第4回:戦略的調達の視点から見る調達情報の可視化 (2/3)

経営の可視化
企業活動と経営の可視化

第4回:戦略的調達の視点から見る調達情報の可視化

著者:オープンストリーム  赤穂 満   2007/4/3
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ベンチマーク指標の整備

   仕入れ先の選定には、定量的なベンチマーク指標を用いる。主観的判断がなくなることで、より目的に合致した選定が可能になるからである。仕入れ先のベンチマーク指標については、図3に示すように4つの指標を整備し、判断材料とするのがよい。
仕入れ先のベンチマーク評価項目
図3:仕入れ先のベンチマーク評価項目
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戦略的パートナーとの協業の推進

   発注量が当初の数値から大幅に増加しない状況では、仕入れ先の原価低減策としてマージンを削るしかなく、コスト削減への協力も体力の限界が見えてきている。

   そのような場合には、戦略的に重要な仕入れ先のコスト構造を把握し、これまでの単なる「協力要請」から、中長期的なパートナーシップに基づいた連携をはかることで、効果的なコスト削減を実現していくことが望ましい。

戦略的パートナーとの協業
図4:戦略的パートナーとの協業
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開発購買の推進

   サプライヤと直接的に関係しない開発設計業務の部品選択などにおいても、原価低減策の仕組みの中に取り込むことで、さらなるコスト削減が実現できる。

   例えば、開発設計業務において、調達品目やサプライヤの情報を一元管理したデータベースに基づき開発者が部品を選択し、設計を進めていくということである。

   この実現には、調達部門や設計部門、生産部門、仕入れ先との協業した調達活動が必須となる。そのため、各ステージで協業施策や共有部品、サプライヤ情報、プロセスなどの整備を行っていく。

   このように、調達部門のみならず開発・生産まで含む各部門が、マネジメントされた共通の部品・サプライヤデータを使い、戦略的に調達業務を進めることによって、統合的な改善を行うことができ、原価低減と利益創成を実現することが可能となると考えられる。

戦略的パートナーとの協業
図5:戦略的パートナーとの協業
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   次にこの施策を進めていくうえで、開発部門の努力目標である業務ルールを決めていくことが重要である。例えば、表1にあげるような具体的な内容がキーポイントとなる。

  • 部品の選定は極力、特注品を使わず、標準品を使用する
  • 類似品目があれば、新規部品は極力使わない
  • 新規で推奨品目を1つ追加したら、既存品目は1つ減らす

表1:具体的な業務ルール

   こうした運用上の明確なルールがなければ、現場での業務はやがて煩雑化していくことは明白である。

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株式会社オープンストリーム  赤穂 満
著者プロフィール
株式会社オープンストリーム  赤穂 満
サービス推進兼SAXICE推進担当 統括ディレクタ
活動状況:これまでに、製品ライフサイクル、製品構成情報管理やビジネスモデルなどに関する解説記事、論文多数。
所属学会:日本設計工学会、経営情報学会、ビジネスモデル学会、正会員。


INDEX
第4回:戦略的調達の視点から見る調達情報の可視化
  戦略的調達の重要性
ベンチマーク指標の整備
  設計/調達/生産部門のコラボレーション
企業活動と経営の可視化
第1回 企業の生産活動をどのように可視化していくか
第2回 製品ライフサイクルの観点から見る製品情報の可視化
第3回 原価企画の観点から見るコスト情報の可視化
第4回 戦略的調達の視点から見る調達情報の可視化
第5回 経営の可視化の実現策

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