Better Together、広がる可能性
アプリケーションの仮想化
「アプリケーションに関する仮想化技術」と聞いてもピンとこない方もいらっしゃるでしょうが、仮想化の技術はさまざまな場面で利用され始めており、マイクロソフトはその分野で2つの機能を提供しています。
1つはWindows NTのころから提供しているターミナルサービスで、「第1回:Windows Server 2008登場」の記事で書いたように、Windows Server 2008では利用者に優しい新しい機能が搭載されています。そしてもう1つはSoftGrid(バージョン4.5よりMicrosoft Application Virtualizationに改名し、Windows Server 2008にも対応)というアプリケーションの仮想化技術です。
SoftGridは、各アプリケーションとアプリケーションが利用するファイルやレジストリ設定などをパッケージ化することで、アプリケーションの集中管理と自動展開、利用制御を行うというものです。
仮想化技術は、抽象化という言葉に置き換えられることも多く、SoftGridはアプリケーションとOSとの間にSoftGridクライアントという抽象化レイヤーを挟むことで運用管理の柔軟性と強制力を生み出すことになります。仮想化と言えばサーバだと思わず、テクノロジの進化をうまく活用していただければと思います。
MS製品の対応:Exchange Server 2007の例
Windows Server 2008は新しいOSであるため、アプリケーションが動作するかは個別に確認する必要があります。マイクロソフト製品の場合、多くは更新プログラムやサービスパック提供によってWindows Server 2008対応を行いますが、次期バージョンの出荷が見えている場合など特別な事情がある場合には、既存製品のWindows Server 2008対応を見送る場合もありますのでご注意ください。
さて、Windows Server 2008に対応した既存アプリケーションをインストールする際、特に前提条件がなければOSの違いを意識せずにインストールをするだけですが、IIS(Webサーバ)の機能を前提としているアプリケーションに関してはモジュール化と下位互換という観点でポイントがあります。
例えば今回例にあげるExchange Server 2007 SP1の場合、インストールする機能によってはIISが必要です。今までのOSではIISを追加すると基本的なコンポーネント群がインストールされていましたが、Windows Server 2008のIIS 7.0は完全にモジュール化されたので、Exchange Server 2007 SP1が必要とするモジュールを理解する(もしくは、そのような情報を持っておく)必要があるということです。
また、既存のアプリケーションがIIS 6上で動いていたとすると、IIS 6互換の機能を必要とする可能性が高いため、IIS 7.0のWeb機能追加画面にてIIS 6互換モジュールの追加も考えることになります。ASP.NETが必要な場合には、同じWindows Server 2008であってもServer Coreに.NET Frameworkが含まれないことを知っておいたほうがよいでしょう。
さて、上記ポイントを理解した上で、Windows Server 2008へのExchange Server 2007 SP1のインストール手順が書いてある「Windows Server 2008 に Exchange 2007 SP1 の前提条件をインストールする方法」(http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/bb691354(EXCHG.80).aspx)を読み進めてください。
サーバマネージャのコマンドツール ServerManagerCmd.exeにて必要なモジュールを追加する方法なども載っていますから、ほかの製品でも同様のパターンが使える場面は多いはずです。