第3回:実践!RFPでIT調達(後編) (2/3)

IT調達
IT調達のプロセスを確立させるためには

第3回:実践!RFPでIT調達(後編)

著者:プライド  稲葉 洋明   2007/2/22
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提案書の評価・選定

   評価の公平性を維持するためには、提案書受領前に必ず評価基準を確定しなければなりません。

評価者の選定

   通常、RFP調達プロジェクトのメンバーが評価を行います。ただし、高い専門性や高度な意思決定を必要とする案件の場合には、メンバー以外からも評価者を選定するケースがあります。その場合には、RFPの内容を理解することはもちろんのこと、調達目的に対する理解を深めておく必要があります。


評価方法の決定

   すべての提案書に対して詳細に内容を検討することは、多くの時間と労力を必要とします。効率よく評価を行うために、詳細な評価を実施する前に次のことを行う場合があります。

ITベンダーを絞り込む
必須条件の充足を確認してITベンダーを絞り込みます。必須条件とは、他の内容がいくら優れていても採用できないという条件で、例えば「希望する取引形態で契約できない」「納期が守られていない」などです。
形式や抜けの修正を依頼する
提案書がRFPで指定している文書構成と異なったり、RFPに記載されている要件に回答されていない箇所があると、評価に時間がかかります。形式や抜けの確認を行い、ITベンダーに修正を依頼します。
提案書の要約版を作成する
複数のITベンダーからの提案書を様々な評価項目について比較することは、容易ではありません。すべての提案書を横並びで確認できるような要約版を作成することで、効率よく提案書の差異を把握できます。

表4:依頼書の評価前に行うこと


評価基準の作成

   提案書を詳細に評価するための評価基準を作成します。

   評価項目や、評価項目の重み付けは、調達するITシステムの特性や自社の調達方針に基づいて設定します。

   参考用として、次に評価項目の一例をあげます。

要求との整合
要求の理解度、解決策の妥当性、解決策の実現性など
推進体制
プロジェクトマネージャやプロジェクトリーダーの職歴やスキル、役割分担の明確度合いなど
コスト
イニシャルコスト、ランニングコスト、コストの妥当性など
契約条件
要求の充足度など
実績
対象領域に対する実績の有無など
取組姿勢
ITベンダーの熱意、プレゼンテーションのやり方など

表5:評価基準の項目例


提案書の評価

   評価基準に基づいて詳細な評価を実施し、一社に絞り込みます。


評価報告書の作成

   評価終了後、プロジェクトマネージャに対して評価結果を報告するために、評価報告書を作成します。この報告書は、次回以降評価を行う際の重要な資料となりますので、当事者以外の人が見てもわかるように配慮する必要があります。


提案不採用のITベンダーへの通知

   提案を不採用としたITベンダーに対して、結果を通知します。ITベンダーとしても、提案書作成には多くの労力をかけていますので、丁重に通知します。

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株式会社プライド 稲葉 洋明
著者プロフィール
株式会社プライド
稲葉 洋明

中小企業診断士
前職は自動車部品メーカで、生産管理システムの構築やISO9001の認証取得を担当する。システム開発方法論および情報システム分野に興味を抱き、株式会社プライドに入社。現在、システム開発方法論「プライド」を軸に、IT調達プロセスの構築支援に携わっている。


INDEX
第3回:実践!RFPでIT調達(後編)
  はじめに
提案書の評価・選定
  契約企業の決定と契約締結
IT調達のプロセスを確立させるためには
第1回 何故、RFPなのか
第2回 実践!RFPでIT調達(前編)
第3回 実践!RFPでIT調達(後編)

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