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| SaaSがもたらすビジネス競争の変化、本質的競争への回帰 | ||||||||||||
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このようにSaaSは、ユーザ企業にとっても開発ベンダーにとっても共存共栄となる理想的な仕組みであることは確かだ。ただし、その理想が普及し多くのユーザ企業が同じSaaSを利用しはじめたとき、そこにはいったい何が起きてくるのであろうか。 従来は各ユーザ企業個別にシステムを構築していたため、企業体力によって多額のIT投資ができる/できないという差があった。IT投資自体がビジネス競争上のアドバンテージとなっていたのである。ところがSaaSの場合、すべてのユーザ企業に対して平等にサービスが提供されることになる。 大企業も中小企業も一定の利用料を支払うことによって、同じように高価な最新のシステムを利用できるという、まさにビジネスアプリケーションの世界の「フラット化」がもたらされることになる。「ERPを入れている」「CRMを導入した」というようなこと自体がビジネス競争上の差別化要因にはなり得ない時代が来る可能性があるのだ。 Web上で起きている世界の情報のフラット化が、エンタープライズシステムの世界でも起こりうる。その結果、「何を誰にどう売るか」といったビジネスモデル本来の競争力が企業の差となっていくに違いない。誰にでもチャンスがある代わりに、企業の入れ替わりも激しさを増していくだろう。 同じことは開発ベンダーにもいえる。共通プラットフォームの上では、どのような開発ベンダーであってもアイデアベースで勝負ができるため、大手企業/ベンチャー企業に関わらず、同じ条件下で純粋にアプリケーションの良し悪しが比較評価されることになる。 これは従来大手ベンダーが有利であった既存のチャネルなどに頼った営業力が、SaaSの世界では無意味となる。SaaSアプリケーションは、ユーザにとって「入れるのも簡単、捨てるのも簡単」であるため、コンシューマ向けのインターネットサービスがそうであるように、同じ業種の同じような機能を持ったアプリケーションは厳しく淘汰されていくだろう。 だからこそビジネスチャンスを狙う世界中の開発ベンダー各社は、SaaS市場に新しい未来があり、近い将来いっそう熾烈な競争となっていくことを予感して、一歩でも先んじようと熱中するのだ。これが、第1回から見てきているセールスフォースに集まる開発ベンダーの「熱狂」のもう1つの真実であるだろう。 |
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| 次回は | ||||||||||||
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次回は、SaaSが競争力のある価格帯で、従来のパッケージ販売モデルを破壊しようとしている、そのコスト構造について考えてみたい。 |
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