写真で見るGitHub Universe 2022、限られた空間で最大限の効果を狙ったイベント作り
GitHub Universe 2022から、イベント全体の印象とセッション以外の部分について紹介する。ITベンダーが主催するカンファレンスは自社と製品の宣伝がメインとは言え、パートナーや顧客を登壇させて宣伝をさせたり、本当は自分たちが言いたいことを顧客に言わせたりすることで説得力を持たせるなどの手法が取られることが多い。しかし2022年のGitHubにとっては、そんな間接的なことをやっている余裕はなかったということだろう。セッションもほぼGitHubの社員が担当し、その中に親会社であるMicrosoftやGoogle、Meta、KPMGなどがセッションを行っていた。セッションの数も2019年に比べて少なくなっており、スポンサーブースも数が少なく目立たない設計になっていた。
上の写真は2019年に開催されたGitHub Universeのスポンサーブースを2階から撮影した写真だが、多くのパートナーがブースを展示しており、今年のブースがGitHubの展示と同じようなデザインで溶け込むようなデザインだったこととは大きく異なるのがわかる。面積に余裕があれば個々のスポンサーに特化したデザインを採用し、余裕がなければ統一感を重視したブース造りという判断だろう。
2022年は開催された施設の大きさも異なり、展示を行うスポンサーも7社という少なさで、かなり限られた予算の中で実施されていることを感じた。
キーノートでしっかり紹介されたCopilotやActions、Codespacesなどもモニターとテーブルにデモ担当者のための椅子だけというシンプルなブースで、他との差別化を敢えてしないような設計だ。
ただし遊び心とセンスの良さは相変わらずで、DJブースやソファー、いつでも手作りのカフェオレが飲めるドリンクカーやミネラルウォーターや炭酸飲料を入れた冷蔵庫やスナック置き場などが設置されて、参加者の過ごしやすさには気を遣っていたことが見てとれる。
屋外にもステージが用意されており、ここでは対談などのインタラクティブなセッションが開かれていた。
GitHubのソフトウェアを実際に触って解説するブースも用意されており、ノートPCを操作しながら参加することができる。そのような場合も四角なテーブルに設置するのではなく、カーブしたテーブルが使われるなど随所にGitHubのセンスの良さを感じることができる。
会場の中央にはソファーが用意され、ここでは寛ぐこともできるし、ちょっとしたミーティングの場所としても使えるように設計されていた。
またエンジニアに質問を行うブースの他にも、GitHub社員が常に待機して参加者のヘルプを行えるようになっており、こんなところにもGitHubがカンファレンス参加者にストレスを感じないようにしたいという気持ちが感じられる。
ただ実際に現地で参加してみて感じたのは、何よりも対面式のイベントを待っていたのはGitHubの社員であろうということだ。会場のそこかしこで記念のセルフィーを撮影する姿や久しぶりの再会を喜ぶ姿を確認することができた。
この写真ではGitHubの社員と参加者がいわゆるオフ会的に集まって会話しているが、狭いながらもこういう空白のスペースを上手く使ってコミュニケーションを行うことができる設計になっていた。
また遊び心と言う意味ではキーノートセッションの直前にはステージ上でシンセサイザーと電子チェロによるパフォーマンスが行われており、参加者を退屈させないための工夫が凝らされていた。
また隣接するホテルにも嗜好が凝らされおり、エレベータのボタンにもOctocatのステッカーが貼られていた。
今回のベンダーブースで一番目立っていたのは、DockerのDeveloper RelationsのMichael Irwin氏だろう。GitHubのエコシステムとは直接は関係のないWebAssemblyとDockerに関するプレゼンテーションを行っていたが、常に多くの参加者が集まっており、質問にも積極的に答えていた。このプレゼンテーションはデトロイトのKubeCon NA 2022で注目されていたものと同じ内容だが、WebAssemblyの注目度がわかる人気ぶりだった。
全体的にはこぢんまりとした設計ながら休憩を取ったり、参加者同士が会話をしたりするスペースを充分にとりながら、最小規模のブースで最大の効果を狙ったGitHubらしいイベント設計となった。IT業界のリストラが進んでイベントの予算も削られていく状況で、GitHubらしいセンスの良さで参加者を満足させるイベント設計は、他社も学んで欲しいと強く思ったカンファレンスとなった。
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