理美容サロンの店舗経営を陰で支える「Delphi」の生産性
管理者不要のDB「InterBase」と組み合わせる!
著者:シンクイット編集部
公開日:2008/03/28(金)
効率的かつ高性能な開発環境で、きめ細かな要件対応を実現可能にしたDelphi
パッケージ製品として提供しているエフ・マネージャの歴史は長い。エフェクティブ社の前身であるエルコム社でDOS版の「サロン・ド・エルコム」の販売を開始したのは1980年。その後1996年には、Windows 95版の提供を開始する。そして、2002年にエルコム社から分離独立してエフェクティブ社が設立され、同年、サロン・ド・エルコムをリニューアルしてWindows XP対応版となる「エフ・マネージャ」が新たに開発された。
エフェクティブの代表取締役である松田誠司氏は、長年理美容業界にパッケージソフトウェアを提供してきた経験を経て、この業界に特化したシステム要求があったと指摘する。極めて直感的で使いやすいユーザー・インターフェイス、さらに顧客の目の前で操作するシステムなのでスピーディーな処理に対する要求も高いという。
「理容師や美容師の方々は、ある意味アーティストに近い存在です。そのためか、事務処理にコンピュータのキーボードに触るのはなるべく避けたいという人も大勢います。こういった人たちにも利用してもらうには、基本的なことですがマウス、キーボード間の手の置き換えをなるべく発生させないようにしたり、一度テンキーに手を置いたらその後はなるべくテンキーだけで操作ができるような工夫をしています」(松田氏)
理美容の現場からの要望にきめ細かに対応することで、エフ・マネージャは進化を続けてきた。DOS版から数えれば、バージョンアップの回数はすでに百を超えるという。現在では、随時現場からの要望を実装するのではなく、年2回のバージョンアップに集約し、優先順位をつけ計画的に機能、性能の強化を続けている。
顧客からの要望にきめ細かく、かつ迅速に対応するには、効率的な開発環境が必須だった。DOS版では開発言語にBASICを利用し、その後のWindows 3.1版からはVisual BasicとデータベースにAccessを用い開発を行っていた。しかしながら、この組合せでは管理する顧客数の増加などに対し十分な性能が発揮できなかった。そのため、新たな開発プラットホームを検討していた際に、DelphiとデータベースのInterBaseに出会ったという。
「Delphiは、開発生産性が極めて高いと感じました。基本的にはコードをほとんど書かずに、画面上のボタンをクリックしてパラメータを設定すればほとんどの開発が行えます。さまざまな言語を経験してきましたが、Delphiの開発生産性の高さは、格段だと思います」(松田氏)
特筆に値するコンパイルの早さとコンポーネントの充実が魅力
生産性が上がった、というのは具体的にはどのようなことなのだろうか。同社の開発部、マネージャーの長谷川忠相氏は、「Delphiの活用でVisual Basicを利用するよりも格段に開発効率が向上しました。具体的にはコンパイルの早さや、プログラムの部品として活用できる『コンポーネント』が充実している点ですね。できあがったソフトウェアの性能も十分に満足行くものだったので、Delphiはエフ・マネージャの開発効率向上を、みごとに達成しました」と語る。
また、Delphiは開発効率が高いだけでなく、理解が容易だというのもメリットだ。数ヶ月前にサポート部門に入社したばかりのエンジニアでも、一通りの教育を受けるだけで顧客先にてサポート作業が行える分かりやすさ、および管理性の高さも、大きなメリットだという。
一般的にDelphiは、初心者に最適な言語だという先入観を持っている読者もおられるかもしれない。しかしこれは、合理的、効率的な作業が可能である、という意味でもある。これは使い勝手のよさ、すなわち開発における生産性の高さを証明していることなのだ。
「トラブルがあってもすぐに対応できるのが、エフェクティブのサービスの売りです。なにかあったらすぐに電話をくださいという体制で、業務を行っています。そのため、緊急の際には営業担当者が現場対応することすらあります。Delphiが使いやすく理解しやすいというのは、そういった場合には大きなメリットです。さらに、製品の管理、保守性をより向上させるために、誰でも簡単にデータベースを参照できるツールを別途構築したりといった工夫も行っています。」(松田氏)
Delphiのメリットをまとめると、「コンパイル速度が速い」「豊富なコンポーネント」「開発効率性が高く、安定している」「初心者にも理解しやすい」「スタンドアロンなアプリケーションが作成可能」「しっかりとしたオブジェクト指向言語であるなど」がある。
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