現場のプロが「これ、推薦します!」
プロはこんな本を読んでいる!
4月の特集「伝わる!モデリング」では、モデリングの基礎知識から現場で使えるノウハウまでを網羅的に紹介する。
本連載「土日に買って勉強したい『モデリング』本」の第2回の今回は、現場で活躍するプロたちにこれまで読んできた書籍を実体験を交えて熱く語っていただく。今回は、スパークスシステムズジャパンの河野 岳史氏からコメントをいただいた。
「はじめまして。スパークスシステムズジャパンの河野と申します。今回このコーナーを担当させていただくことになりました。
スパークスシステムズジャパンは、UMLモデリングツールの『Enterprise Architect』や要求管理ツール『RaQuest』、ソフトウェア資産の再利用支援ツール『ARCSeeker』を開発・販売している会社です。あ まり知られていませんが、『RaQuest』と『ARCSeeker』はスパークスシステムズジャパン自身が日本で開発したツールです。現在は英語版とし てアメリカやヨーロッパでも販売されています。
今回は、UMLモデリングツールを販売する立場からみた『お勧めのUMLに関する書籍』をご紹介します。
ツールのサポートを行う上では、さまざまなUMLの書籍を手元に用意しておく必要があります。これは、お客さまから『xxという書籍の○ページにある図の表現をツールで書きたいのですが...』というような質問が多く寄せられるからです。
ざっと見た感じでは、手元に数10冊ほどの書籍があります。よく売れていて広く読まれている書籍はすべてそろえています。さらに実際に書店 で手にとって、何か特徴のある書籍はすべて購入しています。逆に単なるUMLの文法だけを説明しているような、これといって特徴のない書籍は購入していま せん。不思議なことに、こうした特徴のない書籍についての質問はまったくありません。
また、お客さまとお話をする中で『どの書籍を利用すればいいのか?』ということもよく聞かれます。製品のサポートの範囲は超えているのですが、こうした場合にはできる限りお客さまの状況や希望に応じた書籍をご紹介することも行っています。
このような立場ですので、数多くのUMLの書籍に触れ、内容を確認しています。今回は、さまざまなUMLの書籍の中から、私自身がお勧めの書籍を目的に応じてご紹介します」
初心者向けから実践編まで幅広く紹介
「今回想定した紹介の目的は『初めてUMLを学ぶ』『モデリングを学ぶ』『UMLの活用方法を知る』の3点です。この春からUMLを学びた い方のための書籍から、すでにある程度UMLを理解しているが、実際にどのように活用すればよいのかわからない、という人のための書籍まで、いくつかの書 籍をご紹介します。
『モデリングを学ぶ』という目的は、『UML』というキーワードは含まれませんが、UMLを利用した設計開発を行う場合には必須です。 UMLはその記述方法や記号の意味を学んだだけでは役に立ちません。あくまでも『モデリング』という考え方の理解があってこそ、役に立つものです。
現在、UMLの最新のバージョンは2.1になります。UMLはバージョン2.0でさまざまな点が変更されました。今からUMLを学ぶとすれ ばUML 2.0以降の記述を学ぶことをお勧めします。ただし、『UMLをどのように使うか』という点や『モデリング』という点については、UMLのバージョンとは あまり関係がありません。UML 1.4の古い表現方法の書籍でも十分に役に立ちます」