【写真で見る】GitHub Universeが示す新しいイベントのスタイル
ソースコードリポジトリーサービスのGitHubが主催したGitHub Universe 2017では、セッションだけではなくスポンサーやパートナーの展示もユニークだった。この連載の最後は、そんなイベントのスタイルについて紹介してみたい。
イベントそのものがPier 70というサンフランシスコの市内からは少し離れた場所、いわゆる波止場の倉庫跡地を利用したスペースで行われていること自体が、すでにユニークである。
そして倉庫の外に展示された巨大な自社のマスコット。建物からタコの足が生えているように見せるのも面白い。
GitHubは、自社のキャラクターであるモナリサが非常に人気者であることをよく承知しており、他のIT企業によるイベントではあまりお目にかからないノベルティのショップが併設されていることからも、その辺りのことが伺える。
建物の中は、何もないスペースにスポンサー各社が自由にスペースを設置するスタイルだ。各スペースの配置を見ると、主にゲストとの対話を目的としていることがわかる。日本のカンファレンスでよく見かけるデモのための液晶ディスプレイとラップトップ、それにパネル展示という定形とはだいぶ異なるものだ。
それほど大きなスペースを用意できない企業にとっては、とにかく目立つことが重要だ。まずは目立って耳目を集め、立ち寄ってもらえば対話が始められる、という設計だろう。
一方IBMやHerokuといった大手企業は、ソファーと電源を設置して休憩したいユーザーを呼び込む作戦だ。もはや知名度を拡げる必要がない企業にとっては、「いかに濃い対話ができるか?」が目的となるわけで、ゲストを座らせて電源を使わせることも正しい戦略だろう。
Googleはデモを交えてTensorFlowを説明。ここでも、基本はデモと対話だ。
また会場の外には、ランチとティータイムのためのスペースがあり、参加者がゆったりするための配慮が行き届いている。無料のラテを提供しているこのトレイラーは大人気で、終始行列ができていた。
会場の中にもドリンクは豊富に用意されており、ゲストへの配慮もしっかりしている。
GitHub Universeがユニークなのは、多種多様なニーズに応えようとする姿勢だ。ペットを連れて参加する人向けのスペースやGender Neutral向けの簡易トイレ、それに乳児を連れて参加する人が授乳をするためのクローズドなスペースなど、どんな人が来ても対応できるように考慮されている。
「バリアフリー」ということで階段をなくすというような配慮は、日本のイベントスペースでも見かけられるようにはなったが、ここまで念入りにダイバーシティ(多様性)に取り組んだイベントはなかなかないだろう。
また10月11日は「National Coming Out Day」ということで、LGBTQ+(Lesbian、Gay、Bisexual、Transgender、Queer/Questioningやそれ以外の多様な性)をサポートするMavenという非営利団体のCEOが登壇し、プレゼンテーションを行ったところからも、GitHubがダイバーシティに積極的に関わっていこうとする姿勢を感じる。
参考:Maven
市内からはタクシーで20分、公共の交通機関だと30分はかかる場所で開かれたイベントだが、ユニークであることとリラックスできることを両立した稀有なイベントである。今後機会があれば、ぜひ参加されることをお勧めしたい。
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