第7回:Windows Mobile(後編) 〜目的を明確化したデバイスの選択 (2/3)

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第7回:Windows Mobile(後編) 〜目的を明確化したデバイスの選択

著者:ThinkIT編集局   2007/4/27
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ActiveSyncによるWindows Mobileとのデータ連携

   Windows Mobileデバイスは、もともとPDAとして発展してきた性格上、PCとの連携を行うための同期機能を備えている。先にも説明したように、シリアルポートによってPCとWindows Mobileデバイスを接続し、あらかじめ設定したルールに従ってデータのやり取りを行うものだ。

   基本的には同期元のクライアントPCに「ActiveSync」をインストールして行うことになる。なおWindows Vistaではこれに代わり「Windows Mobileデバイスセンター」を利用する。
PC側のActiveSync画面
図2:PC側のActiveSync画面

   主な目的としては、住所録をはじめとしたPIMデータの同期と、各種ファイルの転送、さらにアプリケーションのインストールなどがあげられる。では、それぞれの機能についてみていこう。


PIMの連携

   PIMの連携では、以下のデータをやり取りすることができる。

  • 連絡先
  • 予定表
  • 電子メール
  • 仕事
  • メモ

表2:ActiveSyncで連携できるPIMデータ

   これらのデータは基本的にPC上のOutlookで扱うものと関連付けられている。Windows Mobile側では、それぞれが別アプリケーションで管理される仕組みとなっている。この連携機能によって、ビジネス上に必要なデータをWindows Mobileデバイスでも閲覧/編集することができる。


ビジネス文書の連携

   ビジネス文書の連携機能では、WordやExcel、PowerPointといった日ごろ業務で扱う形式のファイルを転送し、Windows Mobile側でも表示できるというものだ。なおWordとExcelについては編集も可能だが、使える書式や関数に違いがあるため、あくまでも閲覧機能が主な使い方となる。

   また最近ではPDFビューワや画像ビューワがあらかじめインストールされていたり、付属CD-ROMに収録されていたりするなど、Office系以外のファイルについても対応できる。閲覧のみであれば制限のあるWordやExcel形式ではなく、PDFや画像を利用するとよいだろう。

   なお、Office OneNoteを導入した場合、Windows Mobile用のアプリケーションも用意されている。ActiveSyncで共有できる項目が追加されるのだが、手書きメモに対応していないなど、利用する上での問題もある。


Microsoft Exchange Server

   基本的にこれまで紹介したPIMの連携については、PCと直結し、ActiveSyncによって同期を行う。「必ずPCと直結する」ということは、外出中に変更したデータは反映されないということだ。帰社後に反映されるというのでは、ビジネスの即効性に欠けるだけでなく、せっかくの通信機能を活かしきれていないことになる。

   しかしMicrosoft Exchange Serverを導入することで、ネットワーク経由での同期が可能になる。

   その一方で、外部に対してサーバを公開するということに対して、セキュリティ上の不安も発生する。Microsoft Exchange ServerではSSLによる通信やパスワード認証によって安全性を確保するほか、さらに以下のような情報漏洩対策も行うことができる。

モバイル機器内のデータ消去
Microsoft Exchange ServerとWindows Mobileデバイスとのパートナーシップを解除し、デバイス上のデータ/PINコードをリモートから削除する。
Exchange ActiveSyncポリシー
不正にWindows Mobileデバイスを入手したユーザがMicrosoft Exchange Serverに接続し、パスワード認証に失敗した場合にデバイス上のデータをすべて削除する「ローカルワイプ」などの機能を備える。

表3:Microsoft Exchange Serverの情報漏洩対策機能

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INDEX
第7回:Windows Mobile(後編) 〜目的を明確化したデバイスの選択
  Windows Mobileが備える通信機能
ActiveSyncによるWindows Mobileとのデータ連携
  ASPとSaaSサービスをWindows Mobileから利用する
1時間で理解するThinkIT流最新IT業界キーワード
第1回 仮想化 〜実装技術は様々
第2回 Web 2.0 〜マーケティングに活用する
第3回 内部統制 〜実装技術は様々
第4回 レガシーマイグレーション 〜移行目的を明確にせよ
第5回 NGN 〜インターネットとの違い
第6回 Windows Mobile(前編) 〜パーソナルからビジネスへ
第7回 Windows Mobile(後編) 〜目的を明確化したデバイスの選択

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