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ビジネス・プロセス・モデリングの最新動向

2010年9月24日(金)
岩田 アキラ (いわた あきら)

最終回の今回は、BPMN 2.0で新たに標準化された、企業間プロセス連携の仕様を図式化する「カンバセーション図」と「コレオグラフィ図」について、その概要を解説します。また、非定型プロセスへの対応動向について触れます。

コラボレーション図

コラボレーション図は、図20に示す通り、プール(長方形)とメッセージ・フロー(矢印付き点線)を使って、2つのプロセス間のメッセージのやり取りを表現するものです。BPMN 1.0で定義されています。

図20: コラボレーション図(クリックで拡大)

第2回の図8に示した分析モデルは、「見積プロセス」と、これに対峙(たいじ)する「顧客プロセス」と「システム・サービス・プロセス」、これらのコラボレーション関係を表現しています。

一般的には、この分析モデルの図(第2回の図8)のように、プロセス図とコラボレーション図を混成させ、内部プロセスと外部プロセスの関わりを表現します。こうすることで、メッセージ・フローをプロセスのアクティビティまたはイベントに直接接続させ、メッセージの送受信関係個所を明示できるようになります。

図21: コラボレーション図とカンバセーション図の関係(クリックで拡大)

コラボレーション図では、図21の上部に示すように、プロセス(プール)をホワイト・ボックスとして抽象化することもできます。この表現は、コラボレーションの関係者と、関係者間のメッセージ送受信だけにフォーカスをあてる表現法です。

図21の例では、小売業者とサプライヤの2つの関係者間に7つのメッセージ交換があることを表しています。

カンバセーション図

カンバセーション図は、BPMN 2.0から登場した新しい表記で、コラボレーション図を抽象化したものです。図21の下部に示す通り、コラボレーション図にある複数のメッセージ・フローを、カンバセーション・リンクと呼ぶ1つの図形要素(六角形)に要約し、簡潔に表現した図ともいえます。

図21の例では、コラボレーション図にある7つのメッセージ・フローを、"注文取引"として要約しています。

カンバセーション図は、ある特定プロセスの実行に関連する、あらゆる社内外の関係者(それぞれ独立したプロセスを所有していると考える)とのコミュニケーションを表現するために使います。特に、サプライ・チェーンのような多くの企業との取引を鳥瞰(ちょうかん)する場合に有効です。

図22は、ロジスティクスの関係者と、関連する取引を表現する、典型的な例です。BPMNでは、こうしたプロセスの関係者を、実行者(participants)と呼びます。

図22: ロジスティクスの実行者関係を表現したカンバセーション図(クリックで拡大)

コラボレーション図とカンバセーション図では、実行者を表すのに、長方形の図形を使います。この図形は、プロセス図で描くプール(プールが省略されている場合は、図のプロセス名がデフォルト・プール名となる)と同一のものです。

したがって、プロセス図、コラボレーション図、カンバセーション図の実行者は、いずれも共通です。コラボレーション図とカンバセーション図は、プロセス図を補足する資料として使われるものであり、BPMSの実装設計では特に必要ありません。

著者
岩田 アキラ (いわた あきら)

岩田研究所代表。日本BPM協会 運営幹事。自己の研究対象をデータモデリングからプロセスモデリングに6年前に転向。ビジネスプロセス表記標準BPMNの国内普及に邁進。日本BPM協会ではBPM推進フレームワークの開発やセミナーなどの講師を務める。「岩田研究所」ブログで自身のBPM/SOA開発手法研究成果を公開。

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