コンテンツ管理は本当に必要か?
文書管理とコンテンツ管理の違いとは?
最終回の今回は、社内の業務にまで一歩踏み込んだ情報活用のコツとして、コンテンツ管理について考えよう。今回はアプリケーションを使用して情報を「どう活用するか」に注目する。そして活用に注目すると「ファイルサーバー」という枠を越えて、「文書管理システム」「コラボレーションツール」「コンテンツ管理システム」というカテゴリに発展する(図1)。
文書管理もコンテンツ管理も、どちらもファイル管理システムであるが、規模、拡張性、利用対象者の違いがある。保管を目的としている静的な情報管理なのか、一連の業務プロセスの中のシステムという動的な情報管理なのか、という違いもある。
多くの文書管理システムは、企業のインフラとして全社で使える職場環境の1つとして整備されている。誰でも使えるようにシンプルな機能とわかりやすいユーザーインターフェースで、実際の導入までのハードルも比較的低い。
しかしコンテンツ管理システムは、十分運用を検討してから導入をするべきである。もしあなたがシステム管理者だったら、常に利用者の視点で検討してほしい。文書管理システム、コンテンツ管理システムのそれぞれの一般的な導入ステップを見てみよう。
文書管理システムの場合:
1.部署、対象業務などの利用範囲を決定
2.規模を算出し運用方法を決め、システム導入
コンテンツ管理システムの場合:
1.対象となる業務の現状分析、理想とする業務プロセスを組み立てる
2.プロセスの中のシステム化できる部分にシステムを導入
つまり、保管を目的としているのか、業務の一部に組み込むためのものなのかという視点の違いである。
コンテンツ管理システムの導入を検討しているが、最終的な判断の決め手がなくて苦労しているという方はいないだろうか。実は、それは誰もがたどる通過点で、経験により軽減されることはない。なぜなら1つの方式が誰にでも適用できるものではないからだ。なぜシステム化が必要なのか、また人手による作業とシステム化する作業の境界をどうするのか、ということを考えること自体がシステム導入プロジェクトのもっとも重要な要素であり、それが業務改善/プロセス改善にもつながっていくのである。
今回は上記を踏まえて、社内に文書管理システム、コラボレーションツール、コンテンツ管理システムを導入するにあたって参考となる運用方式のコツや、検討すべき事項について、紹介していく。
なお、ここであらためて注意をしておきたい。誤解をしている方は少ないと思うが、ここでいう「管理」とは、決められたルールに従うという意味合いの管理にとどまらない。これは英語のmanagementが単語として翻訳された言葉であり、本来のmanagementには運用や活用という意味合いが強く含まれている。よって、管理という響きに消極的になることなく、コンテンツをどう活用するか、システムをどう運用していくか、前向きにとらえていただきたい。
ファイルサーバーとメールへの依存から脱却!
今では誰もが使っているファイルサーバーとメールだが、データが散在しごちゃごちゃになってしまう、という問題点は本連載の前半でも述べた。これからはファイルサーバーやメールだけに依存するのではなく、文書管理システム、コラボレーションツール、コンテンツ管理システムを適材適所で利用して、業務の動線をすっきりさせていく必要がある。
ここで注意していただきたいことは、ファイルサーバーから運用を完全に切り替える必要はなく、目的に合わせて使い分けることが大事である。使い分けの際の検討要素は主に2つあり、エクスプローラから簡単にアクセスできる利便性とコンテンツ管理システムのコストである。
システム開発会社を例にしてみると、全社員が使う一般業務の情報はファイルサーバーで、プロジェクトなどの開発実務の情報はコンテンツ管理システムを使うといった分け方ができ、これはネットワークセキュリティーやバックアップの重要性で使い分けをするのと似ているだろう。