写真で見るOSSummit North America 2022
オースチンで開かれたOpen Source Summit NA 2022は、パンデミック前のイベントに比べれば参加者も少なかったが、室内でのマスク着用、カンファレンスルームでの飲食の禁止、サニタイザー常設、接近した会話を希望するかどうかの意思表示の用意など、2021年にロサンゼルスで対面式が再開されたKubeCon NA 2021から継続している施策が効果を出しているように思える。今回はショーケースやセッション以外の部分を紹介する。
参加者の減少については、中国本土を始めとするアジアからの参加者の激減が大きく影響していると思われるが、ブースについても中国ベンダーの減少、大型のブースが減ったことなどが外形的な違いだろう。他方、以前のカンファレンスでは見られなかったアメリカ国内からのベンチャーがブースを出展する傾向がみられ、空いた隙間を埋めるような形になっている。
4日間のプログラムをみれば、プレカンファレンス、キーノート、Call for Presentationで選ばれた20分間のセッション、スポンサー枠のセッション、複数のエンジニアやプレゼンターが集まって議論を交わすパネルディスカッション、Ask the Expertと呼ばれるプロジェクトやテクノロジーに特化した質疑応答のためのセッション、Bird of Featherと呼ばれる特定のテクノロジーにフォーカスしたセッション、チュートリアル、ショーケースとしての展示ブースなど、多くのメニューで参加者のニーズを満たそうとしているのがわかる。
AWSやRed Hat、IBMなどが大き目のブースで存在感を出していたが、Red HatとIBMはバレンシアのKubeConと比べて地味になっているのは否めない。
これがバレンシアのKubeConのRed Hatブースだ。比較してみれば気合の入り方が違うと言えるだろう。
IBMもシンプルなブースで少ないスタッフが対応しているのがわかる。
Intelも極力スタッフを絞ったブース設計となっている。
カンファレンス参加者が受け取るノベルティであるTシャツのブースも簡素な作りで、参加者の少なさを感じることができる。
オレンジ色が目立つCanonicalのブース。ここではUbuntuをメインにアピールしていたが、実質はステッカーを置いてあるだけのブースとなっていた。
ちなみにRed Hatのブースでもステッカーを配布していたが、OPIのステッカーは間に合わなかったようだ。
3日目のキーノートで好評だったFinicky WhiskerをデモしていたFermyonのブースは常に参加者で賑わっており、デモの効果を感じることができた。
ブース中央右の女性はKubeConのMC役でもおなじみのMichelle Dhanani(旧姓Noorali)氏だ。
初日のキーノートでAeva Black氏がジェンダーニュートラルについて講演し、差別の撤廃を訴えたが、テキサスの性差別撤廃を訴える団体のブースも展示されていた。
CNCFもブースを出していたが、これも最小限のスタッフで運営することが目的という印象だった。
数少ない中国系企業として、Huaweiの子会社であるFutureweiがブースを展示していた。
Happy Hacking KeyboardでおなじみのPFUもブースを出展。ソフトウェア関連のカンファレンスへの出典は初めてだそうだが、反響はまずますという感じだそうだ。
Linux Foundationは30周年を迎えたTuxのフーディを配布していた。TuxはLinuxの公式キャラクターとしておなじみだ。
wasmCloudを開発するCosmonicもブースを展示していた。この写真の中央にいるのが、CEO兼創業者のLiam Randall氏だ。
ここからはブース以外の部分を紹介したい。今回のカンファレンスでは昼食は提供されておらず各自が用意することになっていたが、2日目の夕方に行われたブースクロールではビールやワインなどが提供されていた。
また参加者に対する癒しという意味では、KubeConでも採用されているPuppy Pawloozaという犬と触れ合う時間も設定されており、参加者には大人気の催しとなっていた。
参加者には全員が参加できるパーティや早朝のオースチンを走る5Kmラン、ダブルデッカーバスでオースチンを紹介するツアーなどが企画され、セッション以外の息抜きとして評価の高いプログラムとなっていた。
全員参加のパーティでは演奏するバンドの懸命な努力にも関わらず大変ノリが悪く、参加者同士の会話のほうが大事という空気が流れていたように思える。
同時に開催されていたドローンのためのデベロッパーカンファレンスの協力で実現したと思われるドローンショーも開催された。
全体として参加者が飽きないような企画、施策が用意されており、テクニカルな内容と同時に社会の動きにも反応するようなキーノートセッションなど、社会との関わりをより一層意識していることが感じられた内容となっていた。開催場所もサンフランシスコ、ボストンなどのIT業界になじみの深い都市ではなくオースチンが選ばれた。同様に次回のKubeConではデトロイトで開催される。参加者とスポンサー双方に飽きさせないことを目指しているように感じた。2022年10月に開催されるデトロイトのKubeConが楽しみだ。
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