刻み込め!ピアレビューの心得
原因結果分析までつなげることが大切
ピアレビューやテスト工程などで検出された欠陥は、原因分析までつなげることが大切です(図3)。せっかく蓄積された欠陥を、欠陥修正のためだけに使うのではなく、プロセス改善の道具としてぜひ活用してください。プロセス改善の視点として2通りあります。プロジェクト内ですぐに展開できるプロセス改善(図3中のA)と、組織全体に適用するプロセス改善(図3中のB)です。
Aの作業は、タイムリーに実施しないとプロジェクト全体がうまく進まないことになるので、各プロジェクトの中で実践されている場合も多いと思います。
しかし、Bの作業は、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ではないですが、プロジェクト終了後、組織プロセスを見直すところまで展開できる組織はそう多くはないようです。
管理者の方は、スライド中のBの活動ができるように組織運営を考えてください。Bができるということは、学習できる組織、成熟度の高い組織に近づく、ということです。
まとめ
「はじめよう、レビュー活動!」というテーマで、3回に渡って説明してきました。参考になりましたでしょうか?少しでも、読者のみなさまの組織やチームにおけるレビュー活動の参考になれば幸いです。
レビューの重要性は、最初に提唱された1970年代から全く変化がありません。どうしてでしょうか?
第2回の認知的不協和のところでも説明しましたが、それは、自分の誤りは自分ではなかなか見つけられないからです。他人に見つけてもらうしかないからです。そして、この原理は、恐らく、10年後も20年後も変わらないと思います。そう考えると、10年後も20年後もピアレビューの重要性や必要性は変わらないはずです。ぜひ自分のために、お客さまのために、そして組織のために、ピアレビューを実践してください。
最後に、ピアレビュー実践のためのポイントを再確認して本連載を終わりにします。
SW-CMMでは、あらゆるものすべてをピアレビューしろ!と言っているわけではありません。対象とスケジュールを明確化すること、実施方法をきちんと教育し、実践することが大事です。また、「責めないこと」も大きなポイントです。組織として、チームとして品質を作り込むという意識改革を持って、ピアレビューの活動に取り組んでください。
[参考文献]
小笠原秀人『ワークショップ レビュー活動を見直そう! ~レビューの基本を学び実践に生かす~』ソフトウェア・プロセス・エンジニアリング・シンポジウム(SPES2009)(http://www.jisa.or.jp/seminar/spes2008/)(アクセス:2009/03)
岡崎毅久編著『ソフトウェアテストと品質保証の実際』日本テクノセンター(発行:1999)
Mark C. Paulk,他、ソフトウェア技術者協会CMM研究会訳『ソフトウェア能力成熟度モデル 1.1版(公式日本語版)』CMU/SEI-93-TR24(発行:1993)
以下のサイトからダウンロード可能
http://www.sea.jp/CMM/publish/CMM-J99.html(アクセス:2009/03)