写真で見る「KubeCon NA 2022」活気が戻ったショーケースを紹介
KubeCon + CloudNativeCon NA 2022は、デトロイトという普段は余りIT系カンファレンスが行われていない場所で行われた。しかしパンデミックの影響で激減していたリアルイベントの参加者も復調の傾向にあり、セッションもベンダーが出展するショーケースも賑わいを取り戻していた。今回はショーケースの一部を駆け足で紹介する。現地の盛り上がりの雰囲気を少しでも味わっていただきたい。
これはKubeConのプレカンファレンスが行われた2022年10月25日の夜、会場近くで行われたFermyonのパーティのバナーだ。多くの参加者が集うカンファレンスは参加者だけではなくセッションのスピーカー、ベンダーなどが自由に会話する絶好の機会でもある。かつてMicrosoftに買収されたDeisLabは、買収される前にThe Linux Foundationの主催したカンファレンスでじっくり話し込んでいたことが目撃されており、テクニカルなディスカッション以外のさまざまな会話が行われることは想像できる。
WebAssembly関連のベンチャーとして頭角を現しているCosmonicとFermyonのキーパーソンが、こうしてパーティで出会うのはごく自然なことだろう。
InfinyOn
KubeConのショーケースでは、最小のブースながらこれまで見たことがない新規の企業が数多く出展を行っており、エコシステムが順調に拡大していることが感じられた。
●参考:InfinyOn
Open Source Summit NA 2022で一番注目されたデモを行ったFermyonのブースも常に賑わっていた。
Open Source Summit NA 2022のデモについては以下を参照して欲しい。
●参考:Open Source Summit NA 2022、マイクロサービスをWASMで実装したデモを紹介
Istio
サービスメッシュについてはIstioがCNCFに寄贈されたこと、Ambient Meshが発表されたことでIstioに注目が集まっていた。
ブースにいたのはIstioの開発元のひとつであるSolo.ioのLin Sun氏だ。Sun氏はセッションを行っているプレゼンターであり、Ambient Meshの書籍の著者でもあるエンジニアと直接会話ができるのもショーケースの良さだろう。
Buoyant
サービスメッシュの領域で、ユースケースの数ではIstioを圧倒しているLinkerdの開発元Buoyantもブースを出展。CEOのWilliam Morgan氏も対応に追われていた。実はサイドカーレスのサービスメッシュをIstioが発表した時にMorgan氏が冗談として「Linkerdもサイドカーレスをやるよ」とツイートしていたことをコメントすると「あれはLinkerdがサイドカーレスになったらどのような反応が来るのか、測っていたんだ」ということだった。「驚かせて悪かった。お詫びに今度はビールでも奢るよ」とコメントしていた。
Calyptia
トレジャーデータが開発を行っていたFluentdは現在は開発チームがCalyptiaという会社に移っているようだ。Fluentd/Fluent Bitのエバンジェリストとしてさまざまなカンファレンスでプレゼンテーションを行っていたEduardo Silva氏(写真右)もブースにいて説明を行っていた。
Cosmonic
WebAssembly関連ではCosmonicが存在感を示していた。実は写真を撮っている時にCEOのLiam Randall氏は別の参加者と話し込んでいたが、「オレも参加させろ」とばかりにやってきて撮影したのがこの写真だ。
Cisco
ここからはベンダーのブースをいくつか紹介しよう。最初はCiscoだ。Ciscoは従来の硬いイメージを壊したいからか、参加者がカスタマイズできるイラストのフーディを配布していた。タブレットを使ってカスタマイズした上でその場でプリントを行う方式で、長い列ができるほど人気を集めていた。
Docker
Dockerはデベロッパー向けのアピールを全面にWebAssemblyのテックプレビューを訴求していた。Dockerは過去の評判の悪さを今回のWASMサポートでかなり挽回したのではないだろうか。
Microsoft
MicrosoftはAzureを全面にしてこれも開発者向けの訴求が中心だった。
Microsoftのブースにキーノートにも登壇しウクライナ支援を訴えたエンジニア、Ihor Dvoretskyi氏が訪れており、注目を集めていた。
Red Hat
Red HatはKubernetesの商用ソリューションとしては最も成功を収めているOpenShiftを訴求していた。
KubeCon EU 2022でも再会したOpenShift Commons GatheringのMC役でもあるコミュニティマネージャーのDiane Müller氏。現在進めているプロジェクトについて教えてくれた。
ユーザー企業
KubeConが特徴的なこととしてユーザー企業が出展していることだろう。主な目的はエンジニアの採用だと思われるが、今回はFord、HomeDepotのブースを紹介する。
安くはない出展料を支払ってでもクラウドネイティブなエンジニアの採用や企業のイメージアップを行う企業がいることが、KubeConが本格的に復調し始めていることを示していると言えるだろう。
最後に2023年のKubeConの予定を確認してこの稿を終わろう。ヨーロッパは4月にアムステルダム、北米は11月にシカゴでの開催が発表されている。シカゴは今回のデトロイトに次いでアメリカ中西部での開催となる。
CNCFが目指していたヨーロッパ、北米、そして中国でのカンファレンス開催は、中国が欠けたままなのは仕方ないとは言え、1日のミニカンファレンスは世界各地で実施されており、2つのビッグカンファレンスと各都市でのミニカンファレンスというスタイルが2023年も継続していくことになる。引き続き注目していきたい。
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