle Cloudではデフォルトで、それぞれのサービスごとに、どれぐらいの数を立ち上げられるか上限値が設定されています。HeatWaveを使うために必要なリソースが利用できるか確認します。足りなかったら制限の引き上げを申請することになります。
  • 【鈴木君】
    わかりました。AWSなどの、ほかのクラウドでも同じようなのがありますね。

コンソール左上にある三本線のハンバーガーメニューをクリックすると、コンソールメニューが表示されます。ここで、「ガバナンス」→「制限、割当ておよび仕様状況」を選ぶとサービス制限の設定画面が表示されます。

図2:コンソールメニューからサービス制限の設定を表示

サービス制限の設定画面では、「サービス」で「MySQL」を選びます。そして「スコープ」で使う可用性ドメインを、東京リージョンがあれば、何か文字列のあとに「:AP-TOKYO-1-AD-1」のようになっている項目を選びます。これで制限の一覧が表示されます。

  • 【オラクル先生】
    それでは、先に進みましょう! HeatWaveを使うためには、「MySQL Database for HeatWave VM.Standard.E3 Nodes Count」が1以上に、「MySQL HeatWave VM.Standard.E3 Nodes Count」が2以上になっている必要があります。表示される制限は条件を満たしていますか?
  • 【鈴木君】
    はい。1と2になっています。
  • 【オラクル先生】
    OKです!

図3:サービスとスコープを選ぶと制限の一覧が表示される

図4:HeatWaveを使うための条件を満たしていることを確認

2. コンパートメントを作成する

  • 【オラクル先生】
    次に、コンパートメントを作ります。コンパートメントは、1つのアカウントの中を複数に区切るもので、Oracle Cloud独特の概念です。1つのテナントに複数のチームが入っているときに、コンパートメントごとにリソースとそのポリシーを設定するというような使い方をします。今回は特にコンパートメントを新しく作る必要はないのですが、Oracle Cloudを体験するということで、作ってみましょう。
  • 【鈴木君】
    わかりました。

コンソールメニューから「アイデンティティ」→「コンパートメント」を選択すると、すでに作られているコンパートメントの一覧が表示されます。

図5:コンパートメントの一覧から「コンパートメントの作成」へ

  • 【オラクル先生】
    一覧の上にある「コンパートメントの作成」をクリックしてください。
  • 【鈴木君】
    「コンパートメントの作成」のダイアログボックスが表示されました。

ここで「名前」と「説明」を入力します。ここでは仮に、名前を「handson」、説明を「ハンズオン用」としておきます。入力が終わったら、「コンパートメントの作成」をクリックします。

図6:名前と説明を入力してコンパートメントを作成

  • 【鈴木君】
    「hndson」がコンパートメント一覧に表示されました。

図7:新しいコンパートメントが表示された

3. 仮想クラウドネットワーク(VCN)を作成する

  • 【オラクル先生】
    続いて、仮想クラウドネットワーク(VCN)を作成しましょう。
  • 【鈴木君】
    AWSのVPCのようなものですね。
  • 【オラクル先生】
    そうです。まず、コンソールメニューから「ネットワーキング」→「仮想クラウド・ネットワーク」を選択してください。ここで、初めての場合は、まずコンパートメントを選択するよう求められると思うので、画面左の「コンパートメント」から、先ほど作成した「handson」を選ぶのを忘れないように。

図8:コンパートメントの選択

  • 【鈴木君】
    仮想クラウド・ネットワークの一覧画面が表示されました!
  • 【オラクル先生】
    この一覧には、デフォルトでは何もないはずです。ここで、一覧の上にある「VCNウィザードの起動」をクリックしてみてください。

図9:一覧からVCNウィザードを起動

  • 【鈴木君】
    「VCNウィザードの起動」ダイアログボックスが表示されました。
  • 【オラクル先生】
    まずVCNの種類として、「インターネット接続性を持つVCN」を選んで「VCNウィザードの起動」をクリックしてください。

図10:VCNの種類を選ぶ

  • 【鈴木君】
    「インターネット接続性を持つVCNの作成」の画面になりました!
  • 【オラクル先生】
    ここではVCN名だけ入力すれば十分です。仮に「TutrialVCN」としましょう。念のため、コンパートメントが「handson」になっていることも確認しておきます。「VCNとサブネットの構成」でネットワーク情報も設定できますが、ここではそのままでかまいません。

図11:VCNの設定で名前を入力

「次」をクリックすると設定の確認が表示されるので、内容を確認して「作成」をクリックしましょう。

図12:設定内容を確認

  • 【鈴木君】
    「仮想クラウド・ネットワークが作成されました」と表示されました。

図13:VCNが作成された

これでVCNが作成されました。画面左下の「仮想クラウド・ネットワークの表示」をクリックすると、VCN(TutorialVCN)の情報が表示されます。この中で「handsonコンパートメントのサブネット」のところに、「プライベート・サブネット」と「パブリック・サブネット」の2つが作成されていることがわかると思います。「パブリック・サブネット」はインターネットにつながっている側、「プライベート・サブネット」はインターネットにつながっていない側です。

図14:VCNの情報が表示される

フリーランスのライター&編集者。IT系の書籍編集、雑誌編集、Web媒体記者などを経てフリーに。現在、「クラウドWatch」などのWeb媒体や雑誌などに幅広く執筆している。なお、同姓同名の方も多いのでご注意。

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