連載 [第6回] :
  GitHub Universe 2024レポート

写真で見るGitHub Universe 2024

2025年2月26日(水)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
GitHub Universe 2024から展示ブースのスポンサーやOSSコミュニティのブースを紹介

GitHubは毎年のカンファレンスで嗜好を凝らした会場を用意しているが、今年のGitHub Universeはパンデミックの影響を受けて規模が縮小された過去数年に比べて会場が変更され、規模も大きくなって開催された。

会場のエントランス。Fort Masonという米国陸軍の駐屯地の跡地で開催

会場のエントランス。Fort Masonという米国陸軍の駐屯地の跡地で開催

Fort Masonはサンフランシスコ湾に面した広大なイベント会場でゴールデンゲートブリッジの東側、ダウンタウンからはチャイナタウン、ジャパンタウンの先、フィッシャーマンズワーフの隣という位置にある。第2次世界大戦の際には米国陸軍の駐屯地として使われていたことで知られている。この写真は、パーキングから会場に入るエントランスのようすだが、右側の丘は公園の一部となっている。

10月末のサンフランシスコは雨が降らないという想定なのか、屋外に椅子やキッチンカーが設置され参加者がくつろげるような設計になっていた。

至る所にさまざまなデザインの椅子やテーブルが置かれ、参加者が和めるようになっていた

至る所にさまざまなデザインの椅子やテーブルが置かれ、参加者が和めるようになっていた

2日間とも最初のセッションはキーノートが行われたが、会場に入りきれなかった参加者は屋外に設置されたスクリーンを介して見られるようになっていた。キーノート会場もできる限り参加者を詰め込むような設計にはなっておらず、この辺りもデザインにこだわるGitHubらしさが表れていたと言える。

屋外でもキーノートを見られる設計。スクリーンの下には飲み物のブースも

屋外でもキーノートを見られる設計。スクリーンの下には飲み物のブースも

会場の案内板もおしゃれ

会場の案内板もおしゃれ

キーノートが行われる会場に入ったところ。手前にはGitHubとスポンサーの展示ブース

キーノートが行われる会場に入ったところ。手前にはGitHubとスポンサーの展示ブース

キーノートが行われるスペース。半円のステージを囲むように客席が設置されている

キーノートが行われるスペース。半円のステージを囲むように客席が設置されている

中央のスペースはGitHubが自社の説明員を配置してCopilotやWorkspaceなど今回の目玉となったプロダクトを紹介するために使われていたが、その周囲ではスポンサーが展示を行っていた。

JFrogのブースはミニゴルフで遊べるデザイン

JFrogのブースはミニゴルフで遊べるデザイン

JFrogはブランディングとなっている緑色をミニゴルフのコースに使ったブースを展開。参加者を遊ばせながらゴルフのホールインワンと「Your Software Supply Chain Whole in One」を重ねたコピーを使っていた。

Dockerのブース。シンプルなキャッチコピーと大きなロゴ、1台のモニターが標準の設備

Dockerのブース。シンプルなキャッチコピーと大きなロゴ、1台のモニターが標準の設備

各社のブースは基本的には大き目のロゴを中央に設置し、その脇に液晶モニター、小さな椅子とテーブルという型に統一され、一般的なイベント会場で見られる小さなブースの安っぽさが欠片もない。こういうところにGitHubのデザインにこだわる姿勢が見て取れる。

Armのブース。中央のロゴが黄色と白のグラデーション

Armのブース。中央のロゴが黄色と白のグラデーション

Armは2023年のUniverseにも参加していたが、このカンファレンスはデベロッパーが主な参加者と想定し、プラットフォームとしてArmアーキテクチャーの採用を促すというのが目的だろう。GitHub Actionsが2024年7月にArmのアーキテクチャーをサポートしたことから力が入っていたように思える。これまではセルフホストする形でArmアーキテクチャーには対応していたが、このパブリックベータではGitHub上でArmのイメージをビルドすることが可能になった。

●参考:GitHub ActionsでArm64が利用可能に:より高速で効率的なビルドシステムを提供

APIのドキュメント化を提供するReadMeのブース

APIのドキュメント化を提供するReadMeのブース

ReadMeも2023年に参加していたベンダーで、APIが大量に使われるクラウドネイティブなシステムにおいてそのドキュメント化を支援するというソリューションを提供している。昨年よりは大き目のブースになっているということは、企業として成功の道をたどっているということだろう。GitHubのエコシステムにうまく適用して成長している良い例だろう。

