刻み込め!ピアレビューの心得

2009年3月27日(金)
小笠原 秀人

ピアレビュー活動を推進する際の留意点

 ピアレビューをよりよく実施するために、体制上の留意点、プロセス構築上の留意点、管理者としての心構えについて説明します。

 まず、ピアレビュー体制上の留意点から説明します。ピアレビューは、ピア(仲間)同士で実施するということです。基本的に成果物作成者を人事評価する人の参加は不可です。仲間同士で相互にピアレビューすることを推奨してください。また、新人や対象技術を学ぶ人の参加も、教育的な視点から計画的に実施するのがよいと思います。

 技術レベルや経験が同じ程度の人ばかりだと、指摘の観点が似たようになり、欠陥の見逃しにもつながりますので、技術レベルが高く経験の豊富な方に参加してもらうことも大事です。このような方の参加によって、全体の技術レベルの底上げにもつながります。

 続いて、ピアレビュープロセス構築上の留意点です。ピアレビュープロセスの主要な活動は、計画、実践、記録、再計画です。これらの活動がスムーズに実施できるようなプロセスを構築してください。また、定量的な目標値を定め、その目標値をどのように使うのかプロセスとして組み込むことも大切です。

 ピアレビューの対象とする成果物と時期については、プロジェクト計画策定時に計画するようにしてください。何事も早め早めに計画をして、状況に応じてタイムリーに変更することが大事です。

 最後に管理者としての心構えです。ピアレビュー活動を組織内に推進し展開するためには、ピアレビュー活動に対するかかわりあい(コミットメント)を明らかにすることが何より大事です。そして、参加者に準備させるようにし、物理的な設備の手配に対して援助してください。また、ピアレビューでの悪い振る舞いには厳しく対応することが必要です。

組織でピアレビュー活動を定着させるための工夫

 ピアレビューチームリーダは、ミーティングをマネジメントするリーダーシップが必要です。ピアレビュー活動をとおして、いろいろな役割を計画的に担当し、チームリーダの育成をはかってください。

 繰り返しになりますが、参加者は、ピアレビュー対象成果物の欠陥除去に注力することが大事です。また、「責めない」「重箱の隅をつつかない」「言い争いにならない」「感情的にならない」「ああ言えばこう言うにならない」「沈黙しない」という状態にならないように常に気をつけてください。

 図2は、ある組織におけるピアレビューの心得十カ条です。この組織では、ピアレビュー会議の前に必ずこの十カ条を確認してから実施する、というプロセスになっています。

株式会社東芝
1990年 東芝に入社以来、ソフトウェア生産技術(メトリクス活用、不具合管理、静的解析、テスト設計/管理、プロセス改善など)に関する研究・開発およびそれらの技術の推進・展開活動を実践中。日本SPIコンソーシアム(JASPIC)運営副委員長、SQiPシンポジウム2009シンポジウム委員長。

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