Better Together、広がる可能性
Vistaとの共存:ネットワークとセキュリティ編
Windows Server 2008というOSを深く見ていくと、ベースの部分がWindows Vista Service Pack 1(以下、Windows Vista)と共通化されていることがわかってきます。更新プログラムの適用はOSを運用していく上で避けられない作業ですが、ベース部分を共通化することは更新プログラムの共通化にもつながります。さらなる高機能化を進めつつも、こうしたIT運用をシンプルにしてく仕組みは欠かせないものと言えるでしょう。
また、共通化された機能をクライアントとサーバ両方で使うことでメリットを生み出すことがあります。まずはその中の1つ、ネットワークやセキュリティに関する部分から解説します。
クライアントとサーバ間で多く利用されているファイル共有の仕組みにおいて、両OSはServer Message Block 2.0(SMB 2.0)を採用しており、新たに追加されたTCP/IPの自動チューニング機能などとの組み合わせにより、ネットワーク上でのパフォーマンスが劇的に改善しました。
例えば、Windows XPとWindows Server 2003の組み合わせでは約84秒かかっていたファイル転送が、Windows VistaとWindows Server 2008の組み合わせでは約14秒へと短縮されます。ITの活用度合いが増すほどファイルサイズも大きくなる傾向がありますから、ファイル転送時間が約6分の1になるだけでも、仕事の効率に大きく影響を与えることでしょう。
また、Windows Server 2008で標準機能となった情報漏えい対策機能Active Directory Rights Managementサービスや動的な検疫システムNAP環境を作る際、Windows Vistaにはクライアントモジュールが標準で組み込まれており、高度なシステム導入を迅速に行うことができるようになります。グループポリシーと組み合わせることで、Windows VistaマシンのUSBメモリの利用を制限したり、使用するアプリケーションを制御したりすることも可能です。
Vistaとの共存:運用管理編
前述したグループポリシーは、運用管理面にも大きく影響を与える機能です。例えば、Windows Vistaにて強化された電源管理機能は、グループポリシーにて集中管理することができ、ポリシー設定のみでグリーンITへの一歩を踏み出すこともできます。
また、両OSはWS-Management(Windows内部では、Windows Remote Managementサービス)が組み込まれており、標準的な通信技術の上でさまざまなリモート管理機能を提供できるようになりました。そして、両OSで強化されたWindows Management Instrumentation(WMI)をリモートからセキュアに利用することも可能です。
Windowsの管理者が利用する機能にイベントビューアというイベント監視機能があります。両OSではこのイベントビューアが完全に作り替えられ、視覚的にも操作性の面でも進化したログ管理機能を提供、さらにはイベントサブスクリプション機能やイベントコレクタサービスによってほかのマシン上で出力されたログ情報をある特定のマシンへと転送することが可能になります。
そして、新しくなったタスクスケジューラがそのログをトリガとしてタスクを自動実行してくれるようになりました。専用のツールによるシステムレベルでのログ監視やタスク管理が重要であることは誰もが認識しているところでしょうが、Windows Server 2008とWindows Vistaは限られた予算の中で管理者のアイデアと工夫が大いに生かせる機能を提供します。