商用Linuxを比較検討する
SUSE LINUX Enterprise Serverの特徴
SUSE LINUX Enterprise Server(以下SLES)はNovellが提供しているディストリビューションです。もともとはドイツ発祥のディストリビューションで、2003年に開発元であるSuSEをNovellが買収しました。国内では2004年5月から販売が開始されました。
IBMのメインフレームであるSystem z(当時はzSeriesという名前でした)で動作することから、当初はメインフレーム環境での利用が多かったようです。次期SLESの最新機能が搭載されるopenSUSEはNovellがスポンサーをしているオープンソースプロジェクトであり、SLESはopenSUSEコミュニティーのフィードバックを得ながら開発が進められています。
SLESの特徴は2006年にNovellとマイクロソフト間で合意された提携に基づく、Windows プラットホームへの対応強化です。SLES 11にはその具体的な成果が盛り込まれており、Microsoft SilverlightのLinux版である「Moonlight」が標準搭載されているほか、.NET frameworkのLinux実装である「Mono」もオプションの追加によって利用可能になっています。
また、マイクロソフトの仮想化ハイパーバイザであるHyper-Vによって正式サポートされる、唯一のLinuxであることなど、Windowsとの親和性が高いことがSLESのメリットとなっています。
サポートはRHELと同様にサブスクリプション制となっています。Red Hat Networkと同様に「SUSE Linux Portal」というWebサイトからパッチなどが入手できます。1年間のサブスクリプションの標準価格は、平日電話対応可能となる「スタンダード」サポートで物理サーバー1台あたり$799.0です。物理サーバーに対するライセンスであるため、RHELに比べCPUが増える場合はより安価に利用できる点にメリットがあります。
No. | 評価ポイント | 評価 | コメント |
---|---|---|---|
(1) | 業務系アプリケーションの対応状況 | ★★★☆☆ | 国外ではSAPはじめ対応アプリケーションが多いが、国内は未対応のものが多い。 |
(2) | 既存運用・構築経験への適合度 | ★★★★☆ | YaSTによる統一された管理機能が優れている。 |
(3) | ハードウエアの対応状況 | ★★★☆☆ | 国外メーカは対応しているものが多いが、国内メーカは一部が対応。 |
(4) | 運用系ソフトウエアの対応状況 | ★★★☆☆ | 国外では対応アプリケーションが多いが、国内は未対応のものが多い。 |
(5) | OSのサポート期間 | ★★★★☆ | リリース後7年間のサポート。SLES 10は2013年まで。SLES11は2016年まで。 |
(6) | 仮想化への対応状況 | ★★★★☆ | VMware、Xen、Hyper-Vに対応。Hyper-Vに対応する唯一のLinux。 |
表3:SLESの評価ポイント
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