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刻み込め!ピアレビューの心得

2009年3月27日(金)
小笠原 秀人

ピアレビュー会議実践後のふりかえり

 前回は、ピアレビュー教育の概要を紹介し、教育の中でピアレビュー会議を実践することが効果的である、ということを説明しました。ピアレビュー会議のあと、30分程度の時間を使い、ふりかえりを必ず実施するようにしています。

 ふりかえりは、以下のステップで進めます。

 最初に行うのが、ピアレビュー実施結果の確認です。グループごとに、レビュー対象成果別の種別、ページ数あるいはステップ数、工数(説明、個人レビュー、会議の各工数)、指摘件数(高、中、低毎の件数)、会議実施時間を報告してもらいます。この時、データ入力用のExcelシートを準備しておき、以下の指標がすぐに算出できるようにしておくと、あとの説明がしやすいのでお勧めです。

・レビュー速度(ページ/時 or ステップ数/時):1時間あたりにレビューできるページ数(あるいはステップ数)
・レビュー効率(件/時):1時間あたりに指摘できる欠陥数

 各グループの実施結果を参照しながら、レビューにかかる総工数と指摘された欠陥数を確認します。通常、4~5名のメンバでピアレビュー会議を実施しているので、各グループの総工数は2~3時間になります。ここでは、レビューには時間がかかるということを認識してもらうとともに、これだけの欠陥が短時間で検出できるという効果を実感してもらいます。さらに、ピアレビューのデータを蓄積することで、レビュー速度、レビュー効率といった指標が導出できて、レビューの状況把握やレビュー計画に活用できることを説明します。

 続いて、役割ごとに感想や質問を述べてもらいます。ピアレビューチームリーダ、作成者、記録者、レビューアごとに、感想や質問を述べてもらいます。各役割を担当した方の声を聞くことで、新たな気づきやピアレビュー会議をうまく実施するためのヒントを得ることができます。

 参考までに、ソフトウェア・プロセス・エンジニアリング・シンポジウム(SPES)でピアレビューに関するワークショップを開催した時に出てきた感想を以下に示しておきます。この時は、ピアレビューの題材を事前に用意しておき、作成者担当の方には、作成者になったつもりになって会議に参加してもらいました。

ピアレビューチームリーダ:
・時間のコントロールが難しい。
・前もってやることを限定しないと大変。時間がかかる。
・関連した内容で話が発散する。コントロールが難しい。
・思ったより指摘事項が出るものだと思った。時間を効率的に使うことが大切。
・話題が脱線しないように注意を払った。

作成者:
・いろいろな観点からの指摘があり、レビューしてもらってよかった。
・自分で気がつかなかったようなところを指摘されたのが有効だった。

記録者:
・会議の進行に合わせて記録するのは、なかなか難しかった。
・いろいろと意見が出てまとめるのが難しい。言われていることの理解を深めることが必要。議事録をまとめるのにも技術が必要。
・似たような指摘をまとめることが大事。

 最後に、効果の再確認を行います。各グループで検出された高レベルの欠陥数を再確認します。そして、もしこの欠陥が検出されずに後工程まで残っていた時の影響の大きさを考えてもらい、欠陥を長く滞留させないことの大事さを再認識してもらいます。

 このようなふりかえりを実施し、レビュー会議のグループ演習を終わりにします。

 先週からピアレビュー教育の概要とピアレビュー会議の実践方法(グループ演習)について説明してきました。ここで紹介した内容をぜひピアレビューの教育や実践での参考にしていただければと思います。

ピアレビューデータの活用方法

 ピアレビューのデータは、いろいろな目的に応じて活用できます。

 レビュー工数比率とフィールドバグ件数の関係を分析し、開発工程におけるレビュー工数比率の指標として用いるといった活用例があります。参考文献「ソフトウェアテストと品質保証の実際」の中では、開発工程におけるレビュー工数比率を20%程度にすればほとんどフィールドバグをなくすことができる、という分析事例が載っています。

 上記は、ピアレビューのデータを蓄積することで見えてくることですが、日々のレビュー活動の状況を可視化することで、レビューの状況を把握することもできます。

 図1は、ある開発物件のピアレビュー効率(件/時)を時系列でグラフ化したものです。平均と分散が示されていますが、その分散から大きく外れた場合、いつものピアレビュープロセスとは違ったことがあったのでは?と判断するための材料に使えます。まずはこのような状況の可視化から始めてみるだけでも、プロジェクトの状況がわかるようになると思います。

株式会社東芝
1990年 東芝に入社以来、ソフトウェア生産技術(メトリクス活用、不具合管理、静的解析、テスト設計/管理、プロセス改善など)に関する研究・開発およびそれらの技術の推進・展開活動を実践中。日本SPIコンソーシアム(JASPIC)運営副委員長、SQiPシンポジウム2009シンポジウム委員長。

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