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| 財務報告にかかわる内部統制の意義 | ||||||||||
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「基準案」では内部統制の基本的枠組みを前述のように示す一方で、評価の対象とする内部統制は、財務報告の信頼性の目的にかかわる内部統制である。 この財務報告とは「財務諸表及び財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす開示事項等に係る外部報告」であり、有価証券報告書では会計監査の対象である経理の状況が中心である。 しかし、4つの目的それぞれに異なる内部統制がいつも区別して存在するわけではない。業務効率化を目的とした内部統制が同時に財務報告の信頼性を確保するために機能している場合もある。 |
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| 業務処理プロセスにかかわる内部統制 | ||||||||||
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内部統制は抽象的な概念であり、わかり難いといわれるが、売上にかかわる内部統制の例をあげつつ、その内容を見てみる。 売上にかかわる業務は、一般的には以下のプロセスからなっている。
表2:業務プロセス
ここで「売上計上」が適正になされるためには、受注が適切に処理され、受注内容に従った「出荷」が行われるとともに、「出荷」の事実に基づき「売上計上」される必要がある(出荷基準が売上計上基準のケース)。 そのためには、上記の業務プロセスにおいて、以下のような目的が達成されるような統制手続が整備/運用され、あるいは職務の分担が適切になされている必要がある。
表3:売上にかかわる統制
表3の売上にかかわる統制は、業務が適切に行われるために直接機能するものであり、このような統制を業務プロセスにかかわる内部統制という。売上の他に購買、資金、固定資産管理などといった各業務の中にもそれぞれ設けられる必要がある。 |
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| 全社的な内部統制 | ||||||||||
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しかし、企業の業務を有効にコントロールするためには、個別の業務プロセスにかかわる統制のみでは不十分である。 例えば、企業風土あるいは経営者の経営理念が売上や利益を最大化することに偏向し、人事上の評価もその理念を反映したものであれば、たとえ個別の業務プロセスにかかわる内部統制がいくらきちんと整備されていたとしても、売上計上について見れば現場の従業員は売上を適正に計上することよりも、むしろ経営者の意向や評価制度を強く意識した処理を行うであろう。 企業風土、経営者の理念、経営姿勢や評価制度は、個別の業務プロセスを直接に統制するものではないが、業務プロセスに係る内部統制の有効性を確保するための基盤であり、全社的な内部統制といわれる。全社的な内部統制が有効に機能していることが業務プロセスにかかわる内部統制の有効性を確保するために極めて重要である。 全社的な内部統制は個別の会社レベルだけではなく、企業グループ全体を対象とした統制も含まれる。全社的な内部統制には、企業風土、経営理念、行動規範、権限と責任の割当(以上、統制環境)、リスク評価プロセス、全社的な会計方針および財務方針(統制活動)、業績評価、内部監査(以上、モニタリング)などがある。 |
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| マネジメントシステムとしての内部統制 | ||||||||||
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これまで述べてきたように、財務報告の信頼性にかかわる内部統制といっても経理部門や財務諸表の作成に直接かかわる内部統制のみを対象とするものではない。受注や出荷などの内部統制は財務報告の信頼性ばかりでなく、それら業務の有効性や効率性の目的のためにも機能している。 また全社的な内部統制は、経営レベルのリスクマネジメントや経営意思決定にかかわるものでもある。こうしてみると、内部統制はまさにマネジメントシステムそのものである。 |
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