●参考:https://readme.com/

GitHubの親会社であるMicrosoftのAzure AIのブース。質素な作りであまり人目を惹いてはいなかった

GitHubの親会社であるMicrosoftのAzure AIのブース。質素な作りであまり人目を惹いてはいなかった

Atlassianのブース。広めのスペースで複数のトピックを展示できる

Atlassianのブース。広めのスペースで複数のトピックを展示できる

AtlassianはJFrogと同じ広さのブースだったが、こちらはまじめなデザインのブース設計。

別会場の2階から。ここにはより小さ目の展示ブースとショップなどが用意されていた

別会場の2階から。ここにはより小さ目の展示ブースとショップなどが用意されていた

別会場の一番奥、つまり入口から最も遠くの2階にはオープンソースプロジェクトを紹介するブースが集められていた。

オープンソースゾーンと名付けられたエリア。1日ごとに5つのプロジェクトが参加

オープンソースゾーンと名付けられたエリア。1日ごとに5つのプロジェクトが参加

GitHubがオープンソースプロジェクトに無償でリポジトリやその他の付随するサービスを提供していることは知られているが、今回はブースも提供して日替わりで展示を行っていた。Kubernetesという巨大なプロジェクトからOh My Zshのようなプロジェクトも同じサイズのブースで展示を行っていた。

初日のオープンソースゾーンのようす

初日のオープンソースゾーンのようす

テーブルにはプロジェクトのステッカーが置かれ、自由に持ち帰られるようになっており、ここで休憩をとる参加者も多く見られた。

2日目のオープンソースゾーン。Swiftがブースを持っているのが新鮮

2日目のオープンソースゾーン。Swiftがブースを持っているのが新鮮

AppleのSwiftもブースに参加していた。AppleとしてはGitHubのリポジトリにオープンソースを公開していることの儀礼的な参加といったところだろうか。

しかし2階のブースで最も盛り上がっていたのは、GitHubが配布していたラズベリーパイベースの参加者バッジをハックするブースだったと言えるだろう。

ラズベリーパイで参加者の名前が表示されているバッジをハックするためのブース

ラズベリーパイで参加者の名前が表示されているバッジをハックするためのブース

2023年は一部の参加者だけに配られたラズベリーパイを使った参加者バッジだが、今年はすべての参加者に配布され、USBを使ってプログラムを書き換えることができる。このブースではハックするための装置と説明員が配置され、常に参加者で溢れていた。デベロッパーにとって何が最も響くのか? という問いへの回答を昨年の経験から学んで実践していることに感心する。

いつも大人気のGitHub公式ショップ

いつも大人気のGitHub公式ショップ

GitHubと言えば、Octocatというキャラクターによるブランディングに大成功していることはキャラクター好きの日本人にはお馴染みだが、そのキャラクターを最大限利用して公式グッズを製造販売しているのがこのショップとなる。GitHub本社には常設のショップが存在し、大人気のモナリザのステッカーも自由に手に入れられる。2023年からはクリスマスのホリデーシーズンには必須のアグリーセーターも登場し、売り切れになるほどの人気だったと記憶している。

2024年度版のアグリーセーターとトートバッグ、Copilotのキャラクターの靴下

2024年度版のアグリーセーターとトートバッグ、Copilotのキャラクターの靴下

これは筆者が購入したセーターだが、昨年よりもホリデーシーズン味が増している。GitHub Universeの2週間後にソルトレークシティーで開催されたKubeCon NAにこのセーターを着用して参加したところ、5分おきに「そのセーター、今まで見たアグリーセーターの中では最高だよ」と話しかけられるという状態になった。テックカンファレンスで会話を始めたり、アイスブレークのきっかけにしたりするためには良い小道具と言ったところだろう。

モナリザがデザインされた「DRINK it! Then SHIP it!」というマグカップ

モナリザがデザインされた「DRINK it! Then SHIP it!」というマグカップ

参加者に愛されるモナリザだが、このマグカップはGitHubのMike Hanley氏も「あのマグカップは最高にクールだよ」と語っていたように、デベロッパーに響くキャッチコピーが秀逸だ。「まずコーヒーを飲んでそれからソフトウェアをリリースしよう」というのはCopilotでソースコードを書く作業がどんどん効率化しているGitHubの目指す姿を象徴しているように思える。

GitHub Universe 2024のチョコレート。モナリザがチョコそのものにもプリントされていた

GitHub Universe 2024のチョコレート。モナリザがチョコそのものにもプリントされていた

会場を後にする際にエントランスの外では特製のチョコレートが配られていた。こんなところにも細かな配慮をするGitHub Universeは、筆者の経験の中では最もデザインコンシャスで効率的であることと参加者へのケアを怠らないカンファレンスである。このことをあらためて確認できた2日間となった。2025年のGitHub Universeも今から楽しみである。

子連れの参加者と談話するGitHubのKyle Daigle氏

子連れの参加者と談話するGitHubのKyle Daigle氏

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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