レッドハットが「OpenShift Commons Gathering Japan 2021」を開催、キーパーソンが語るハイブリッドクラウドを実現するための3つのポイントとは

2022年1月13日(木)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

「アプリケーションリリースエンジニアが必要」と訴求

岡下氏と北山氏の対談は、日本アイ・ビー・エム三菱UFJインフォメーションテクノロジーによる動画セッションを挟んで、コンテナを取り囲む技術動向や顧客のニーズなどを語ったものだ。

対談形式でユーザーとパートナーの動画を紹介

ここでは、開始から約39分頃の「アプリケーション開発者と運用開発者の橋渡しを行うリリースエンジニアが必要」という部分に注目したい。

開発チームにアプリケーションのリリース担当が必要と解説

アプリケーション開発者には運用の荷が重いとされがちなKubernetesだが、上手く運用できている企業の運用体制とチームの役割が明確化してきている。マイクロソフトなどもAppOpsとしてアプリケーション開発側に運用のためのミドルウェア選択やセキュリティ設定などを担当するエンジニアを用意するべきだと語っているが、レッドハットもそれを意識して「リリースエンジニアリング」を開発部隊に配置するという体制は今後重要になるだろう。

また、日本アイ・ビー・エムのセッションでは2019年から提供が始まったIBM Cloud Pakの紹介、さらに金融業界の事例としてフロントエンドをOpenShiftで実装した例を解説した。バックエンドにメインフレームで構成されたシステムと接続することで素早く顧客向けのサービスを開発&リリースできた例は、メインフレームユーザーに限らず注目するべき内容だろう。

消費者金融会社の例を紹介

三菱UFJインフォメーションテクノロジーの動画では、AWSのマネージドKubernetesではなくOpenShiftを選択した背景などを解説。ここではスマートフォンアプリのバックエンドにOpenShiftを選択している理由を説明した。

特に、エンタープライズでコンテナを利用するには、マネージドKubernetesの利用だけでは保守の観点で不十分であることを強調している。OpenShiftを活用する最大の利点は、Kubernetesの上で稼働するミドルウェアの保守や障害時の切り分け業務を任すことができることである。

OpenShiftを選択する理由を解説

ハイブリッドクラウドを可能にする3つの柱に対する解説と、OpenShiftを活用した国内事例は、これからコンテナを利用する人にとっても実用的な内容と言えるだろう。この他のセッションもぜひ視聴してほしい。

* * *

本稿で紹介した3つのセッションを含め、本イベントで行われたセッション動画は「OpenShift Commons Gathering Japan 2021」の公式サイトから参照できる。各セッションの詳細については、各動画を参照いただきたい。

●「OpenShift Commons Gathering Japan 2021」の全セッション動画を公開中!
https://www.redhat.com/ja/explore/openshift/commons-gathering-ja
著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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