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連載 [第1回] :
  GitHub Universe 2018レポート

GitHub Universe開催。ワークフローを実現するActionsなど多くの新機能を発表

2018年11月28日(水)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
GitHubが年次カンファレンス、GitHub Universeを開催。例年になく多くの新発表が連発したカンファレンスとなった。

ソースコードリポジトリの最大手であるGitHubが年次のカンファレンス、GitHub Universeをサンフランシスコで開催した。2018年6月、GitHubのMicrosoftによる買収が発表されたことで、IT業界以外にも一気に認知が高まったことは記憶に新しいだろう。この記事では、多くの新機能が発表された初日のキーノートと、新機能を紹介するセッションを取りまとめて紹介しよう。

倉庫風のスペースをうまく利用した作り込み

倉庫風のスペースをうまく利用した作り込み

GitHub Universeは通常のIT企業が行う年次カンファレンスとは趣(おもむき)が異なり、ホテルやコンベンションセンターなどを使わないことで有名だが、今年もサンフランシスコのパレスオブファインアートを会場に選んだ。元は子供向けの美術館だったところにキーノートとブレークアウトセッションの会場、各社パートナーのブース、GitHubのキャラクターであるOctocatを最大限に活用したノベルティショップなどをうまく配置して、狭いながらも奥行きを活かした会場設計としていた。

朝の光が注ぎ込むGitHub Universeの会場

朝の光が注ぎ込むGitHub Universeの会場

今回で3回目の参加となる筆者もGitHub Universeのこだわりを評価している。実際、Jason Warner氏にインタビューした際に質問してみたところ、イベント全体のプランニングの評価については「今回はMicrosoftのエンジニアが多数参加しているんだけど、彼らからも『GitHubのイベントはクールだ、イベントの企画が上手い』と言われるんだよ」と語っていた。多くのカンファレンスに参加しているエンジニアから見ても、オシャレでクールなデザインのカンファレンスであるというわけだ。

キーノートでは、Product担当のSenior VPであるそのJason Warner氏が登壇し、カンファレンスをキックオフした。

Product担当のSVPであるJason Warner氏

Product担当のSVPであるJason Warner氏

Warner氏はまず、エコシステムとしてのGitHubについて概要を振り返ることからセッションを始めた。特にプラットフォーム全体の合計で3,100万を数えるユーザーと9,600万を超えるリポジトリ、そして11億回を数えるコントリビューションの回数、800万人を超える新規のユーザーなどの数値をみれば、ソースコードリポジトリとしては世界最大で、かつ拡大が加速していることに異論はないであろう。

新規ユーザーは800万人

新規ユーザーは800万人

ここからは別セッションの写真も交えて、今回の発表の本命である新機能を見ていこう。

まずは「GitHub Actions」だ。これはGitHubの上でワークフローを実現するもので、Jason Warner氏とのインタビューでのコメント「これは当初、Scripted GitHubと呼ばれていた」という言葉が、その実体を上手く表しているだろう。つまりGitHubの上でCI/CD、様々な外部システムへのトリガーなどを実行できるものだ。

GitHub Actionsを発表するエコシステムエンジニアリングのトップ、Kyle Daigle氏

GitHub Actionsを発表するエコシステムエンジニアリングのトップ、Kyle Daigle氏

ワークフローを作り、その中にタスクを作成、そしてそれをつなげていくことで、一連の作業を自動化できる。実際にはそれぞれのタスクはDockerコンテナとして実行され、自動化のためのスクリプトはHashiCorpが開発を進めるオープンソースの言語であるHCL(HashiCorp Configuration Language)で記述される。このあたりも、基本的には車輪の再発明をせずにコミュニティの力を信じているという姿勢を感じることができる。

Actionsの動きがわかるアニメーション

Actionsの動きがわかるアニメーション

その他にも多くの新機能が紹介された。それについてはシニアプロダクトマネージャーのJarryd McCree氏のセッションから抜粋しよう。

今回の発表の概略

今回の発表の概略

セキュリティと言う部分ではトークンスキャンニングそしてJavaScript、Python、Rubyに続いて.NETとJavaに対する脆弱性の検知、Scaleという枠で紹介されているが、これはオンプレミスとパブリッククラウドを橋渡しする機能を指すもので、IDの共有、双方に対する検索機能、そしてコントリビューショングラフをオンプレミス、パブリックを通して見るための機能である。最後には少し地味だが、デベロッパーダッシュボードとGitHub Desktopを挙げていた。

新機能を紹介するJarryd McCree氏

新機能を紹介するJarryd McCree氏

特に様々なシステムを利用する際に発行されるクレデンシャルを、そのままパブリックなリポジトリにおいて公開してしまうという事例が後を絶たないことから、実装されたクレデンシャルを自動的に検出してリポジトリの管理者に通知するという機能は、いかにも起こりえそうなリスクを下げるための機能として効果が高そうだ。また脆弱性の検知も、Javaと.NETへの対応を行ったことで、エンタープライズ向けには大きく評価されるだろう。依存関係に従って新規の脆弱性をソースコードから自動的に検出するという機能は、デベロッパーの手間を減らす正しい一歩だ。

他にもオンラインで開発手法を学習できるLearning Labや、プルリクエストに適切な修正の提案を書き込めるSuggested Changeなど、細かい部分にも多数の改良が加わったという印象だ。

「CI/CDツールを置き換えてしまうのでは?」という質問は各国のプレスからも出ていたが、すでにCI/CD環境が揃っているならそれをより抽象化する使い方であろうし、まだCI/CDに行っていないのであれば、GitHub Actionsは選択の候補として検討するべきだろう。GitHub Actionsはまだベータ版という扱いであり、最終的にどのような形になるのか、大いに期待したい。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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