Windows Server 2008 R2の全貌

2010年1月12日(火)
大和屋 貴仁

これから10回にわたり、「Windows/OSS徹底比較」と題し、Windows Server 2008 R2、Windows 7とオープンソースとのさまざまなポイントでの比較を行っていきます。

第1回の「Windows Server 2008 R2の全貌」では、先日発売された「Windows Server 2008 R2」の機能強化のポイントなどをご紹介します。Think ITの読者はOSSについてはよくご存知かと思いますので、OSSとの比較に入る前に、当回でWindows Server 2008 R2の基礎知識を仕入れて頂ければと思います

Windows Server 2008 R2は、2009年10月22日にWindows 7と同時に発売されました。Windows Server 2008、Windows Vistaをベースに開発されましたので、発売当初から不具合が少ない枯れた製品であると言われています。

Windows Server 2008 R2は、Windows Server 2008との高い互換性を維持しながら様々な点が強化されています。互換性の高さはカーネルバージョンにも表れており、Windows Server 2008のカーネルバージョン6に対して、Windows Server 2008 R2はWindows 7と同じ6.1となっています。

Windows Server 2008 R2とWindows Server 2008を比較すると

  1. 仮想化
  2. 管理
  3. WEB
  4. 拡張性・信頼性・Windows 7との連携

の4点において機能追加と改善が行われています。
以下で、それぞれの項目について簡単に内容を紹介していきます。

1.仮想化

Windows Server 2008 R2では、サーバー仮想化機能であるHyper-Vが2.0にバージョンアップしました。
機能面ではVMwareのVMotionに相当するLive Migrationが追加されました。Live Migrationは、仮想マシンを停止することなく、サービスを継続したまま物理ホストを異動させることができる機能です。
パフォーマンス面では、仮想HDDのI/O速度の改善などが行われており、(個人的な所感ですが、)VMware EX4に遜色ないパフォーマンスを期待できます。
細かいところでは、Hyper-V1.0ではレジストリを編集しなければ行えなかった設定が、GUIの管理画面で行えるようになりました。

②管理

PowerShel 2.0が規定で有効

Windows Server 2008 R2からは、PowerShell 2.0が規定で有効になり、削除ができないようになりました。Windows Server 2008 R2の各種機能とPowerShellの連携が進み、PowerShellで管理作業を行うことができる領域が拡大しました。今後マイクロソフトからリリースされる予定の製品(Exchange Server 2010やSharepoint 2010など)でもPowerShellでの管理が行えるようになっており、規定で有効になっていることの利便性は高まっていきます。

PowerShell 2.0は、スクリプト言語としての機能強化が行われただけでなく、ISE(Intergrated Scripting Environment)と呼ばれるグラフィカルなコーディング環境が提供されるようになり、コーディングがしやすくなりました。

Active Directoryの強化

Windows Server 2008 R2ではActive Directryにもざまざまな機能追加が行われました。
たとえばごみ箱の追加により、Active Directoryオブジェクトを削除しても完全に削除されずごみ箱に移動するようになり、通常のファイルと同じように二段階での削除となりました。
ほかにもPowerShellによる管理、オフラインでのドメイン参加、サービスアカウントの管理、ベストプラクティスアナライザの統合が行われています。

省エネの促進

CPU制御にも改善が加えられました。その1つがコアパーキングです。
Windows Server 2008までは、CPU使用率に関係なく、すべてのCPUを均等に使用していましたが、Windows Server 2008 R2からは、コアパーキング(CPU抑制)により必要最小限の論理コアのみを使用します。結果、使用するコア数を減らすことができ、使用電力を抑えることができます。

ほかにもサービスのトリガー起動やタイマー機能の改善などにより、CPUは必要な時に必要なリソースだけを使用するという考えが徹底され、省エネに結びついています。

3.Web

IIS 7.5

IIS7.5(インターネットインフォメーションサービス)は、IIS7ではコミュニティポータルで提供されていたFTP、WebDavが既定で取り込まれました。
また、PowerShellスナップインも規定で組み込まれているので、IISをPowerShellで管理できるようになりました。

コミュニティポータルでは、マイクロソフトが提供する数多くのモジュールが登録されており、それらを組み合わせることで単なるWebサービスにとどまらず複合メディアサービス基盤となっています。

日本語情報もIIS TechCenterにて提供されるようになり、利用しやすくなり始めています。

4.拡張性・信頼性・Windows 7との連携

Windows Server 2008 R2とWindows 7は親和性が高くなっており、相乗効果をもたらす機能が多数提供されています。

たとえば、DirectAccessは、インターネット経由でイントラネットに接続する技術で、複雑な作業を行わずに利用できます。ネットワークの効率性と、ユーザログオフ状態で認証が行われる点にVPNとの違いがあります。

ほかにもWindows Server 2008 R2とWindows 7の組み合わせで利用できる機能には、BranchCache、Remote Desktop Services、BitLockerの強化、AppLocker、DNS DEC、DFS-Rなどが提供されており、サーバーとクライアントの連携が強化されています。

Server Core

Windows Server 2008から、フルインストールとServer Coreインストールの2種類のインストール形式が提供されています。フルインストールは従来通りのGUIを持つ普通のWindows Serverです。それに対し、Server Coreインストールは、最小限の機能に絞ってありGUI画面が提供されていません。最小限の機能に限定されているため、フルインストールに比べて攻撃範囲の減少によるセキュリティ向上、パフォーマンス向上のメリットがあります。

Windows Server 2008 R2のServer Coreインストールでは、.NET Framework、PowerShellがサポートされるようになりました。

まとめ

以上、駆け足ではありますがWindows Server 2008 R2の全貌についてご紹介いたしました。各機能の詳細について興味を持たれた場合は、マイクロソフト社の「Windows Server 2008 R2 Webcast」が役立つと思います。

参考情報
Windows Server 2008 R2 の機能 Windows Server 2008 R2

Hyper-VやSQL Serverなどの技術に興味を持ってきた自称SE。最近は、SQL Serverをベースに開発されたクラウドデータベースのSQL Azureに熱中している。一方で、Windows Phone 7にも興味を惹かれており、妥協案としてWIndows Phone 7でSQL Azureと連携させようと企む日々。

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