- Difyの開発元であるLangGeniusの日本法人、パーソルクロステクノロジー、JTPの3社が、Difyエンジニアの育成と企業現場でのAIエージェント導入・内製化支援を共同で開始。今後100名のDifyエンジニア育成を目指す
- パーソルクロステクノロジーが保有する人材基盤からDifyエンジニア候補者を選出し、JTPがDify導入・運用に関する研修を実施する。両社が連携して育成・提供体制を構築する
- 背景には、現場の業務知識とAIアプリケーションの開発・運用知識を併せ持つ人材の確保・育成が多くの企業で課題となっている状況がある。ツール導入だけでなく、AIエージェントを自社で改善・運用できる人材と体制の整備が重要だとしている
📝 Think IT編集部の見解 📝
この取り組みが言い当てているのは、生成AI導入の第二段階で起きている詰まりだ。
Difyのようなプラットフォームは、GUIでワークフローを組める点が評価されて導入が進んだ。ところが導入した後、業務に合わせて改善し続ける段階になると話が変わる。プロンプトの調整、ナレッジの更新、外部ツールとの接続、精度が出ないときの原因切り分け。これらは継続的な運用であり、一度作って終わりにならない。LangGeniusの張路宇氏が「本当に差がつくのは、ツールそのものではなく、現場の業務を深く理解し、自社でAIエージェントを開発・運用し続けられる人材」と述べているのは、この構造を指している。
リリースが挙げる人材像も具体的だ。現場の業務知識とAIアプリケーション開発・運用の知識を併せ持つ人材。言い換えれば、業務部門とエンジニアの間にいる人ということになる。この職種は従来の組織図に存在しない。業務部門はAIの挙動を理解せず、エンジニアは業務の勘所を知らない。その間を埋める人がいないまま導入だけが進んだ結果が、いま各社で起きている停滞ではないだろうか。
Think IT読者の立場から見ると、この発表は二重の意味を持つ。1つは自社の内製化体制をどう作るかという課題として。もう1つは、自身のスキルセットをどこへ広げるかという選択肢として。Difyのような特定プラットフォームの習熟が市場価値になるかは慎重に見るべきだが、「業務を理解したうえでAIエージェントを設計・改善できる」という能力そのものは、プラットフォームが変わっても残る類のものだろう。
一方で、この取り組みの実態は人材派遣・SES事業の延長線上にある点は押さえておきたい。パーソルクロステクノロジーが候補者を選出し、JTPが研修を行い、育成されたエンジニアが企業の現場に伴走する。内製化支援を掲げてはいるが、当面は外部人材が現場に入る形になる。リリースが「開発・改善に必要な知識やノウハウを移管することで、AI活用の内製化を後押しします」と書いている通り、最終的に自社に知識が残るかどうかは、受け入れる企業側の設計次第だ。
なお、育成する100名という数字に対して、研修の期間や内容、認定の仕組みといった具体は公表されていない。プログラムの実像は今後の続報を待つ必要がある。
📰 リリースまとめ 📰
LangGenius・パーソルクロステクノロジー・JTPの3社、Difyエンジニア育成と内製化支援を開始
株式会社LangGenius(本社:東京都中央区、代表取締役社長:張路宇)、パーソルクロステクノロジー株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:正木慎二)、JTP株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:為田光昭)は2026年9月10日、AIアプリケーション開発プラットフォーム「Dify」の活用促進に向け、Difyエンジニアの育成および企業現場におけるAIエージェントの導入・内製化支援を3社共同で開始すると発表した。
本取り組みでは、LangGeniusが提供するDifyの技術基盤に、パーソルクロステクノロジーの業務知見・現場支援力・エンジニア人材基盤、JTPのDify導入・運用支援およびエンジニア育成の知見を掛け合わせる。3社の強みを活かし、Difyの導入から企業ごとの業務に適したAIエージェントの開発・改善・運用・定着・内製化までを一貫して支援する。
パーソルクロステクノロジーは保有する人材基盤を活用してDifyエンジニア候補者を選出し、JTPはこれらの人材に対するDify導入・運用に関する研修を実施する。両社は連携してDifyエンジニアの育成・提供体制を構築し、今後100名のDifyエンジニアの育成を目指す。
背景——業務知識と開発・運用知識を併せ持つ人材の不足
生成AIの業務活用が進む一方で、現場の業務知識とAIアプリケーションの開発・運用の知識を併せ持つ人材の確保や育成は、多くの企業にとって課題の1つとなっている。そのため、導入後の活用や継続的な改善を自社で推進する体制づくりに取り組む企業も増えている。
企業でAIを継続的に活用するには、ツールを導入するだけでなく、AIエージェントを自社で改善・運用できる人材と体制の整備が重要だと3社は指摘する。こうした背景を踏まえ、Difyパートナー各社との連携に加え、Difyの導入・活用を検討する企業に対しても、AIエージェントを自社で運用・改善していくための体制づくりを支援していく。
本取り組みの意義
本取り組みの意義は、Difyの導入にとどまらず、企業が自社の業務に合わせてAIエージェントを継続的に改善・運用できる体制づくりを支援する点にあるとしている。Difyエンジニアが企業の現場に伴走し、開発・改善に必要な知識やノウハウを移管することで、AI活用の内製化を後押しする。
これにより、業務効率化や意思決定の迅速化、事業スピードの向上などが期待されるほか、Difyの導入・活用およびAIアプリケーション開発・運用ツール市場のさらなる発展にも寄与するとしている。
各社コメント
LangGeniusの張路宇氏は「AIエージェントの導入で本当に差がつくのは、ツールそのものではなく、現場の業務を深く理解し、自社でAIエージェントを開発・運用し続けられる人材です」とし、「まず100名のDifyエンジニアを3社で育成し、企業がAIエージェントを内製化し、自ら進化させ続けられる基盤づくりを支援します」と述べている。
パーソルクロステクノロジーの正木慎二氏は、システム開発から運用、PMO、DX推進まで多様な現場に伴走してきた知見と、内製化に向けて必要な専門エンジニアが現場を支え続けられる人材基盤を強みとして挙げ、「AI活用を『導入』で終わらせず、『定着』と『成果創出』につなげ、企業の競争力向上に貢献してまいります」とコメントしている。
JTPの為田光昭氏は「生成AIの活用を進めるうえで、AIアプリケーションを開発・運用できるAI人財の育成は重要な課題です」とし、研修や実案件を通じてDifyエンジニアを育成するとともに、AIエンジニアプールを形成することで日本市場におけるAIの利活用が加速することへの期待を示している。
今後の展開
3社は、Difyエンジニアの育成プログラムを拡充するとともに、Difyパートナー各社と連携した支援に加え、Difyの導入・活用を検討する企業への直接の現場伴走支援も進める。さらに、さまざまな業界・業務におけるAIエージェントの活用事例を蓄積し、企業の継続的なAI活用を支援する体制の構築を目指すとしている。
Difyについて
Difyは、AIエージェントや生成AIアプリケーション、複雑なAIワークフローを構築・運用できる生成AIアプリケーション開発プラットフォームだ。直感的な操作画面を通じて、さまざまなAIモデル、ナレッジ、外部ツールなどを組み合わせ、業務用途に応じたAIアプリケーションを開発できる。
📎 一次情報・関連リンク 📎
- パーソルクロステクノロジー プレスリリース(PR TIMES):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000103.000124595.html
- Dify公式サイト:https://dify.ai/
- パーソルクロステクノロジー:https://persol-xtech.co.jp/
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