写真で見る「KubeCon NA 2022」活気が戻ったショーケースを紹介

2023年3月8日(水)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
KubeCon NA 2022の会場から、ベンダーやユーザー企業が出展したショーケースを紹介する。

KubeCon + CloudNativeCon NA 2022は、デトロイトという普段は余りIT系カンファレンスが行われていない場所で行われた。しかしパンデミックの影響で激減していたリアルイベントの参加者も復調の傾向にあり、セッションもベンダーが出展するショーケースも賑わいを取り戻していた。今回はショーケースの一部を駆け足で紹介する。現地の盛り上がりの雰囲気を少しでも味わっていただきたい。

10月25日の夜に行われたFermyonのパーティ

10月25日の夜に行われたFermyonのパーティ

これはKubeConのプレカンファレンスが行われた2022年10月25日の夜、会場近くで行われたFermyonのパーティのバナーだ。多くの参加者が集うカンファレンスは参加者だけではなくセッションのスピーカー、ベンダーなどが自由に会話する絶好の機会でもある。かつてMicrosoftに買収されたDeisLabは、買収される前にThe Linux Foundationの主催したカンファレンスでじっくり話し込んでいたことが目撃されており、テクニカルなディスカッション以外のさまざまな会話が行われることは想像できる。

CosmonicのTaylor Thomas氏(左)とFermyonのMatt Butcher氏

CosmonicのTaylor Thomas氏(左)とFermyonのMatt Butcher氏

WebAssembly関連のベンチャーとして頭角を現しているCosmonicとFermyonのキーパーソンが、こうしてパーティで出会うのはごく自然なことだろう。

InfinyOn

KubeConのショーケースでは、最小のブースながらこれまで見たことがない新規の企業が数多く出展を行っており、エコシステムが順調に拡大していることが感じられた。

RustとWebAssemblyでストリーミングを実現する<a href="https://www.infinyon.com/" class="link">InfinyOn</a>のブース

図1.3: RustとWebAssemblyでストリーミングを実現するInfinyOnのブース

●参考:InfinyOn

Open Source Summit NA 2022で一番注目されたデモを行ったFermyonのブースも常に賑わっていた。

中央のデモデスクではFiniky Whiskersというデモが実演されていた

中央のデモデスクではFiniky Whiskersというデモが実演されていた

Open Source Summit NA 2022のデモについては以下を参照して欲しい。

●参考:Open Source Summit NA 2022、マイクロサービスをWASMで実装したデモを紹介

Istio

サービスメッシュについてはIstioがCNCFに寄贈されたこと、Ambient Meshが発表されたことでIstioに注目が集まっていた。

Istioのブース。説明を行っているのはLin Sun氏だ

Istioのブース。説明を行っているのはLin Sun氏だ

ブースにいたのはIstioの開発元のひとつであるSolo.ioのLin Sun氏だ。Sun氏はセッションを行っているプレゼンターであり、Ambient Meshの書籍の著者でもあるエンジニアと直接会話ができるのもショーケースの良さだろう。

Buoyant

Linkerdを開発するBuoyantのCEO、William Morgan氏

Linkerdを開発するBuoyantのCEO、William Morgan氏

サービスメッシュの領域で、ユースケースの数ではIstioを圧倒しているLinkerdの開発元Buoyantもブースを出展。CEOのWilliam Morgan氏も対応に追われていた。実はサイドカーレスのサービスメッシュをIstioが発表した時にMorgan氏が冗談として「Linkerdもサイドカーレスをやるよ」とツイートしていたことをコメントすると「あれはLinkerdがサイドカーレスになったらどのような反応が来るのか、測っていたんだ」ということだった。「驚かせて悪かった。お詫びに今度はビールでも奢るよ」とコメントしていた。

Calyptia

トレジャーデータから離れたFluent BitはCalyptiaに

トレジャーデータから離れたFluent BitはCalyptiaに

トレジャーデータが開発を行っていたFluentdは現在は開発チームがCalyptiaという会社に移っているようだ。Fluentd/Fluent Bitのエバンジェリストとしてさまざまなカンファレンスでプレゼンテーションを行っていたEduardo Silva氏(写真右)もブースにいて説明を行っていた。

Cosmonic

Cosmonicのブース。右端がCEOのLiam Randall氏

Cosmonicのブース。右端がCEOのLiam Randall氏

WebAssembly関連ではCosmonicが存在感を示していた。実は写真を撮っている時にCEOのLiam Randall氏は別の参加者と話し込んでいたが、「オレも参加させろ」とばかりにやってきて撮影したのがこの写真だ。

Cisco

ここからはベンダーのブースをいくつか紹介しよう。最初はCiscoだ。Ciscoは従来の硬いイメージを壊したいからか、参加者がカスタマイズできるイラストのフーディを配布していた。タブレットを使ってカスタマイズした上でその場でプリントを行う方式で、長い列ができるほど人気を集めていた。

Ciscoはカジュアルなイメージをアピール

Ciscoはカジュアルなイメージをアピール

Docker

Dockerはデベロッパー向けのアピールを全面にWebAssemblyのテックプレビューを訴求していた。Dockerは過去の評判の悪さを今回のWASMサポートでかなり挽回したのではないだろうか。

DockerはWASMサポートを全面に

DockerはWASMサポートを全面に

Microsoft

MicrosoftはAzureを全面にしてこれも開発者向けの訴求が中心だった。

Microsoftのブース。Azureが中心

Microsoftのブース。Azureが中心

Microsoftのブースにキーノートにも登壇しウクライナ支援を訴えたエンジニア、Ihor Dvoretskyi氏が訪れており、注目を集めていた。

Microsoftのブースを訪れたIhor Dvoretskyi氏(中央)

Microsoftのブースを訪れたIhor Dvoretskyi氏(中央)

Red Hat

Red HatはKubernetesの商用ソリューションとしては最も成功を収めているOpenShiftを訴求していた。

Red HatはOpenShiftを全面に

Red HatはOpenShiftを全面に

KubeCon EU 2022でも再会したOpenShift Commons GatheringのMC役でもあるコミュニティマネージャーのDiane Müller氏。現在進めているプロジェクトについて教えてくれた。

Diane Mueller氏とばったり再会

Diane Müller氏とばったり再会

ユーザー企業

KubeConが特徴的なこととしてユーザー企業が出展していることだろう。主な目的はエンジニアの採用だと思われるが、今回はFord、HomeDepotのブースを紹介する。

Fordは車輛を持ち込んで展示

Fordは車輛を持ち込んで展示

HomeDepotはいわゆるホームセンターの代表的企業だ

HomeDepotはいわゆるホームセンターの代表的企業だ

安くはない出展料を支払ってでもクラウドネイティブなエンジニアの採用や企業のイメージアップを行う企業がいることが、KubeConが本格的に復調し始めていることを示していると言えるだろう。

恒例の手書きのジョブボードも盛況だ

恒例の手書きのジョブボードも盛況だ

最後に2023年のKubeConの予定を確認してこの稿を終わろう。ヨーロッパは4月にアムステルダム、北米は11月にシカゴでの開催が発表されている。シカゴは今回のデトロイトに次いでアメリカ中西部での開催となる。

2023年はアムステルダムとシカゴで開催

2023年はアムステルダムとシカゴで開催

CNCFが目指していたヨーロッパ、北米、そして中国でのカンファレンス開催は、中国が欠けたままなのは仕方ないとは言え、1日のミニカンファレンスは世界各地で実施されており、2つのビッグカンファレンスと各都市でのミニカンファレンスというスタイルが2023年も継続していくことになる。引き続き注目していきたい。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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