Flashの新トゥイーンモデルはコレ!
モーショントゥイーンとクラシックトゥイーン
2007年にリリースされたFlash CS3ではActionScript 3.0が導入され、Flashのプログラミング関連の大きな変革が行われました。最新のFlash CS4ではオーサリング環境に大きな変革が行われています。今回は、その変革の代表的な要素である新しいモーショントゥイーンモデルの導入について紹介します。
Flash CS4では従来のモーショントゥイーンに加えて、新しいモーショントゥイーンの方式が追加されました。
従来のモーショントゥイーンは「クラシックトゥイーン」、新しいモーショントゥイーンは単に「モーショントゥイーン」と呼び分けられるようになっています(図1-1)。本記事でも以下その呼び名を使っていきます。
クラシックトゥイーンは、同一レイヤーの始点と終点の各キーフレームに配置された2つのシンボルインスタンスのプロパティの変化を計算してアニメーション化するものでした。
モーショントゥイーンでは、キーフレームに対して「モーショントゥイーン」を適用したフレームスパン(連続した一連のフレーム)に対し、「プロパティキーフレーム」でプロパティの変化を設定します。プロパティキーフレームは、キーフレームとは明確に別物で、プロパティごとに値を管理できます。
例えば、20フレームのモーショントゥイーンがあり、1フレーム目、10フレーム目、20フレーム目で以下のようなプロパティが設定されていたとします。
・ 1フレーム目 - X座標:100、Y座標:100、アルファ:100%
・10フレーム目 - X座標:300、Y座標:300、アルファ:100%
・20フレーム目 - X座標:300、Y座標:100、アルファ:25%
モーショントゥイーンではこの場合、座標に関しては1フレーム目→10フレーム目では右下に移動し、10フレーム目→20フレーム目では上に移動します。また、アルファに関しては1フレーム目→20フレーム目で徐々に変化していきます。
クラシックトゥイーンで同じ設定を行った場合、座標に関してはモーショントゥイーンと同じ結果になりますが、アルファに関しては1フレーム目→10フレーム目は100%のまま変化がなく、10フレーム目から20フレーム目の間で変化していくことになります。このようにトゥイーンさせたい範囲がプロパティによって異なる場合など生産効率が劇的に向上します。
タイムライン上ではプロパティキーフレームはひし形で表示されます(図1-2)。モーションエディタを使うと、どのプロパティキーフレームでどのプロパティ値が変化しているかの確認ができます(図1-3)。また、プロパティごとのキーフレームの追加/削除、値の設定もできます。
モーショントゥイーンの特徴
モーショントゥイーンの特徴について、もう少し詳しく見ていきましょう。
まず、モーショントゥイーンで位置のアニメーションを作成するとモーションパスが表示される点が挙げられます(図1-4)。
モーションパスは選択ツール、ダイレクト選択ツール、自由変形ツールなどで直接変形することもできます。ちょうどシェイプの線を編集するのと同じイメージです。位置変化のパスが表示され、そのパスを既存の方法で操作できるというのは、直感的で、メリットといって良いしょう。
次に、「ロービングキーフレーム」の導入が挙げられます。
ロービングキーフレームはX、Y、Zの各座標プロパティにのみ適用できる設定で、始点以外に2つ以上のプロパティキーフレームを持つアニメーションで使える設定です。モーショントゥイーン内のプロパティキーフレームをすべてロービングキーフレームにしたアニメーションは、モーションパスを等速で移動するようにプロパティキーフレームのフレーム位置が変更されます(図1-5)。
正方形のモーションパスを等速で移動するアニメーションであれば、ロービングキーフレームを使わなくても作成するのにさほどの手間はかからないでしょう。もっと複雑なモーションパスを等速で移動するアニメーションを作成する場合には、何フレーム目にプロパティキーフレームを設定すればよいか計算する必要があります。このようなケースではロービングキーフレームがとても役に立ちます。
ほかにもさまざまな特徴がありますが、重要なのはモーショントゥイーンを新しいアニメーション制作のスタンダードな手法として受け入れ、理解し、使っていくことだと考えます。
モーショントゥイーンはクラシックトゥイーンと比べると概念・インターフェース共に大きな変化があり、ともすれば既存ユーザーはモーショントゥイーンの使用に抵抗を感じるかもしれません。しかし、クラシックトゥイーンが将来的にサポートされ続けるかどうかは疑問です。クラシックトゥイーンがサポートされているFlash CS4は一種の猶予期間と考えることができます。
スクリプトの世界もオーサリングの世界もFlashは大きな変革期にきています。Flashクリエイターも変革に対応してスキルをスムーズにアップデートしていきましょう。